Semiconductor Portal

HOME » ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

深刻な余波と対策の動き/今後の有望技術/グローバル雑学王−23

悪いニュースにはもうこりごり、英語の見出しにもTired of the bad news?とあり、グローバルな経済危機の渦中にあって、何処も同じ心境ということと思う。そうは言っても休んでいても仕方なし、何か打開に向けて動かなければ何も出てこないし、有望な材料をなんとか見い出していかなければ。

≪深刻な余波と対策の動き≫

10月以降の市場事態の急変ぶりが一層明らかになってきていると思う。※印以下にコメント注記。

◇Global chip sales to drop 4.4% in 2008, worse to come, says Gartner(12月12日付け EE Times)                              
→Gartner社(Stamford, Connecticut)からの事前速報。ここ25年で僅か5回目のこと、2008年の世界半導体売上げが$261.9B、2007年から4.4%減少する旨。まだ最近の11月時点では2%増の$279.4Bと予想していた旨。
ベンダー・ランキングデータ、下記参照。
https://i.cmpnet.com/eetimes/GartnerPrelimV2.jpg

※この11月始めにはまだ若干のプラス伸長と見てたのが、急転マイナスに。

◇Foundry utilization rates could hit historic lows(12月11日付け EE Times)
→FBR Capital Markets、11日リリース・レポート。TSMCのcapacity稼働率が、第三四半期の90超%から、今四半期は60前半%あるいは50後半%に落ち込むと見る旨。UMCの2009年第一四半期は40超%と予想する旨。

◇Asian manufacturing capacity utilization plunges, says report(12月8日付け EE Times)
→Robert W Baird & Co.の半導体コンポーネントチーム発。半導体ファウンドリーの製造capacity稼働率が現在40-50%、12月にはさらに低下していく旨。

※ファウンドリー業界の稼働率が急変の度合いを最も表していると感じる。

新興経済圏はじめ実態のいくつか、次の通り。

◇ブラジル経済、変調の兆し 資源安で輸出減・雇用調整。(12月11日付け NIKKEI NET)
→新興国の中では健闘してきたブラジル経済に金融危機に端を発した世界同時不況の影響が及び始めた旨。資源価格下落を受け鉄鉱石世界最大手のヴァーレが人員整理を始めるなど雇用への影響が表面化、輸出減速で貿易黒字も縮小している旨。設備投資などへの悪影響を懸念し、ルラ政権は信用収縮を食い止めようと対策を強化している旨。

◇Electronics supply chain sales growth slows, IPC reports-Consumer spending declined to the lowest level since 2001 in October, according to the IPC.(12月9日付け Electronics Design, Strategy, News)
→IPC - Association Connecting Electronics Industriesの四半期ビジネスレポート発。10月の金融危機の影響が米国経済に引き続き波及、consumer spendingが2001年以降最低水準に低下の旨。

◇Exports suffer steepest drop in 7 years(12月9日付け Central News Agency - Taiwan)
→台湾Ministry of Financeが月曜8日、11月の台湾の輸出が、前年比23.3%低下して$16.78Bに、2001年10月以降最大の落ち込みの旨。

このような世界経済全体の低迷の中、政府の救済あるいはそれを求める動きが見られる。

◇Taiwan MOEA confirms it has DRAM rescue plan, but not willing to provide details(12月11日付け DIGITIMES)
→台湾Ministry of Economic Affairs(MOEA)が、現地台湾DRAMメーカーに向けた救済packageを承認、確認の旨。

◇Half a million semiconductor jobs at risk, SEMI warns(12月10日付け EE Times)
→グローバル半導体ビジネスでの欧州の市場シェア低下に直面して、業界団体、SEMI Europeが、迅速な政府介入を要求、競争圧力の高まりで欧州半導体業界およびサプライヤでhalf a millionものjobsが危険にさらされる可能性の旨。

米国自動車業界ビッグ3を巡る動向が注目されているが、半導体、デバイス業界においても然り、前向きの対策の動きに大きな期待がかかる現状ということと思う。


≪今後の有望技術≫

有望な市場、その前に有望な技術、とここしばらくは発掘に暇なしという状況になりそうである。ちょうど折りも折、今年を締め括るタイミングであるし、デバイス関係の国際会議が行われる時節ということで、手当たり次第の雰囲気で取り上げていきたく思う。今回は以下の通りである。

◎年末注目のInternational Electron Devices Meeting(IEDM)(12月14-17日:San Francisco)からの話題から。(12月10日付け EE Times)

◇Intel to extend high-k lead at IEDM
→Intel社(Santa Clara, Calif.)が、high-k/metal-gate競争でAMD, IBMなどMPUベンダーに対するリードを広げる見込み、high-k/metal-gate技術に基づくSoC設計で新しい45-nm派生を論文で述べる旨。

◇IEDM Slideshow: Devices and tools
→今年のIEDMで示される技術&デバイス最前線のいくつか。
 ・Nanochannels, stacked  (CEA-LETI)
 ・Digging quantum wells   (Intel)
 ・Smallest SRAM       (IBM Alliance)
 ・Low-power memory     (Qimonda)
 ・Better micromirrors     (IMEC)

◇IEDM Preview: Focus turns to 32 nm and beyond
→Intel社とIBM社がともに、自分たちの32-nmプロセス技術を詳説、今回のIEDMでは22-nm生産ノードを含めて半導体ロードマップが触れられる旨。

今後の有望株はこれと言い切りたいものであるが、なかなか難しいこと。以下の他にもSSDs、LEDs、・・・。同じような並び語調を感じるが、さて結果は如何に?

◎Five growth markets for 2009(12月11日付け EE Times)
→The Information Networkが掲げる2009年の成長市場、以下、低迷の流れに抗する可能性の市場の旨。
 solarパネル
 hard-disk drives(HDDs)
 Nanomaterials
 LCDs
 MEMS


≪グローバル雑学王−23≫

今回はアジアの後半、我が国近隣の国々の言語事情である。

『言語世界地図』(著者 町田  健氏:新潮新書 266)

から、おぼろげな理解、印象が少しずつ晴れてくる感じを受けている。これはグローバルにお互い様の感じ方があるかもしれない。

○アジア 〜後半〜

◇ウイグル語 −中国辺境の言葉は中央アジアの共通語−
・中国のウイグル族は、大部分が新疆ウイグル自治区に住む。
 * 「疆」…「土地境」という意味
 * 新疆ウイグル自治区は、中国の省・自治区の中で最大の面積、多民族が混在
・ウイグル族の使用する言語が「ウイグル語」→約750万人の話者
・ウイグル語が、中央アジアのイスラム世界の共通語として使用されている。
・中国政府は、大学で行われていたウイグル語教育を廃止している。
・発音の面では比較的複雑 …母音が8個、子音が23個
・「主語+目的語+動詞」の語順、日本語と同じ。
・「ウイグル文字」使用 →アラビア文字と同様、右から左に書いていく

◇チベット語 −中国語と「顔の似ぬ兄弟」語の独立指向−
・チベット仏教の指導者は代々ダライ・ラマ、現在は亡命中とはいえ、ダライ・ラマのチベット人への影響力はいまだに大きい。ただし中国当局は、その影響を極端に嫌う。
・区都ラサのポタラ宮は、高さ180メートル、幅400メートルの壮麗な建築物。
・チベット人が話す言語がチベット語。話者数は全体で500万人程度。ブータンの公用語ゾンカ語もチベット語の言語。
・日本語と同じ「膠着語」に属する。「声調」があり、敬語が発達している。

◇モンゴル語 −中国の二自治区にも多い話者−
・日本語とかなり似ている文法 →モンゴル人力士の上手い日本語
・10個の母音 →日本語より発音は少し複雑
・正式国名は「モンゴル国」。1992年の新憲法制定までは「モンゴル人民共和国」であった。
・モンゴルでのモンゴル語話者は約200万人。中国の内蒙古自治区や新疆ウイグル自治区には300万人にのぼる話者。モンゴル語自体は、モンゴルと中国とでほとんど違いがない。
 中国 →伝統的な縦書きのモンゴル文字
 モンゴル →ロシア語と同じキリル文字

◇広東語 −8000万人が話す語、ミッキーマウスも仲間入り−
・香港の住民で英語が不自由なく使える人は3割程度。中国語にしても、圧倒的多数の香港人が日常的に話すのは「広東語」。
・中国語の諸方言は、相互理解が非常に難しく、イタリア語、フランス語、スペイン語にようなロマンス諸語と同様の特徴。
・全体としては世界中でおよそ8000万人の話者。北京語は8億人以上の母語話者。
・6種類の声調。
・広東語と北京語 →書かれた文が同じでも、発音されるとお互いに理解することは難しい
・香港の広東語だけは独自の表記法 
 →「繁体字」と呼ばれる旧来からの字体

◇台湾語 −「美しい島」の複雑な言語事情−
・台湾は、面積は九州よりも小さい島、人口は約2200万人、九州の全人口の1.5倍近く。ヨーロッパ諸語では「フォルモーサ」と呼ばれる。
・「台湾語」は、福建省で使用される「?南語(びんなんご)」と同一。
・声調、7種類の区別
・古い移民の子孫によって構成される住民層         …「本省人」
 第二次大戦後に中国本土各地から移住してきた漢民族 …「外省人」
・北京語と台湾語 →実際には互いに通じることはない
・漢民族よりもはるかに古くから移住してきた先住民族 
 →「高砂族」と総称
  ⇒台湾全人口の2%にも満たない

◇韓国語(朝鮮語) −にわかブーム、日本語との遠近−
・ソウル方言に基づいている韓国語の標準語はアクセントの区別がなく、全体として平板。一方、釜山を中心とする地域(慶尚道)の方言にはアクセントの区別。
・母音の数は8個、子音については日本語と同じ種類の「平音」のほかに「濃音」と「激音」の区別。
・文法は、日本語と韓国語で驚くほど似ている。
・日本語と同じかなり複雑な敬語は共通しているが、韓国語の敬語は「絶対敬語」
 →自分よりも上位にある人間に対しては、いつでも尊敬語。
・韓国で話される「韓国語」と北朝鮮で話される「朝鮮語」とは、方言的な差異が若干あるだけで、同じ言語。

◇日本語 −規則性の高い覚えやすさ−
・ほぼ日本に限られる日本語が使用される地域。
・言語としての「威信」にかけては、英語に引けを取るものではない。
・我が日本語は、文献として登場した最古の時点で、すでに偉大な作品を生み出す力をもっていた。
 →「万葉集」、「古事記」
・言語としての特徴は極めて「普通」。母音が5個、子音が13個程度。
・「膠着語」と呼ばれる類型に属し、世界でも多数派。
・表記の面では複雑な特徴 →漢字、ひらがな、カタカナ

ご意見・ご感想