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半導体製造の本格回復期25年度に合わせ、工場新設が相次ぐ

工場建設の動きが相次いでいる。ソニーセミコンダクタソリューションズはタイの半導体後工程工場を完成させ、京セラは鹿児島と長崎に工場を増設する。韓国のSK Hynixは米国に工場を建設すると報じられた。三菱ケミカルグループはドイツの事業拠点で半導体用の精密洗浄能力を5割拡大した。研究開発フェーズではキオクシアが研究所を再編、大日本印刷は2nmのフォトマスク製造プロセス開発に着手した。

Sony Device Technology (Thailand) Co., Ltd. / ソニーセミコンダクタソリューションズ

図1 ソニーセミコンダクタソリューションズの新タイ工場 出典:ソニーセミコンダクタソリューションズグループ


ソニーの半導体グループ(ソニーセミコンダクタソリューションズ)は、タイのバンカディ地方の半導体製造事業所内に建設してきた新工場(図1)が完成、2月から稼働し始めたことを明らかにした。ここでは車載用イメージセンサやレーザー、ディスプレイデバイスなどの後工程を受け持つ。完成した4号棟の延床面積は、ユーティリティ部分も含み6万6370平方メートル。クリーンルームの面積は8800平方メートルだが、今後の生産次第で1層から3層へ拡張されると2万6400平方メートルになる見込みだとしている。

新タイ工場のクリーンルームでは、必要な部分に絞って清浄度や温湿度を管理する空調システムを導入し、廃熱および温水を再活用するリサイクル技術などを採用しており、省エネを促進する。4号棟以外の工場ではすでに再生可能エネルギー100%で稼働しているが、4号棟にも屋根全面に太陽光パネルを設置し、再エネ100%による稼働を続けていくとしている。


京セラは半導体回復期が25年になるとして、鹿児島と長崎の工場を増設する。京セラは、鹿児島国分工場に隣接する土地として、霧島市の田畑の一角に、東京ドーム2個分に当たる約10ヘクタールの工業用地を25年にも取得する計画だ。もう一つの主力生産拠点である鹿児島川内工場(薩摩川内市)の周辺でも同規模の土地を準備している、と3月27日の日経産業新聞が報じた。


鹿児島国分工場も増強する構えを見せている。国分工場では半導体製造装置に使うウェーハを固定するためのセラミック製のサポート基板を生産しており、京セラの谷本秀夫社長は「25年には作りきれないくらいの需要になる可能性がある」と見ているという。24年の後半には長崎県諫早市でも工場の着工を予定している。25年3月期には京セラとして過去最大の3000億円弱の設備投資を考えており、26年3月期も同じ規模を投じるという。


韓国のSK Hynixはインディアナ州ウェストラフィエットに約40億ドルを投資して先端パッケージ工場を設立する計画だ、とWall Street Journalが報じた。2028年の稼働を目指す。SK Hynixはメモリの3D-ICであるHBMメモリを生産しており、そのような先端パッケージ工場への投資を検討しているが、まだ決定した事実はないと述べている。


三菱ケミカルグループは、ドイツのドレスデンに半導体用精密洗浄事業の拠点を持つが、この工場で洗浄能力を5割増強したと、26日の日刊工業新聞が報じた。ドレスデンにはIntelも330億ドルを投じて新工場を建設する計画を持っているため、それに対応する。


キオクシアは、従来のメモリ研究所を再編し、「先端技術研究所」を4月1日付けで新設する。ここでは、新機能材料や新原理デバイス、新プロセスなどを探索する「コアテクノロジー研究開発センター」、製品化に向けてプロトタイプ実証開発を行う「デバイス・プロセス研究開発センター」、そして、AI技術の基礎研究からその応用や次世代メモリシステムの研究開発を行う「AI・システム研究開発センター」の3つの研究開発センターを設置する。


大日本印刷は、EUVリソグラフィ向けの2nmプロセスノードに対応したフォトマスク製造プロセスの開発を本格的に開始したと発表した。NEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」においてラピダスが受託した「(d1)高集積最先端ロジック半導体の製造技術開発」にDNPは再委託先として参画しているもの。25年度までにプロセス開発を完了し、27年度の量産開始を目指す。

(2024/04/01)
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