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Qualcommの圧倒的ポジションに迫る政府、業界、各社の攻撃、追撃

ビジネス慣行を主題とした半導体業界の訴訟関連のニュースと言えば、1つにIntelとEuropean Union(EU)の間の係争が思い浮かぶが、同様に圧倒的なシェアを巡る争い、駆け引きの現在の中心にいるのはQualcommということと思う。中国政府がQualcommに対して独占禁止法違反で1000億円強の罰金を科し、Qualcommも争わない方針とともにライセンス料を引き下げる情勢となっている。韓国政府、業界標準化機関からも同様の圧力が見られるとともに、モバイル機器関連の各社にも少なからずのインパクトを与えている。

≪独占禁止、ロイヤリティの壁≫

長らく観測記事が流れたQualcommを巡る件であるが、最終合意がまもなく発表と、先陣を切る以下の内容である。

◇Qualcomm to pay China $1 billion in antitrust settlement: report-Sources: Qualcomm will pay $1B to end antitrust case in China (2月9日付け ZDNet)
→Qualcommが、antitrust調査終結に向けて中国に$1 billionを支払い、該取引の一環として同社中国特許の約3分の1についてロイヤリティratesを下げる可能性の旨。中国のantitrust部門曰く、最終合意がまもなくリリースされる旨。

◇Exclusive: Qualcomm nears $1 billion deal resolving China antitrust dispute (2月9日付け Reuters)

そして間髪を置かず、中国国家発展改革委員会(発改委)がQualcommに対して罰金支払いを命令、両者の間で打開合意に達した、と業界各紙が相次いで以下の通り表わしている。

◇Qualcomm and China's National Development and Reform Commission reach resolution (2月9日付け ELECTROIQ)

中国でのライセンス料の値下げを謳う下りも見られている。

◇China Hits Qualcomm With Fine-Qualcomm fined $975M for breaking Chinese monopoly law (2月9日付け The New York Times)
→Qualcommが、中国の独占禁止法違反の訴えを決着させるよう$975 millionの支払いに合意、該決着の一環として、同社は他の市場においてよりも低価格で中国で第3および第4世代通信システムのライセンス供与を行う旨。

◇China Deal Squeezes Royalty Cuts from Qualcomm (2月10日付け EE Times)

◇中国当局、クアルコムに罰金1160億円支払い命じる-独禁法違反 (2月10日付け ブルームバーグ)
→中国国家発展改革委員会(発改委)は米半導体メーカーのクアルコムが独占禁止法に違反したとし、同社に9億7500万ドル(約1160億円)相当の罰金支払いを命じた旨。世界最大の携帯市場である中国での同社の事業拡大を脅かしてきた当局の調査がこれで終結する旨。
クアルコムは9日、発改委が同社の独禁法違反を認定したと発表し、決定について争わない方針を示した旨。発改委は罰金のほか、中国で販売される携帯電話の特許料に新たな条件を課した旨。

◇Qualcomm fined US$975 million by China's NDRC, but relieved investigation is over (2月10日付け DIGITIMES)

◇中国で1150億円罰金、クアルコム挟撃―追い上げる現地勢 (2月12日付け 日経産業)
→米半導体大手、クアルコムは、中国当局から独占禁止法違反で60億8800万元(約1150億円)の罰金を科されたと発表、スマートフォン向け半導体の王者、クアルコムが最大市場の中国で、政府とメーカーから挟み撃ちを受けている旨。中国の規制当局である国家発展改革委員会(発改委)は高いシェアを持つクアルコムが「優越的地位」を乱用したとして調査を進めていたが、クアルコムは価格や特許使用料のつり上げなどの不正な業務慣行を改善することで発改委と合意した旨。

この発表を受けたインパクトであるが、まずはQualcommへの知財料支払いが減る中国のhandsetメーカーである。

◇Xiaomi, Lenovo Stand to Gain From China's Qualcomm Settlement-Why Qualcomm's settlement is likely to help Chinese phone-makers (2月10日付け Bloomberg)
→Qualcommの中国当局とのantitrust決着は、Xiaomi, Lenovo Group, Huawei TechnologiesおよびZTEなど中国国内phoneメーカーには押し上げとなり、Qualcommへの特許ロイヤリティfees支払いが低くなる旨。

中国のhandsetメーカーと国際ブランドとの間には影響はない、と以下の見方である。

◇Qualcomm fines may not affect competition between China handset makers and international brands, say sources (2月10日付け DIGITIMES)
→台湾のhandset supply chain筋発。中国政府のQualcommに最大$975 million科する決定は、中国のhandsetメーカーおよび国際brandsの間の競合に影響を与えない可能性の旨。中国のhandsetメーカーはlicensing feesの削減から生産コストが改善、グローバル市場で一層効率的に競える様相の一方、Samsungなど大手brandsはQualcommから同じ扱いを得られるようになると思われる旨。

台湾のファウンドリー、TSMC、UMCには中国での投資を前倒しする圧力が加わるとする見方である。

◇Commentary: TSMC, UMC may accelerate investment in China after Qualcomm antitrust ruling (2月11日付け DIGITIMES)
→現地antitrust法侵害で中国政府がQualcommに対し$975 millionの罰金を科した後、TSMCおよびUMCは中国における投資運用を前倒しする圧力感が高まっていく旨。該裁定は1年以上続いている審理を終わらせた一方、その過程はそれにも拘らず中国政府が自らの半導体supply chain構築の道を開くよう力を行使する道筋にあることを示している旨。

中国政府に留まらず、韓国でもQualcommの公正取引関係の調査が行われているとのこと。今後の展開に注目である。

◇South Korea antitrust body investigating Qualcomm: source-Source: Qualcomm faces an antitrust inquiry in South Korea (2月11日付け Reuters)
→本件事情通発。韓国のFair Trade Commission(公正取引委員会)が、Qualcomm社を調査しており、同社が中国での支払いに同意した記録的な罰金に続いて加わるantitrust woesとなる旨。

業界標準を定めるInstitute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)から、技術ライセンス料を下げる基準化の動きが次の通り見られている。

◇Patent Holders Fear Weaker Tech Role-Engineering Group's Policy Revisions Could Cut License Fees-IEEE rule changes may lower device-maker patent fees (2月8日付け The Wall Street Journal)
→Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)のboardが日曜8日、デバイスメーカーが特許所有者に支払うロイヤリティを下げられる新しいpatent-licensing規則を承認、該票決は、Apple, MicrosoftおよびIntelなどハイテクメーカーには勝利となり、IEEEにハイテク標準設定を巡る特許所有者の影響を減らす規則を認めるよう強く働きかけていた旨。

Qualcommは、この動きには組しないとしており、新たな火種としてこれも注目である。

◇Qualcomm Says It Won't Follow New Wi-Fi Rules on Patents-Qualcomm will resist IEEE's new patent license rules (2月11日付け Bloomberg)
→Qualcommが、今週Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)が発表した業界標準が定める新しいWi-Fi patent fee規則に参画しない旨。IEEEは、デバイスメーカーがQualcommなどが開発したWi-Fi技術ライセンスに支払わなければならないロイヤリティamountを減らしている旨。


≪市場実態PickUp≫

【ARMのIoTセキュリティに向けた買収】

ARMが、セキュリティソフトウェア会社、Offspark(オランダ)を買収、ばらけているInternet of Things(IoT)に向けて統一するcodeベースを作る狙いとしている。

◇Arm Buys IoT Security Firm-Offspark provides security piece for mbed OS (2月9日付け EE Times)
→ARMが、Transport Layer Securityのサプライヤ、Offspark(オランダ)を買収、Cortex-Mコアに向けたmbed operating system(OS)に組み合わされる旨。ARMは、10月に発表、セキュリティがますます重要な関心事である断片的なInternet of Things(IoT)に向けて統一するcodeベース、mbedを作る狙いの旨。

◇ARM snaps up Internet of Things security firm Offspark-ARM's Offspark buy targets connected-device security (2月9日付け ITProPortal.com (U.K.))
→ARM Holdingsが、Internet of Things(IoT)機器向けセキュリティソフトウェア会社、Offsparkを買収の旨。

◇ARM buys Dutch 'Internet of Things' software firm Offspark (2月9日付け Reuters)

◇IoT Security: The Road Ahead-ARM flexing from device-to-service to -device-ARM talks up the importance of connected-device security (2月10日付け EE Times)
→ARMのIoTグループ、director、Zach Shelby氏が、同社のOffspark買収を受けて今後の道筋について。OffsparkのPolarSSLは、最も人気あるdevice-to-serviceセキュリティ標準の1つ、Transport Layer Security(TSL)を実施したもの、TSLはEメールからGoogle検索まですべての安全確保に広く用いられている旨。

【メモリ市場データ】

2014年第四四半期のNANDフラッシュメモリ世界市場が、次の通り表わされている。Samsungが首位を維持するもののシェアを僅かに落としている。

◇SK hynix narrows gap with Samsung in NAND flash sector-Data: SK Hynix gained NAND flash market share in Q4 (2月8日付け The Korea Herald (Seoul)/Yonhap News Agency (South Korea))
→TrendForce発。第四四半期のNANDフラッシュメモリデバイス市場で、SK Hynixのシェアが11.4%に上昇、第三四半期は10.3%であった旨。
Samsung Electronicsは僅かに落として27.9%、しかしランキング首位を維持の旨。東芝が、21.9%で第2位の旨。

◇Global NAND flash market rises 2% in 4Q14, says DRAMeXchange-DRAMeXchange: 2% growth seen for NAND flash market in Q4 (2月10日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。2014年第四四半期の世界NANDフラッシュメモリ市場売上げが$8.75 billion、前四半期比2%増、Samsung Electronicsが最大サプライヤのままであるが、シェアは1.8pp落として27.9%の旨。SamsungのNAND bit出荷が前四半期比5%増の一方、ASPが約10%下落の旨。Samsungの2014年第四四半期NAND売上げは約$2.44 billion、前四半期比4.2%減。

同じ第四四半期のDRAM市場であるが、改めて見ると、上記のNANDフラッシュを5割近く上回る金額規模である。

◇Global 4Q14 DRAM output value rises 8%, says DRAMeXchange (2月11日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。2014年第四四半期の世界DRAM outputが$12.98 billionに達し、前四半期比8.2%増、Samsung Electronicsが40%以上のシェアで市場を引き続きリードの旨。Samsung, SK HynixおよびMicron Technologyなど、新しい20/25-nmプロセス技術に積極的に移行している旨。

その中のモバイルDRAMについては、首位のSamsungがシェアを落とし、ほぼその分Micronが上昇する動きが見られている。

◇S. Korea's share in mobile DRAM market falls in Q4 -Data: Samsung, SK Hynix held 74% of mobile DRAM market in Q4 (2月13日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→DRAMeXchange発。2014年10-12月期のモバイルDRAM市場シェア:
 Samsung Electronics Co. 46.1%  前四半期比 4.6%減
 SK hynix         28%         0.4%増
 Micron Group       23.2%        4.3%増
Micronのプレゼンス上昇の旨。

【スマートウォッチ】

Apple Watchのリリースが注目される今年であるが、対抗してサムスンからのスマートウォッチが、3月始めのMobile World Congressで発表されると以下の通り、しかも円い外形とある。

◇アップルに対抗するサムスンのスマートウォッチは「円形」 (2月9日付け 韓国・中央日報)
→上半期のスマートウォッチ市場の競争が激しくなる見通しの旨。アップルが4月に初めてのスマートウォッチとなる「アップルウォッチ」の販売を始める一方、サムスン電子も来月1日にアップルウォッチに対抗する新製品をモバイルワールドコングレス(MWC)が開かれるスペイン・バルセロナで公開するものとみられる旨。業界が8日に明らかにしたところによると、サムスン電子は7番目に発表するスマートウォッチには円形デザインを採択したとされる旨。新製品のプロジェクト名は「オービス」(Orbis)、ラテン語で「円」を意味する旨。これまで出されたサムスン電子のスマートウォッチはすべて長方形だったが、今回の製品では業界の流れに乗り、アナログ時計に近い円形を選んだ旨。

Apple Watchの方は、以下の機能が表わされている。

◇Only time will tell: How Apple Watch will shape the industry (2月11日付け EE Times India)
→今年リリースの運びのApple Watchは、装着者のbiometricsを監視する内蔵センサを用い、インターネットおよびtelephony応用についてBluetoothによりiPhoneにつなぐ旨。

【台湾半導体の活況ぶり】

台湾の半導体業界が2014年に如何に伸びたか、ITRIからのデータで次の通りである。

◇Taiwan IC output hits high in 2014 on manufacturing, design (2月8日付け The China Post)
→台湾・Industrial Technology Research Institute(ITRI)のリサーチ部門、Industrial Economics and Knowledge Center(IEK)発。2014年の台湾の半導体分野生産valueが最高更新、IC製造および設計segmentsが伸びている旨。台湾半導体分野、2014年のoutput valueが、16.7%増のNT$2.2 trillion($69.84 billion)、IC設計が最も伸びて19.8%増のNT$576.3 billion、IC製造が17.7%増のNT$1.17 trillion、初のNT$1 trillion越えの旨。

設計分野をリードするMediaTekは、人員強化を以下の通り進める計画、2015年は出だしは減るものの全体では10-20%増の販売高を見込んでいる。

◇MediaTek predicts stellar year, but first-quarter dip-MediaTek sees Q1 slump, followed by renewed growth (2月10日付け The Taipei Times (Taiwan))
→MediaTekの第一四半期売上げが第四四半期比18%減と予想、スマートフォン半導体需要の低下および顧客による在庫調整がある旨。2015年全体では、販売高が2014年の$6.8 billionから10-20%増と見ている旨。Chief Financial Officer、David Ku氏は、MediaTekが2015年に約2,000人を採用、R&Dスタッフを約20%増やす、としている旨。

◇MediaTek to Boost R&D Staff to Grab More LTE Share (2月9日付け EE Times)
→台湾最大の半導体設計メーカー、MediaTekが、R&D headcountを約5分の1ほど増やす計画、long-term evolution(LTE)スマートフォン市場のより大きなシェアをQualcommから奪い取る狙いの旨。

製造を大きく引っ張って世界をリードする一角に一層躍り出ているTSMCからは、台中での10-nm半導体工場への投資が発表されている。

◇TSMC Plans to Invest $16 Billion More in Taiwan Site (2月9日付け EE Times)
→TSMCが、台湾の現状fabのsite拡張の一環として、追加投資NT$500 billion($15.9 billion)を計画、該投資は数年にわたるという以外の細かい線表はなく、各年の投資額はcapacityの需要見込みに基づく旨。この投資計画は、Taichung(台中)市近くのCentral Taiwan Science Parkにおいて行われ、現在3,400人以上がいる該siteで追加5,000 jobsを生み出す見込みの旨。

◇TSMC set to step up investment in central Taiwan (2月9日付け DIGITIMES)

◇台湾TSMC、1兆8500億円投資、台中で10ナノ半導体工場 (2月10日付け 日経産業)

【Samsungのコンポーネント拡販強化】

スマートフォンの売れ行き鈍化に見舞われているSamsung Electronicsが、半導体およびディスプレイパネルの顧客開拓&拡販に努めており、売上げの埋め立てを図っている。

◇Amid mobile slump, Samsung needs more outside customers for its chips and panels-Samsung seeks additional customers for chips, panels (2月9日付け Reuters)
→Samsung Electronicsが、同社スマートフォンの売れ行き低下を補うよう、半導体およびディスプレイパネルの顧客獲得に努めている旨。
Samsung Displayは、Lenovo Group, Coolpad, Oppo Electronicsなど中国のスマートフォンメーカーにorganic LEDパネルを供給している旨。

◇Samsung Pumps $3.6bn into OLED Panel Productions (2月12日付け EE Times)
→Samsung Displayが、organic light-emitting diode(OLED)パネル製造に$3.6 billionを投資する計画を発表、親会社、Samsung Electronics Co Ltdの弱含みのスマートフォンを補うようコンポーネント販売を高める狙いをサポートする旨。


≪グローバル雑学王−345≫

「e-Education」を旗印に世界五大陸を足場に挑戦する平成元年生まれの著者の奮闘ぶりを、

『ゆとり世代の愛国心−世界に出て、日本の奇跡が見えてきた』
  (税所 篤快[さいしょ あつよし] 著:PHP新書 941) …2014年9月1日 第一版第一刷発行

より、世界の今の認識を新たにすること随所に読み進めてきたが、今回で読みおさめとなる。我が国の高度成長からバブルに浮かれたころは知らないが、かくも快適にデザインされた日本というものを、あまり知られない世界に出て挑戦をするからこそ一層のこと強く受け止めた著者ならではの表わし方と感じている。積み重ねて便利、快適な環境、インフラを築いてきた我が国に一段の成長戦略が問われている今、これからの世代の目にますます注目と思う。


第7章 「国ではない」ソマリランドから日本を眺めて …後半…

◇ソマリランド初の大学院を日の丸で
・東京で活動資金を得て、すぐさまソマリランドに取って返した
 →教育事情を徹底的に視察
  →ランドクルーザーを雇い、自動小銃カラシニコフを装備した護衛の兵士を2名引き連れ
・この国には大学院が存在しない。富裕層の9割は海外に逃れていく
・この国には何もない。ゼロベース。そのぶんだけ、「イノベーションを起こすポテンシャルがある」ということ
 →アブディに投げかけ、「いっしょに大学院をつくろうよ!」
・大学名は「Japan Somali Innovation University」
 →この国に日の丸を掲げて中国に反撃を試みるつもり
・企画書の第一弾
 →くしくもソマリランドの自称23回目の独立記念日、5月18日にできた
・学長には、日本のイノベーションの権威、一橋大の米倉誠一郎教授
 →迅速明瞭な快諾を得て、決定

◇大企業のおじさんたちは鈍くて硬直化していてダメ……のはずが
・この大学院の企画書を世界中の仲間たちに送った
・ワシントンの世銀本部には、客員教授の依頼メールを2通
 →快諾を得たが、もちろん厳しいレスポンスも
・この大学院構想をドコモ主催のベンチャーキャピタルに出資申請
 →なぜか書類審査を突破、二次審査を面接で
  →ソマリランドにいたので、スカイプで行うことに
・6月4日、「ドコモ・イノベーションビレッジ」の最終審査会
 →(著者は、)エチオピア・アディスアベバからの5分間のプレゼン
 →15分間のやりとりで終了。すると、東京の大会議室で拍手が巻き起こった
 →ノートパソコンを閉じて思わずつぶやいていた。「日本は絶望の国じゃないかも……」

◇そう、日本は「絶望の国」なんかじゃない
・帰国早々、「夢の国」東京ディズニーランド、舞浜駅に
 →おそらくソマリランド中の夜の光を集めても、東京ディズニーランドのきらびやかさにはかなわない
・僕たちの国は、チャンスに満ち溢れた、素晴らしい国
 →世界から承認を受けている
 →日本には世界に冠たる産業がいくつも
・日本に生まれたことに感謝、すばらしき光景を目にするチャンスすら手にできない世界の子供たちのために、微力ながら力を尽くしていきたい
 →決意を新たに


おわりに―――ほんとうにすごいのは日本というシステムだ

・2014年1月、『日本経済新聞』の広告欄で、全国の若者に「e-Education」への参加を呼びかけ
 →グラミン銀行で叩き込まれた精神
  →「アイデアはいくらでもある。問題はだれが実践するかだ」
  →「評論家になるな、実践者であれ」
 →全国から30名以上の応募、うち5人のメンバーを新たに迎え入れた
・途上国の人間は、助けに行ったはずが、いつの間にか助けられている
 →気づく自分自身のちっぽけさ、他人の助けのありがたさ
  →タフな海外挑戦で得ることができる一生の財産
・日本はあまりにも快適にデザインされている
 →日本というシステムがすごい
・ときどき頭をよぎる疑問
 →たまたま効果的だった「映像授業」という仕組みが、世界のどこででも役立つと盲信、子供たちにモデルを押しつけているということはないか
 →自分自身に定期的に問いかけ、軌道修正する柔軟性をもたなければ
・「教育とは、国家の屋台骨である」という問題意識は、おおよそ世界のだれもが
 →そして、教育の格差はどこにでも存在
・「e-Education」の立ち上げ、運営という濃密な経験は、お互いを「友人」から「同志」へ
・平成生まれの僕たちは、日本中が浮かれていた「あのころ」なんて知らない
 →引き換えに知っているのは、世界が日本に抱く圧倒的なまでの信頼感
 →これほどまでに挑戦しやすい環境はない
・世界に横たわる問題を解決する事業を一つでも多く立ち上げ、日本の存在感をあらためて世界に示すこと
 →平成生まれの「愛国心」の示し方だと
・僕の名前は税所 篤快[さいしょ あつよし]
 →明治維新に貢献した薩摩隼人、税所 篤からその名と魂を受け継いだ
 →「さいしょのあつい壁を壊す男」になって、五大陸を駆けまわるつもり

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