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Qualcommを取り巻く状況に見るモバイル機器市場の2年前との時代変化

伸びが減速しているものの半導体市場を大きく引っ張っているスマートフォンはじめモバイル機器市場であるが、ワイヤレス半導体の世界最大手、Qualcommが、独占禁止法に違反するビジネス慣行を問われて罰金を科せられる事態にまたぞろ見舞われている。中国から罰金とともに特許ライセンス料の引き下げ命令を受けたのがほぼ2年前、同社はこの間これに従って市場での盛り返しを図ってきているが、飽和感が増しながら中国メーカーが著しく台頭しているこの2年でもある。韓国、米国、そしてApple社と、同社に対する提訴が続いている現時点で、改めて市場の変貌ぶりを振り返ってみる。

≪繰り返される攻撃≫

ほぼ2年前の本欄『Qualcommの圧倒的ポジションに迫る政府、業界、各社の攻撃、追撃』(2015年2月16日)にて、業界における圧倒的なシェアを巡ってQualcommが、中国政府から独占禁止法違反で1000億円強の罰金を科され、ライセンス料の引き下げを求められる事態を示している。その動きを抜粋して示すと以下の通りである。

◇Qualcomm to pay China $1 billion in antitrust settlement: report-Sources: Qualcomm will pay $1B to end antitrust case in China (2015年2月9日付け ZDNet)
→Qualcommが、antitrust調査終結に向けて中国に$1 billionを支払い、該取引の一環として同社中国特許の約3分の1についてロイヤリティratesを下げる可能性の旨。中国のantitrust部門曰く、最終合意がまもなくリリースされる旨。

◇中国当局、クアルコムに罰金1160億円支払い命じる-独禁法違反 (2015年2月10日付け ブルームバーグ)
→中国国家発展改革委員会(発改委)は米半導体メーカーのクアルコムが独占禁止法に違反したとし、同社に9億7500万ドル(約1160億円)相当の罰金支払いを命じた旨。世界最大の携帯市場である中国での同社の事業拡大を脅かしてきた当局の調査がこれで終結する旨。

クアルコムは9日、発改委が同社の独禁法違反を認定したと発表し、決定について争わない方針を示した旨。発改委は罰金のほか、中国で販売される携帯電話の特許料に新たな条件を課した旨。

◇Xiaomi, Lenovo Stand to Gain From China's Qualcomm Settlement-Why Qualcomm's settlement is likely to help Chinese phone-makers (2015年2月10日付け Bloomberg)
→Qualcommの中国当局とのantitrust決着は、Xiaomi, Lenovo Group, Huawei TechnologiesおよびZTEなど中国国内phoneメーカーには押し上げとなり、Qualcommへの特許ロイヤリティfees支払いが低くなる旨。

◇Qualcomm fines may not affect competition between China handset makers and international brands, say sources (2015年2月10日付け DIGITIMES)
→台湾のhandset supply chain筋発。中国政府のQualcommに最大$975 million科する決定は、中国のhandsetメーカーおよび国際brandsの間の競合に影響を与えない可能性の旨。中国のhandsetメーカーはlicensing feesの削減から生産コストが改善、グローバル市場で一層効率的に競える様相の一方、Samsungなど大手brandsはQualcommから同じ扱いを得られるようになると思われる旨。

◇South Korea antitrust body investigating Qualcomm: source-Source: Qualcomm faces an antitrust inquiry in South Korea (2015年2月11日付け Reuters)
→本件事情通発。韓国のFair Trade Commission(公正取引委員会)が、Qualcomm社を調査しており、同社が中国での支払いに同意した記録的な罰金に続いて加わるantitrust woesとなる旨。

以上、ほぼ2年前の動きを振り返ったが、前回の本欄で示している次の米国Federal Trade Commission(FTC)のQualcommに対する訴えがこのほどぶり返す発端となっているように見えている。

◇FTC Slaps Qualcomm with Suit-Apple precluded from other basebands, it says (1月17日付け EE Times)
→米国Federal Trade Commission(FTC)がQualcommを相手取って提訴、cellularベースバンド特許について不公平なlicensing慣行があるとして裁判所命令を求めている旨。該提訴の中に、同社が"2011年から2016年までAppleへのQualcommの競合からのベースバンドプロセッサの供給を妨げた"としている旨。

米国FTCを追うかのように、AppleがQualcommを相手取った提訴を行っている。

◇Apple Files $1 billion Lawsuit Against Chip Supplier Qualcomm-Qualcomm is hit with $1B suit from Apple (1月20日付け Reuters)
→Appleが金曜20日、半導体サプライヤ、Qualcomm社を相手取って$1 billionの提訴、米国政府が携帯電話の重要半導体を巡る独占維持の戦術についてQualcommを訴えた数日後の旨。

Samsungと同様、Appleのsupply chainの中の重要な位置を占めるQualcommであるが、次のように反応が表わされている。

◇Qualcomm won't stop shipping chips for the iPhone even though Apple is suing it for $1 billion-The chipmaker is considering its own lawsuit against Apple, sources tell Recode.-Report: Qualcomm may sue Apple in return (1月23日付け Recode)
→Qualcommに近い筋発。AppleがQualcommを相手取って$1 billion提訴およびFederal Trade Commission(FTC)とのantitrust complaintから数日、QualcommがAppleを相手取った自身の法的行動を検討している旨。該法的係争にも拘らず、QualcommはApple supply chainの中の重要elementであることは阻害しない旨。

法廷係争が同社収益を圧迫しそうな事態が以下の通りである。

◇Patent Suits Hit Q'comm Profits-Foxconn in the middle of Apple suit (1月25日付け EE Times)
→Qualcommの最新四半期収益が、同社の特許licensing termsが不公正と申し立てている法廷係争5件で食われており、Wall StreetアナリストはQualcommはAppleが引っ張っているとしている係争における財務的打撃の始まりとなる可能性と不安視している旨。Appleの主要contractメーカー、Foxconnは、AppleとQualcommの間の特許係争では中間者となっている旨。Appleは、Qualcommを相手取った訴訟で挙げたbillion dollarsにはFoxconnのようなODMsは保留している旨。

韓国への罰金支払いが行われている直近四半期でもある。

◇Qualcomm misses revenue estimates, defends licensing model-Qualcomm's revenue falls short of estimates (1月25日付け Reuters)
→Qualcommが、12月25日締め第一四半期のnet incomeを$682 millionと発表、Korea Fair Trade Commissionへの罰金支払い関連で$868 millionの収益に対する差し引き後の旨。Appleおよび米国Federal Trade Commission(FTC)から提訴されている同社は、第二四半期売上げが$5.5 billion〜$6.3 billionの範囲と予測している旨。

Appleは、中国においても大き過ぎる特許料の返還を求めて提訴を行っている。

◇米アップル、クアルコムを中国でも提訴、特許料返還求める (1月26日付け 日経 電子版)
→米アップルが米半導体大手、クアルコムに対し、独禁法に絡む知財訴訟を相次ぎ起こしている旨。25日、特許料の水準が不当だとして10億元(約164億円)の返還を求め中国で訴訟を起こしたことが分かった旨。20日には米国で同様に10億ドル(約1130億円)の払い戻しを求めていた旨。クアルコムは各国の独禁当局から次々に訴えられており、アップルはこれを受け過去の取引条件の見直しを迫っている旨。クアルコムは中韓で課徴金の支払いを命じられ、米国でも提訴され、欧州では調査を受けている旨。アップルの訴訟はこれらを根拠に追い打ちをかけるものの旨。

Qualcommから見たスマートフォンの時代変化というものが、以下に率直に示されている。中国ブランドのこの数年の台頭ぶりに改めて注目するところである。

◇Q'comm Feels Smartphone Squeeze (1月21日付け EE Times/Blog)
→スマートフォン時代の若々しい日々は終わり、今やstakeholdersがうまいところを奪い合っている旨。
・≪図表≫ ブランド別スマートフォン出荷推移:2011〜2016E
http://www.eetimes.com/author.asp?section_id=36&doc_id=1331235&image_number=1

今やNXP Semiconductorsの買収を控えるQualcommであり、今後の路線展開に注目である。

◇The synergy of NXP acquisition: An interview with Qualcomm president Derek Aberle-Qualcomm's Aberle discusses NXP acquisition (1月23日付け DIGITIMES)
→Qualcommのpresident、Derek Aberle氏インタビュー記事。仕掛かりのNXP Semiconductors買収、新しいSnapdragon 835モバイルプロセッサなどの話題。「Qualcommは、該合併後NXPのfabsおよび工場を清算する計画はなく、これら生産ラインがもともとのビジネスモデルを維持するようにもっていく。」と同氏。

QualcommとともにスマートフォンSoCsを引っ張る台湾のMediaTekの業績にも、売上げは伸ばすものの利益が減る現下の競争の厳しさがあらわれており、Qualcommが標的の今回の事態を誘発しているものと受け止めている。

◇MediaTek posts profit drop with record low gross margin for 2016 (1月26日付け DIGITIMES)
→スマートフォンSoCsに特化するファブレス半導体メーカー、MediaTek(台湾)の2016年net profitsが6.7%減、gross marginが記録的に低い35.6%の旨。2016年連結売上げは最高のNT$275.5 billionを記録、29.2%増。

◇台湾メディアテック、前期純利益7%減、2期連続、価格競争厳しく (1月27日付け 日経)
→半導体設計・開発大手、台湾の聯発科技(メディアテック)が26日発表した2016年12月期連結決算は、純利益が前の期比7%減の240億台湾ドル(約870億円)に落ち込んだ旨。減益は2期連続。中低価格スマートフォン需要は拡大したが、価格競争が厳しく採算性が悪化した旨。


≪市場実態PickUp≫

【東芝の半導体分社決定】

我が国の半導体業界を大きく引っ張る東芝における半導体の分社に向かわざるを得ない状況を前回取り上げたが、1月23日週の始めから週末にかけて以下の推移が見られ、金曜27日に分社の決定が発表されている。

◇Toshiba's NAND Future Uncertain-Many potential suitors, but can they fit the bill? (1月23日付け EE Times)
→コアの半導体事業分離を図ろうとしていることを確認している東芝について。

◇Toshiba's plan to sell stake in chip business faces hurdles-Timing, supply-demand volatility could make investment unattractive-The challenges presented by Toshiba's chip spinoff (1月23日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→東芝のNANDフラッシュメモリ半導体事業におけるequity stake買収に関心がある向きとして、Western Digital, Silver Lake Partnersなど海外投資ファンドがあり、該事業の運営に問題が出てくる可能性の旨。投資家が、メモリ半導体事業独特の収益変動のリスクに晒されていくことがある旨。

◇東芝の半導体分社、外部出資19.9%へ、米マイクロンも浮上 (1月26日付け 日経 電子版)
→東芝が検討を進めているメモリ半導体事業の分社で、外部から受け入れる出資比率を19.9%とする見通しとなった旨。出資候補として新たに米半導体大手、マイクロン・テクノロジーも浮上した旨。東芝は27日に取締役会を開いて半導体分社などを決議する予定、出資受け入れ交渉を急ぐ旨。出資比率を20%未満に抑えるのは外部資本の経営への関与を弱め、東芝が主導権を確保する狙いがあるとみられる旨。

◇Toshiba to sell part of chip business, puts overseas nuclear ops under review-Toshiba will sell less than 20% of chip unit (1月27日付け Reuters)
→東芝が、原子力事業から生じる大規模write-downを埋めるよう、今年度末、3月31日までに利益の出る半導体事業における20%より少ないequity stakeを売却する計画の旨。

◇Facing massive write-downs over U.S. investment, Toshiba to spin off its cash-cow chip business (1月27日付け The Japan Times/Kyodo News)

【2017年半導体市場伸長予測】

何かこのところ見かけるごとに伸びの数字が高まっていく感じ方があるが、2017年半導体市場の伸びについて、Gartnerは売上げが7.2%増、IC Insightsが5%成長と、それぞれの見方が表わされている。Trump米国大統領就任1週間の現時点、世界政治&経済情勢の展開を見据えたアップデートが繰り広げられる予感がある。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Forecast to Grow 7.2 Percent in 2017 (1月23日付け Gartner)

◇Chip Sales Projected to Grow 7% in 2017 (1月24日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)発。今年のグローバル半導体売上げが、半導体在庫補充および平均売価上昇が引っ張って7%増加の見通し、昨年見積もられている$340 billionから2017年半導体販売高が総計$364 billionになると見ている旨。

◇Worldwide semiconductor revenues to grow 7.2% in 2017, says Gartner (1月24日付け DIGITIMES)
→Gartner発。2017年の世界半導体売上げが総計$364.1 billion、2016年から7.2%増、2016年が1.5%の伸びとなっており、これは半導体業界にとって完全な方向転換となる旨。「特にcommodityメモリおよびapplication-specific standard products(ASSPs)といった市場での在庫補充およびaverage selling prices(ASPs)上昇が引っ張って、2017年にプラスの様相が見えてきて最悪事態は過ぎている。2016年第二四半期の終わりに始まったこの方向転換は、引き続き勢いをつけて2017年中は改善された状況がもつと見ている。」と、GartnerのリサーチVP、Ganesh Ramamoorthy氏。

◇Trump, Brexit Cloud Upbeat 2017-McClean describes IC growth, wild cards-IC Insights sees 5% growth for 2017 and beyond (1月27日付け EE Times)
→IC Insightsのpresident、Bill McClean氏のannual Silicon Valley talk(SUNNYVALE, Calif.)より。世界を巡る政治的wild cardsがneutralあるいはpositiveに留まる限り、半導体業界は良い2017年となる旨。DRAMsおよびフラッシュ、並びに32-bit microcontrollers(MCUs), アナログおよび車載が引っ張って、5%成長の可能性の旨。中国あるいはTrump政権で練られている大きな計画は今年該業界に実質的にインパクトを与えるとは思われないが、欧州で台頭しているpopulismは成長を抑える可能性の旨。

【インテルの10-12月業績】

半導体最大手、インテルから10-12月、第四四半期業績が発表され、前年同期比10%増の売上げと好調な結果である。PC向けも堅調の上に、データセンター、Internet of Things(IoT)向け半導体売上げが事前評価を上回る内容となっている。

◇Intel Cautious on PC Consumption (1月26日付け EE Times)
→Intel社(Santa Clara, Calif.)の2016年第四四半期販売高が$16.4 billion、前年同期比10%増、net incomeが$3.9 billionで同4%増。
computing, データセンター半導体およびInternet of Things(IoT)半導体でのアナリストの販売高の伸びの予想に打ち勝った旨。同社はまた、Wall Streetの予想を上回る第一四半期についての予測を出し、2017年の設備投資支出額を増やすと発表の旨。

◇Data center and Internet of Things chips drive Intel Q4 revenues to $16.4 billion-Intel tops revenue estimates on data center, IoT chip sales (1月26日付け VentureBeat)

◇米インテル、10〜12月期10%増収、データセンター向け好調 (1月27日付け 日経 電子版)
→米インテルが26日発表した2016年10〜12月期決算。売上高が前年同期比10%増の$16.374 billion(約1兆8700億円)、研究開発費の増加で、純利益は同1%減の$3.562 billion。クラウドの普及で需要が伸びるデータセンター向けが同8%増と好調、PC向けを中心とする主力のクライアント・コンピューティング部門も同4%増と堅調だった旨。

【Samsungはじめ韓国市場関連】

上のインテルと並ぶように、韓国のSamsung Electronicsも、メモリはじめ半導体が好調で全体を引っ張る10-12月業績が以下の通りである。2017年も力強いメモリの売上げを見込んでいる。

◇Samsung chip business posts record operating profits for 4Q16 (1月24日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsの2016年第四四半期operating profitsがKRW9.22 trillion($7.9 billion)と13四半期ぶりの高水準を記録、一方、半導体事業はKRW4.95 trillionのprofitsと最高を記録の旨。

◇サムスン電子の昨年10〜12月期営業益、過去3番目 (1月24日付け 韓国・朝鮮日報)
→韓国・サムスン電子の2016年10-12月期連結決算発表。売上高が53兆3300億ウォン、前年同期比0.03%増、本業のもうけを示す営業利益が9兆2200億ウォン(約8946億円)、前年同期比3.1%増。該利益は、2013年7-9月期(10兆1600億ウォン)、2013年4-6月期(9兆5300億ウォン)に次ぐ大きさ。半導体が全体を牽引、部門別の営業利益をみると、半導体部門は4兆9500億ウォンで、過去最高だった2015年7-9月期(3兆6600億ウォン)を1兆ウォン以上、上回った旨。

◇Chip sales boost Samsung Electronics operating profit-South Korean smartphone maker plans share buybacks worth 9.3tn won-Samsung Electronics posts $25B operating profit (1月24日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Samsung Electronicsの2016年連結operating profitが$25.1 billion、同社史上2番目に大きい利益の旨。半導体事業がこの数字の半分弱を占め、2015年からoperating profitを6%高めている旨。

◇Samsung Expects Strong Memory Sales in '17 (1月26日付け EE Times)
→世界最大のスマートフォンメーカーで世界第2位の半導体メーカー、Samsung Electronicsが、需給バランス逼迫から本年のメモリ販売高が力強いと見ている旨。スマートフォン向け需要が引き続き2017年は弱くなる予想にも拘らず、同社の半導体事業はSamsungの利益の伸びを引っ張る様相、Samsungは、64-層vertical NANDメモリおよび10-nmレベルDRAMsなど新製品に重点化、競合との技術gapを広げて利益性を改善する狙いの旨。

韓国のSamsungと並ぶSK Hynixも、メモリが支えて最高の四半期売上げを記録している。

◇SK Hynix 4Q16 profits rebound above KRW1 trillion (1月26日付け DIGITIMES)
→SK Hynixの2016年第四四半期連結売上げがKRW5.4 trillionと最高を記録、operating profitsがKRW1.54 trillion($1.33 billion)に急増、net profitsもKRW1 trillion超になった旨。旺盛なメモリ需要、製品価格の上昇、そしてwonの下落も、同社該四半期業績を高めている旨。

韓国市場でもう1つ、SK Groupが、Samsung Groupに対抗、Siウェーハサプライヤ、LG Siltronを買収して半導体事業の競争力を高めている。

◇SK buys wafer producer for 620 bln won (1月23日付け Yonhap News Agency (South Korea))

◇South Korea's SK to buy silicon wafer maker LG Siltron-Expected growth in AI, 'internet of things' prompts purchase-SK to acquire silicon wafer supplier for $531M (1月24日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→SK Holdingsが、Siウェーハサプライヤ、LG Siltron(Gumi-si, Gyeongsangbuk-do, Korea:韓国慶尚北道亀尾市)の51% equity stake支配の$531 million買収に合意、SK Group conglomerateの該holding companyは、該買収提案をもって半導体製造事業を強化する旨。

◇SK expands semiconductor business-Analysis: SK bids to compete with Samsung in memory (1月25日付け The Korea Times (Seoul))
→SK Groupが、Siウェーハサプライヤ、LG Siltronの51%を買収する$531 million取引など、半導体事業のSamsung Groupと比べた競争力を高めるいくつかの動きをとっている旨。

【早くも5G対応半導体】

LTE-Advancedの次の世代となる第5世代移動通信システム、5Gは、10Gbpsを超える通信速度、LTEの約1000倍にもおよぶ大容量化で2020年のサービス化目標と謳われているが、5Gワイヤレス通信用半導体の開発が今年にも展開し始めるとの見方が、以下の通り表わされている。

◇5G Calls for Silicon in 2017-Conversation with a Nokia CTO-Nokia CTO talks about 5G silicon in 2017 (1月20日付け EE Times)
→Nokiaの北米chief technology officer(CTO)、Mike Murphy氏。5Gワイヤレス通信用半導体の初期開発が今年行われると見ている旨。「この話題についてはあらゆる細部にたくさん落とし穴が潜んでおり、何を取り入れるかの選択肢がアンテナに、ベースバンドおよびRFIC半導体ソリューションにあって、正しいアプローチについての議論がたくさんで複雑な話題である。」と同氏。

◇Solution vendors to start rolling out 5G chips in 2H17, say sources-Sources: 5G chips to emerge this year (1月24日付け DIGITIMES)
→業界筋発。5G装置&サービス関連のビジネスopportunitiesは2018年にあらわれ始める見込みであるが、5Gチップセットサプライヤは5G半導体を2017年後半に市場競争に向けてリリースし始める旨。QualcommおよびIntelが2017年後半に28GHz周波数帯をサポートする5G装置用チップセットソリューションを打ち上げる予定の一方、Samsung Electronicsも同じ期間に相当する半導体をリリースする様相の旨。


≪グローバル雑学王−447≫

チベットはじめ多くの人権問題を抱える中国という捉え方に普段目にする記事で入ってしまうところを感じるが、キリスト教徒に対するスタンスという切り口で中国における抑圧から容認へ変わりゆく推移を、

『紛争・対立・暴力 −世界の地域から考える』
 (西崎文子・武内進一 編著:岩波ジュニア新書 842) …2016年10月20日 第1刷発行

より知らされている。改革開放政策による経済成長がキリスト教ブームの止められない流れを引き起こしているが、政府・党と、教会・教団との微妙な関係が今なお引き続いている状況も理解する必要があると思われる。


III 歴史と多様性への視座

中国―――キリスト教徒に対する許容と排斥の境界 …文章(7)

・中国における国家と社会との関係を、とくにキリスト教に対する統制、抑圧、容認、宗教利用のプロセスをみていく
 →今の中国では、キリスト教徒との新たな関係を構築せずには安定した21世紀を維持できないという認識が広がっている

◆将来は世界最多のキリスト教大国?
・社会主義を標榜している中国であるが、じつに多いキリスト教徒
 →聖書を印刷する世界最大の会社が中国の南京市に
  …プロテスタント(「基督教」)のために、1億2500万冊を超える新約聖書を発行
・中国が米国を抜いて世界最多のキリスト教徒を抱える国になるとの予測
 →米国・パデュー大の楊鳳崗(ヨウホウコウ)教授
  …中国のキリスト教徒人口が2025年までに1億6000万人、2030年までに2億4700万人に
・中国のキリスト教徒の数には、いまのところ定説はない
 →非公認の教徒数を加えると、キリスト教徒の数は6700万人に達するとの見方も
  …2014年末時点の中国共産党員の数が8800万人弱。この数がいかに多いか

◆中国建国初期における教会・教団の統廃合(1950〜1970年代)
・1949年10月、中華人民共和国が成立、毛沢東を指導者とする中国共産党が政権の座に
 →翌年には、早くも新政権とキリスト教との関係が問題視された
・当時の中国では、帝国主義、封建主義、官僚資本主義が制圧すべき敵対勢力として位置づけ
 →自由主義神学の影響が強いプロテスタントの多くが、中国共産党の指導と指示を受け入れることを表明
 →カトリックも、プロテスタントと同様に「愛国反帝国主義運動」を開始
・中国とバチカン市国との間にはいまも外交関係はない
 →バチカンは台湾を支持しているために、中国政府との関係が微妙
・中国では、建国の2年後には早くも、海外のキリスト教会との絶縁が実行された
 →中国の一部のキリスト教団体は、共産党体制の擁護を表明、政府の承認を得ることができ、自らの信仰活動を続ける道を見い出した
 →中国のカトリック教徒も、1952年末には全国に98の愛国組織を成立
  →バチカンとは絶縁、独自の信仰の道を歩み始めることに
・政府・党の主導で中国独自の宗教のあり方が模索されるなか、当局から公認されないプロテスタント系「家の教会」やカトリック系の「地下教会」も密かに発足することに
・1960年代から1970年代に文化大革命が起こる
 →実際には毛沢東の指導を絶対化、神格化させようとした政治運動
 →伝統的な価値や文化が全面否定された
 →中国での宗教活動はほぼ全面的にストップ

◆文化大革命の痛手を受けて(1980〜1990年代)
・1976年、毛沢東が死去
 →1980年代は、いかに復興するかが中国社会全体の課題
 →改革開放政策の遂行
  …今日みられる経済成長の、まさにスタートになる政策
・1979年1月、あれほど敵視していた米国とも中国政府は国交を回復
 →政府・党が宗教問題に対して寛容、あるいは黙認するように
  →その後のキリスト教ブームの引き金に
・中国で宗教の自由があることが強調される風潮のなか、1980年、中国基督教協会が発足、などの動き
 →中国のキリスト教が、あらたな段階に
  …キリスト教の教会や教団を管理・統制する役割を担うとともに、あらたにキリスト教の教義上の指導機関としてのミッション遂行も
・1980年代以降における中国のキリスト教徒をめぐる状況
 →中国が抱える社会問題が先鋭的にみえてくる
  …都市と農村という2つの「世界」の亀裂
  …農村における男性と女性との間の断層
・1990年代になると、地方でも改革開放政策の成果が浸透
 →一部地域では急速に進んでいく都市化
 →キリスト教徒は都市部の若者層や知識人の間にも広がっていく

◆宗教政策に対する近年の「異変」(21世紀の中国)
・江沢民主席時代(1993〜2003年)、法輪功による中南海包囲事件が発生
 …道教と仏教を融合させた伝統思想に基づき、気功で心身を鍛錬する集団
 →1999年、政府・党の首脳陣が多く居住する中南海一帯を1万人あまりの信者が包囲するという前代未聞の事件
 →法輪功を全面的に禁止する措置、現在も徹底的に禁止
・胡錦濤主席時代(2003〜2013年)、北京の守望教会の取り締まり
・習近平主席時代(2013年〜)、浙江省の三江教会事件
 →既存のキリスト教会・教団に圧力をかけ、政府主導でキリスト教の教義を中国化する浙江省政府のやり方は、現在も続く
 →注目すべきは、浙江省政府が地元のキリスト教徒に行ったやり方が、今後、中国全域に拡大されるかどうか

◆政府・党と、教会・教団との微妙な関係
・公認、非公認とも、中国のキリスト教徒が急速に増加していること
 →その政治的、社会的原因を明らかにすることが大切
・以上、中国におけるキリスト教問題を通じてみてきたこと
 →個人の心の問題についても、国家はいつでも関与しうるという体制のあり方
 →一方で、体制や秩序を脅かさない問題については、比較的ルーズな面も
・中国の国家と社会、そして個人の関係を理解するには、なにより現場感覚が不可欠

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