2014年7-9月、史上最高の四半期販売高を記録、1-9月累計9.8%増
米Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高のデータが発表され、今回はこの9月、そして7-9月、第三四半期についてである。7ヶ月連続で前月比で伸びているとともに、この第三四半期は史上最高の四半期販売高を記録しているとのことである。9月の伸びの大きさ自体は少し鈍化しているが、1-9月累計では前年比9.8%増と、2013年の史上最高の年間販売高を大きく更新していく勢いを保っている。その年間データの予測も出始めており、トップ20のうち9社が二桁伸長の読みとなっている。
≪9月、そして第三四半期の世界半導体販売高≫
米SIAからの発表内容は、次の通りである。
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○グローバル半導体業界が、史上最高の四半期販売高を記録−9月の販売高は、前月比1.9%増、前年同月比8%増
半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表、2014年第三四半期の間の世界半導体販売高が$87 billionに達し、前四半期比5.7%増、2013年第三四半期比8%増と飛躍している。第三四半期販売高は、最新World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)業界予測を上回っている。2014年9月のグローバル販売高は、$29 billionに達し、前月の$28.5 billionより1.9%増、2013年9月の$26.9 billionを8%上回った。月次販売高の数値はすべてWSTSのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
「2014年第三四半期を通して、グローバル半導体販売高は力強さを維持し、昨年のペースをかなり上回っている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「該業界は今や、7ヶ月連続で前月比で伸びて、前年比の伸びがほとんどすべての半導体製品カテゴリーにわたって力強く、DRAMとアナログが引っ張っている。」
地域別には、前月比でAmericasが2.8%、Asia Pacificが2.5%増加したが、Europeは-0.1%、Japanは-1.3%と僅かに減少した。2013年9月との比較では、 Asia Pacificが12%, Europeが7.9%およびAmericasが3.7%と増えたが、Japanは-3.7%と減少した。4つの市場地域すべてが、1月から9月までの販売高累計で前年同期を上回っている。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Sep 2013 | Aug 2014 | Sep 2014 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 5.55 | 5.60 | 5.76 | 3.7 | 2.8 |
Europe | 2.98 | 3.22 | 3.22 | 7.9 | -0.1 |
Japan | 3.15 | 3.07 | 3.03 | -3.7 | -1.3 |
Asia Pacific | 15.17 | 16.57 | 16.99 | 12.0 | 2.5 |
(うち中国) | 7.83 | 8.09 | 3.9 | 3.3 | |
計 | $26.85 B | $28.46 B | $29.00 B | 8.0 % | 1.9 % |
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市場地域 | 4- 6月平均 | 7- 9月平均 | change |
Americas | 5.24 | 5.76 | 9.8 |
Europe | 3.19 | 3.22 | 0.9 |
Japan | 2.97 | 3.03 | 2.2 |
Asia Pacific | 16.04 | 16.99 | 5.9 |
$27.44 B | $29.00 B | 5.7 % |
※9月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/September%202014%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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本年1月からの累計(YTD)販売高のこの8月そして9月時点の伸び率が、次のように表わされている。Asia Pacificを先頭にいずれの地域もプラスの伸びを示しているが、我が国と他との対比が依然大きく目立つ形である。
2014年8月 | 2014年9月 | |
Americas | 10.6% | 9.4% |
Europe | 9.9 | 9.5 |
Japan | 3.1 | 1.6 |
Asia Pacific | 11.5 | 11.6 |
(うち中国) | 18.0 | 16.2 |
世界全体 | 10.2 | 9.8 |
以上の発表を受けて、業界各紙の反応が以下の通りとなっている。ここにきて伸びの鈍化はあるものの、依然前年比で大きく伸びている販売高という見方である。
◇Global semiconductor industry posts highest-ever quarterly sales (11月3日付け ELECTROIQ)
◇Chip Market Growth Continues to Slow in September (11月4日付け EE Times /Blog)
→European Semiconductor Industry Association(ESIA)発表、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationまとめデータ発。
9月のグローバル半導体市場のannual伸長が、4ヶ月連続で鈍化、にも拘らず、グローバルな前年同月比の伸びが8.0%、8月の9.5%からは低下の旨。
欧州はdollarベースでこれに沿っており、7.9%の伸び、8月の10.7%からは低下の旨。
◇Global chip sales rise 8% in 3Q14, says SIA (11月4日付け DIGITIMES)
この2014年はどうなるか、早々とそれを見越した販売高トップ20サプライヤの予想データが、IC Insightsから速報の形で以下の通り表わされている。
20社のうち9社が二桁伸長、さらに3社が20%を超える伸び率となっている。
モバイル機器活況への乗り具合が大きく左右するここ数年の流れが続いていると見られている。
◇Nine of the Top 20 Semiconductor Suppliers are Forecast to Register Double-Digit Growth in 2014!-TSMC, MediaTek, and SK Hynix's sales are each expected to jump by > 20% this year. (11月6日付け IC Insights)
→IC Insightsによる2014年半導体(ICおよびO S D[optoelectronic, sensor, and discrete])販売高トップ20サプライヤ速報、データ下記参照。
⇒http://www.icinsights.com/files/images/bulletin20141106Fig01.png
トップ20、今回の概要:
・前年比二桁伸長が9社
・本社国籍別 →米国 8、日本 3、欧州 3、台湾 3、韓国 2、シンガポール 1
・20社の中に、専業ファウンドリー2社、ファブレス6社
≪市場実態PickUp≫
【Qualcommと取り巻く通商摩擦】
cellphone用半導体世界最大手、Qualcommが、売上げ台数を減らしてロイヤリティ支払いを避けていると、中国の携帯電話メーカーを責める一方、中国政府はQualcommの独占禁止抵触の調査を行っている。米国FTCおよび欧州ECも同社のビジネスのやり方を調べる事態となっている。
◇China Owes Us, Qualcomm Says-OEMs failed to report $100 million-plus in sales, it claims (11月5日付け EE Times)
→世界最大のcellphone用半導体メーカー、Qualcommと中国政府が、特許係争で顔と顔を突き合わせている様相の旨。Qualcommは、本日の四半期業績発表で批判の弁、中国のphoneメーカーがロイヤリティ支払いを避けるためにcellphone数億台の売上げを発表していない、としている旨。
Qualcommとしては、今年同社半導体搭載のhandsetsが13億台、来年は15億台が販売されると見ているが、handsetメーカーは今年10.4億〜11.3億台の販売の発表に留まる見込み、報告されない分170〜260 millionの差がある旨。一方、China National Development and Reform Commission(NDRC)は引き続き、Qualcommのビジネスpracticesを調査している旨。
◇Qualcomm Says FTC Is Investigating It-Chip Maker Posts Unexpectedly Weak Results as Regulatory Problems Spread Beyond China-Qualcomm misses estimates, reports FTC, Euro probes (11月5日付け The Wall Street Journal)
→Qualcommが、中国の独占禁止調査を扱う中、Federal Trade Commission(FTC)およびEuropean Commission(EC)が同社の特許licensingなどビジネス慣行を調べている、とregulatory filingで明らかにした旨。同社は本日、第四四半期業績を発表、売上げ3%増でWall Street予想を下回った旨。
そんな中でのQualcomm社の7〜9月期業績発表が行われているが、市場の予想を下回る内容である。
◇クアルコム、7〜9月は純利益26%増 (11月6日付け 日経 電子版)
→クアルコムが5日発表した7〜9月期決算。売上高が前年同期比3%増の$6.692 billion(約7670億円)、純利益が同26%増の$1.894 billion。スマートフォン向け半導体の圧倒的なシェアを生かし、堅調に業績を伸ばすとともに、利益率の高いチップの販売が増えた旨。売上高、1株あたり利益ともに市場予想を大幅に下回り、10〜12月期の販売予想も市場の予想を下回った旨。クアルコムのシェアの高さは中国の国家発展改革委員会から独占禁止法に抵触する可能性が指摘されており、10億ドルを超える課徴金が科される可能性が指摘されている旨。欧米でも販売奨励金などで不公正取引の調査を受けている旨。
【Dell Worldでの問題意識】
Dell World 2014のイベントにて、現下のエレクトロニクス業界の問題意識が次の通り表わされている。セキュリティの重みは然り、もう1つ、データの山からエッセンスを引き出す人材不足が指摘されている。
◇CTOs Wrestle With Mobile Security (11月4日付け EE Times)
→Dell World 2014(11月4-6日:AUSTIN, Texas)にて。Dellが行った調査およびchief technical officers(CTOs)パネルによると、セキュリティがビジネスユーザにとって心配事のトップである旨。
◇Big Data Goes Unicorn Hunting-Thousands of data scientists needed (11月6日付け EE Times)
→Dell World 2014(11月4-6日:AUSTIN, Texas)のパネル討議にて。今日のビッグデータ時代で、米国にはデータscientistsが欠乏している旨。データanalyticsのopportunitiesはたくさんあるが、大きな課題は山のような情報から有用な洞察を引き出せる人々を見い出すことにある旨。
【中国・JCETの買収提示】
中国の組立実装&テスト最大手、JCETが、苦境のシンガポールのSTATS ChipPAC買収に名乗りを上げている。グローバルなsupply chain進出の今後に注目である。
◇Changjiang Electronics Offers $780 Million for Stats ChipPac-JCET makes $780M offer to acquire STATS ChipPAC (11月6日付け Bloomberg)
→中国最大の半導体実装&テストメーカー、Jiangsu Changjiang Electronics Technology Co.(JCET)が、赤字のシンガポールの競合、Stats ChipPac Ltd.の買収に$780 millionを提示の旨。
◇Chinese firm in talks to buy STATS ChipPAC from Temasek-Jiangsu Changjiang Electronics Technology will negotiate with the semiconductor company and ST Semiconductors, in talks that could go on till Nov 30. (11月6日付け Channel NewsAsia)
◇China firm in talks to buy STATS ChipPAC (11月7日付け DIGITIMES)
【Globalfoundriesの設計パートナー】
IBMの半導体製造部門がファウンドリーのGlobalFoundriesに譲渡という発表が行われたばかりであるが、Globalfoundriesが、自社のfabsに向けたIPおよび設計サービスを行うパートナーを得ている。そこには、IBMのBurlington, Vt.拠点出身の15人の設計チームメンバーが含まれている。
◇Globalfoundries Wins Design Partner-Two firms merge, hire small IBM team-GlobalFoundries teams with IP cores, design services provider (11月6日付け EE Times)
→Globalfoundriesが、自社fabsに独占的に向けてintellectual property(IP)コアおよび設計サービスを供給する新しいパートナーを獲得、14-nm FinFETノードへの競争に向けて一押しになる期待の旨。このパートナーは、Invecasであり、SoCtronicsがKool Chip社を買収、それにIBMのBurlington, Vt.のoperationsを離れてFinFET設計経験をもつメモリエキスパート15人のチームを採用して、一緒になっている経緯の旨。
◇GLOBALFOUNDRIES and INVECAS introduce new dedicated design service partner for leading-edge technologies (11月6日付け ELECTROIQ)
【なんと13才!】
インテルがグローバルに展開する投資部門、Intel Capitalの出資先を見ていたら、そのうち1つは、インドの13才、中学生の少年が低コスト・携帯プリンタを擁して起こしたstartupということに気がついた、以下の順序の内容である。
◇NetSpeed Systems raises funding to make networking chips easier to design-Intel Capital targets chips, cloud, wearables, wireless (11月4日付け VentureBeat)
→Intel Capitalが、Big Data/cloud computing, microprocessors(MPUs), wearable electronicsおよびワイヤレス通信に照準を当てて、16のハイテク重点化startupsを支援している旨。出資を受けているのは、network-on-a-chipデバイス設計用intellectual property(IP)開発のNetSpeed SystemsおよびLego-ベースBrailleプリンタを作ったBraigo Labsなどの旨。
◇Schoolboy gets Intel backing for low-cost Braille printer (11月6日付け EE Times India)
→Shubham Banerjee君は普通に見る中学生、ただしおそらく世界最年少のventure capital-支援のentrepreneurである旨。その13才の少年のstart-up, Braigo Labs社が最近、Intel Capitalからseed round出資を獲得、低コスト・携帯Brailleプリンタのteenライン拡大に用いる旨。
≪グローバル雑学王−331≫
大航海時代の始まりからヨーロッパ世界の拡張を3回にわたって見てきた3回目は、
『知れば知るほど面白い 地理・地名・地図から読み解く世界史』
(宮崎 正勝 著:じっぴコンパクト新書 198) …2014年7月7日 初版第1刷発行
より、フランス、イタリアそしてドイツなどに関わるこの時間軸、1500年から1700年あたりの動きに注目する。ハプスブルク家とオランダの対立、そしてブルボン家とルイ十四世の時代と、世界史の展開が表わされている。「オランダ」の呼び名の由来、イベリア半島での歴史的な「飛び地」という、なぜ?にも答えている。
第4章 大航海から始まるヨーロッパ世界の膨張
25 なぜ、「ネーデルランド」のことを「オランダ」と呼ぶのか?
……→ハプスブルク家とオランダの対立
◇地名の謎25:「低い土地」、それが正式名称
・オランダの英語正式名称「Kingdom of the Netherlands」
→オランダ語「Nederland」に近い言葉
・日本での正式名称「オランダ王国」
→英語でも「Holland」という呼び方も
→オランダの中心的地域の州名「北ホラント」「南ホラント」に由来する国名
・日本での通商を主導したポルトガル人の呼び方「Holland」から、日本では「オランダ」が一般化
◆世界史の展開25:
〓ヨーロッパに君臨した華麗なる一族
・皇帝位を世襲、大いなる権力を築く一族が現れる
→オーストリアのハプスブルク家
→婚姻政策により、一族の領地を増やしていった
・ハプスブルク家出身のフィリップとスペイン王女との間に生まれたカール
→オーストリア、オランダ、スペインなどを領有したほか、神聖ローマ皇帝として、ドイツ諸侯の上に立った
〓オランダの独立と江戸幕府
・北部の低地地方は、1581年、独立を宣言。ネーデルラント連邦共和国(オランダ)と称す。
→正式な独立は、1648年のウェストファリア条約の締結まで待ちに
→アメリカ大陸との貿易で経済的な繁栄の基礎
・1602年、東インド会社を設立、アジアの貿易の支配権をポルトガルから奪う
・徳川江戸幕府が、唯一の貿易相手として選んだのが、オランダ
→「経済は経済」と割り切っていたオランダ
26 ジブラルタルは、なぜイギリス領になったのか?
……→ブルボン家とルイ十四世の時代
◇地図の謎26:イベリア半島には、いくつの国がある?
・イベリア半島にはポルトガルとスペインに加え、例外となる土地が2つ
→ピレネー山脈の奥地にあるアンドラ公国
…1993年、国家として独立。国家元首にはウルヘル司教とフランス大統領が共同
→アフリカとヨーロッパとが向かい合うジブラルタルの地
…戦勝の代償としてイギリスが得たいくつかの領地のうちの1つ
・世界各地には、歴史的につくられた「飛び地」が、今も存在
◆世界史の展開26:
〓アンリ四世と三十年戦争
・ヨーロッパの名家、フランスのブルボン家
→ブルボン朝の創始者、アンリ四世
→1598年、ユグノーと呼ばれる新教徒にも大幅に信教の自由を与えるナントの勅令
・アンリ四世の死後も新教徒と旧教徒との争いが、ヨーロッパ的な規模で発生
→ハプスブルク家とブルボン家の争いへと進展 …三十年戦争
・戦いを終結させたウェストファリア条約(1648年)
→オランダの独立
→神聖ローマ帝国は事実上崩壊
〓ルイ十四世の政治
・三十年戦争の最中に即位、ヨーロッパ大陸に覇を唱えたルイ十四世
→土木建築事業 …ヴェルサイユ宮殿
→度重なる侵略戦争
…1つに、スペイン継承戦争。戦後、結ばれたユトレヒト条約(1713年)で、ルイ十四世の孫、フェリペ五世がスペインの王位に。
→その代償でイギリスに与えられたジブラルタル
→ナントの勅令を廃止(フォンテーヌブローの勅令:1685年)、新教徒を冷遇
・「太陽王」ルイ十四世のもと、ブルボン王朝は確実に衰退への道のり