1月、2月と出だし好調、米国の伸びが目立つ世界半導体販売高
米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高の発表が行われ、今回はこの2月であるが、前年同月比で1月が8.8%増、そして2月が11.4%増と、良い出だしの本年、2014年となっている。史上最高の年間販売高となっている昨年、2013年であり、本年もさらに更新となるか、モバイル機器が引っ張る読みにくい現下の市場となっており、引き続き成り行き推移に注目である。地域別には、前年同月比の伸び率から米国が牽引する状況が続いている。
≪2月世界半導体販売高および2013年ITRS & ランキング≫
米SIAからの発表内容が、以下の通りである。
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○2月の世界半導体販売高が昨年比11.4%増−Americas地域の2月販売高は前年比18%増 …4月4日付け SIAプレスリリース
半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2014年2月の世界半導体販売高が$25.87 billionに達し、2013年2月の$23.23 billionから11.4%の増加となった。これはここ3年以上で業界最大の前年比増加である。2014年2月のグローバル販売高は、2014年1月の$26.26 billionを1.5%下回り、通常の季節的傾向を映し出している。地域別では、Americasの販売高が昨年2月を18%上回った。月次販売高の数値はすべてWSTSのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
「グローバル半導体業界についての傾向線は依然プラスであり、2013年の売上げ新記録に続いて、2014年に向けて元気づくスタートとなっている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「Americas市場が引き続き印象的な伸びを示す一方、Asia PacificおよびEuropeの販売高も前年比相当な増加となっており、日本市場は最近の戻しを続けている。」
地域別には、Americas(+18.0%), Asia Pacific(+12.0%)およびEurope(+9.6%)と前年同月比で販売高が増加した。Japan(-0.2%)は僅かに減少したが、同地域の2月は2012年8月以来前年同月比減少が最小となった。すべての地域にわたって2月販売高は前月、1月より減少したが、季節的な傾向から2月販売高は1月よりも歴史的に低くなっている。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Feb 2013 | Jan 2014 | Feb 2014 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 4.47 | 5.59 | 5.28 | 18.0 | -5.6 |
Europe | 2.69 | 2.95 | 2.95 | 9.6 | -0.1 |
Japan | 2.85 | 2.86 | 2.84 | -0.2 | -0.5 |
Asia Pacific | 13.22 | 14.86 | 14.80 | 12.0 | -0.4 |
計 | $23.23 B | $26.26 B | $25.87 B | 11.4 % | -1.5 % |
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市場地域 | 9-11月平均 | 12- 2月平均 | change |
Americas | 5.87 | 5.28 | -10.1 |
Europe | 3.08 | 2.95 | -4.2 |
Japan | 3.07 | 2.84 | -7.5 |
Asia Pacific | 15.16 | 14.80 | -2.4 |
$27.19 B | $25.87 B | -4.9 % |
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「米国半導体市場は直近の1年にわたってグローバル市場の重要な牽引役であり、Washingtonのpolicymakersは引き続く伸びへの障害を取り除く対策を施してこの勢いを維持する支援が行える。」とTooheyは続ける。「このような障害の1つがAmericaの機能不全のimmigrationシステムであり、H-1Bビザ不足が雇用者から急速に求められた今週にふたたび露呈している。
lawmakersは時代遅れのimmigration政策が経済成長および革新を阻害することを認識すべきであり、即座に有意義なimmigration改革を制定するよう協働すべきである。」
※2月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/February%202014%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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2013年のデータがまとめて発表されるこのタイミングであるが、米SIAからは上記の販売高発表の少し前に、これも恒例、2013年の国際半導体技術ロードマップ(ITRS)が披露されている。15年先まで見渡した半導体技術展開の景観が表わされている。
◇International Technology Roadmap for Semiconductors Explores Next 15 Years of Chip Technology -Report Presents Near and Long-Term Challenges and Opportunities Relating to Smaller, Faster, More Energy Efficient Semiconductors (4月1日付け SIA Press Release)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2028年までの半導体業界の技術課題および機会を評価するコラボ活動、2013 International Technology Roadmap for Semiconductors(ITRS)をリリース、ITRSは、将来の技術的障害および不足の同定を行って、業界および研究機関が効果的にコラボ、それらに打ち勝って次世代の半導体を構築できるようにする旨。ITRSは、世界の5地域、欧州、日本、韓国、台湾および米国が主催、International Roadmap Committeeが引っ張っている旨。
米SIAの発表で、2013年ITRSでの重要な知見および予測をまとめており、以下の通りである。
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○向こう15年の半導体技術を探る国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)−小型化、高速化、高エネルギー効率半導体について短期的および長期的ChallengesおよびOpportunitiesを示す …4月1日付け SIAプレスリリース
2013 ITRSでの重要な知見および予測:
[デバイス]
*3Dデバイスアーキテクチャーと低電力デバイスが合わさって、端的に“3D Power Scaling”と称される新時代のscalingの到来を告げている。
単位面積当たりのトランジスタ数の増加は、やがてトランジスタの複数層stackingにより達成されるようになる。
*carbon nanotubes, graphene combinationsなどedgeless wrapped材料の操作の進展から、次の10年で現われる可能性のballistic conductorsの有望性が示される。
*今後の半導体製品に向けて全く新しいopportunitiesを供給する方法が2つ加わっており、1つは、新技術のheterogeneous統合によりCMOSプラットフォームの機能性を拡張すること。2番目に、新しい情報処理の枠組みをサポートするデバイスの発明を刺激することである。
[システム統合]
*GPS, phone, タブレット, 携帯電話など限られた空間での複数の技術の統合により、設計の主な目標が性能重点アプローチから電力削減重点アプローチにシフト、半導体業界に大変革が起きている。
*Long Term Devices and Systems(7-15年範囲, 2020年より先)にて2013 ITRSは、全く新しい原理で動作、全く新しいアーキテクチャーに従う全く新しいデバイスを報告している。例えば、spin wave device(SWD)は、情報伝送&処理のためにcollective spin oscillation(spin波)を利用する一種の磁気ロジックデバイスである。SWDは、入力電圧信号をspin波に変換、spin波で計算、そして出力spin波を電圧信号に変換する。
[製造]
*寸法scalingが引っ張るintegrated circuits(ICs)の製造は、2013 ITRSの15-年範囲内で数nmレンジにかなり達していく。
*2013 ITRS版に加わったのは、新しいsub-chapter、big data(BD)である。
fabは引き続いて一層データ重点になっており、データ量、通信速度、品質、merging, およびusabilityへの要求が理解され、定量化される必要がある。
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2013年の市場データとして、半導体サプライヤランキングが確定的に発表されており、TSMCなどファウンドリーを含めたIC Insightsのトップ20が以下の通りである。
◇IC Insights Shows Big Changes to 2013 Top 20 Semi Supplier Ranking-SK Hynix, MediaTek, Micron, and Qualcomm each registered >30% year-over-year growth. (4月1日付け IC Insights)
→IC InsightsのThe 2014 McClean Report、4月版。2013年半導体サプライヤランキング、トップ20社を本社を置く国・地域で分けると次の通り:
米国 9社、日本 3社、台湾 3社、欧州 3社、韓国 2社
・≪表≫ 2013年半導体サプライヤランキング・トップ20
⇒http://www.icinsights.com/files/images/bulletin20140401Fig01.png
・≪表≫ 上記トップ20に入っているファウンドリー3社を除いたとき加わる3社
⇒http://www.icinsights.com/files/images/bulletin20140401Fig02.png
・≪表≫ 2013年半導体サプライヤランキング・トップ20の伸び率順
⇒http://www.icinsights.com/files/images/bulletin20140401Fig03.png
◇Top 20 IC Vendors 2013-Micron, Hynix, Broadcom move up among top 20 chip vendors (4月2日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。2013年販売高による半導体ベンダーランキングのトップ4は2012年と変わらず、Intel, Samsung Electronics, TSMCおよびQualcommの順、昨年Elpida Memoryを買収したMicron Technologyが2012年10位から2013年は5位に、SK Hynixが8位から6位に、Broadcomが11位から9位にそれぞれ上昇の旨。
昔からのDataquestデータを引き継ぐという理解のGartnerからのトップ10が次の通り表わされている。活況のモバイル機器に向けたプロセッサ、メモリのベンダーが圧倒的に伸びている構図となっている。
◇Worldwide Semiconductor Revenue Grew 5 Percent in 2013, According to Final Results by Gartner-Intel Retained the No. 1 Position for the 22nd Year in a Row (4月3日付け Gartner)
→2013年の世界半導体売上げ総計が$315 billion、2012年から5%増、トップ25ベンダーの売上げ合計が同6.9%増の旨。2013年メモリ市場は23.5%増、ランキング上位にメモリベンダー集中の旨。
2013年半導体ベンダー売上げトップ10 (金額:USM$):
2012 順位 | 2013 順位 | ベンダー名 | 2012 売上 | 2013 売上 | 2012-2013 伸び率(%) | 2013 シェア(%) |
1 | 1 | Intel | 49,089 | 48,590 | -1.0 | 15.4 |
2 | 2 | Samsung Electronics | 28,622 | 30,636 | 7.0 | 9.7 |
3 | 3 | Qualcomm | 13,177 | 17,211 | 30.6 | 5.5 |
7 | 4 | SK Hynix | 8,965 | 12,625 | 40.8 | 4.0 |
10 | 5 | Micron Technology | 6,917 | 11,918 | 72.3 | 3.8 |
5 | 6 | Toshiba | 10,610 | 11,277 | 6.3 | 3.6 |
4 | 7 | Texas Instruments | 11,111 | 10,591 | -4.7 | 3.4 |
9 | 8 | Broadcom | 7,851 | 8,199 | 4.4 | 2.6 |
8 | 9 | STMicroelectronics | 8,415 | 8,082 | -4.0 | 2.6 |
6 | 10 | Renesas Electronics | 9,152 | 7,979 | -12.8 | 2.5 |
その他 | 145,986 | 147,883 | 1.3 | 46.9 | ||
市場全体 | 299,895 | 314,991 | 5.0 | 100.0 |
[Source: Gartner (April 2014)]
≪市場実態PickUp≫
【「IDF14 Shenzhen」から】
米Intel社の中国・深センにおける開発者会議「IDF14 Shenzhen」(4月2-3日:Sheraton Shenzhen Futian Hotel)では、同社モバイルプロセッサの中国市場での拡販に向けた新しい深セン技術センターのオープンが注目である。
◇Intel to bring exclusive content to devices powered by its mobile chips-Intel will work with vendors to provide unique content (4月2日付け PCWorld)
→Intelが、同社のモバイルプロセッサで動くゲームなどの製品に対してベンダーにユニークなコンテンツの供給を支援、ライバルのARMとの違いを際立たせる期待の旨。
◇Intel taps Chinese tech hub to fuel its mobile processor business-Intel is establishing a new innovation center in Shenzhen-Intel to push mobile processors in China (4月2日付け Techworld (U.K.)/IDG News Service)
→Intelが、中国市場での同社モバイルプロセッサ採用を推進するために、Shenzhen(深セン), Chinaに技術センターをオープンする計画、lower-endモバイル機器に向けて第四四半期に低電力Atom "SoFIA"プロセッサを出す予定の旨。
◇Intel CEO outlines new opportunities, investments and collaborations with China technology ecosystem (4月3日付け DIGITIMES)
→Intel Developer Forum(Shenzhen[深セン], China)にて、IntelのCEO、Brian Krzanich氏の基調講演。computing業界の景観が急速に変容、同社中国での約30年の歴史に立った、そして新たな革新を加速、computing業界を造り直すために特にShenzhen(深セン)における伸びゆく技術ecosystemとコラボする同社の計画をプレゼン、ShenzhenのIntel Smart Device Innovation Centerおよび$100 million Intel Capital China Smart Device Innovation Fundの設立を発表の旨。
【IBMのウェーハfab拠点買収を巡って】
IBMの半導体operations買収について、GlobalfoundriesがIntelを押しのけてその有力候補になっているという噂が表面化している。
◇Globalfoundries edges out Intel for IBM chip-making business: WSJ (4月3日付け Reuters)
→Wall Street Journalが未確認筋からの木曜3日発を引用。contract半導体メーカー、GlobalfoundriesがIBMの半導体operationsを買収する有力候補としてあらわれてきており、Intel社を徐々に押しのけている旨。
◇GlobalFoundries rumoured to be sniffing around IBM's fabs-GlobalFoundries reportedly considers acquiring IBM chip plants (4月4日付け Bit-Tech.net)
→情報筋発。GlobalFoundriesがIBMのウェーハfab拠点買収を模索する1つになっているが、IBMが求めている$2 billionの価格tagが差し迫った取り引きを妨げている可能性の旨。Intelももう1つ買収模索とされているが、TSMCはこの競争から脱落していると見ている旨。
【wearableの取り組み】
wearable electronicsへの取り組みが続いており、IntelのEdison computerそしてImagination TechnologiesのMIPSアーキテクチャーベースのNewtonプラットフォームについて、以下の通りである。
◇Intel upgrades tiny Edison computer-SD-size device gets connectivity capabilities as Intel moves to target wearable devices-Redesigned Edison computer can connect to more sensors (3月28日付け Computerworld/IDG News Service)
→Intelが同社Edison computerを再設計、該カード大機器がさらに多くのセンサにつながってwearable electronicsへの設計をより容易にする旨。一方、IntelはLeixlip, Irelandのウェーハfab拠点に$5 billionを投資する計画を発表、該工場の製造capabilitiesを格上げする旨。
◇Chip Designer Imagination Says Wearable Boom Will Vindicate Its Risky Expansion-Imagination sees MIPS acquisition as key to move into wearables (4月1日付け Forbes)
→昨年のMIPS Technologiesの$100 million買収が、Imagination Technologies Groupのwearable electronics市場戦略で重要な役割を果たしている旨。ImaginationはGoogleのAndroid Wearプロジェクトに参画している一方、ライバルのARM Holdingsはそうでない旨。
◇Newton is the first MIPS-based mini-computer for wearables-The Newton development kit is the first with a MIPS CPU-China's Ingenic offers card-sized computer with MIPS processor (4月1日付け ITWorld.com/IDG News Service)
→中国の半導体メーカー、Ingenic Semiconductorが、MIPSプロセッサベース、SDカードの大きさの小型computer、Newtonを投入、wearable electronics用のハードウェア開発kitとして役に立つ旨。「該Newton board-level computerは、Android Wear mobile operating system(OS)コンパチに作られる」(MIPS半導体のサプライヤ、Imagination Technologies Groupのspokesman、Alexandru Voica氏)旨。
◇This quarter-sized chip platform could power future Android Wear devices (4月1日付け Engadget)
→Imagination Technologies (MIPS)が、半導体製造パートナー、Ingenicが作ったMIPSアーキテクチャーベースのNewtonプラットフォームを披露の旨。
【MEMSマイクロフォン市場】
最も急速に伸びるMEMSコンポーネントという期待のあるMEMSマイクロフォンの市場について、2社からともに積極的な予測データが出されている。
◇MEMS Mics Pass $1B Milestone-IHS: MEMS microphones to exceed $1B this year (4月2日付け EE Times)
→IHS Technology(El Segundo, Calif.)発。2014年のMEMS microphones市場が、2013年の$837 millionから24%増、初めて$1 billionを上回ると見る旨。
◇MEMS microphone market to grow at 13% CAGR, reaching $1.65B by 2019 (4月2日付け ELECTROIQ)
→Yole Developpement発。MEMS microphoneは、最も急速に伸びるMEMSコンポーネントの1つ、その市場は2013年の$785Mから2019年までに$1.65Bに拡大、出荷は2013年の2.4B個から2019年には6.6B個に伸びると見る旨。
【DARPA関係】
1957年に設立された米国防総省内の研究開発部門である高等研究計画局が以下にあるDARPAとのことであるが、今後に向けた新たな動き、組織ということで注目した以下2点である。
◇DARPA looks to GPUs to help process big data in the military-DARPA considers GPU tech for wider use in the cloud, Big Data analytics (3月31日付け IT PRO (London))
→Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA)が、戦地の軍隊にBig Data analyticsを供給するために、自らのXDATA computing cloudにおいてgraphics processing units(GPUs)をさらに使いたい旨。
◇New DARPA Office Merges Biology & Technology (4月3日付け EE Times)
→Defense Advance Research Program Agency(DARPA)が、国家安全に向けた技術を進めるために、生物学、工学およびコンピュータ科学を溶け合わせた部門を設立、該Biological Technologies Office(BTO)の目標は、生命科学が招来する次世代システムを開発することの旨。
≪グローバル雑学王−300≫
孔子からの儒教の流れに続く中国関係の後半は、孟子、朱子学、そして中国仏教について、
『世界は宗教で動いてる』
(橋爪 大三郎 著:光文社新書) …2013年6月20日 初版1刷発行
より、それぞれの内容、展開を見ている。インドから中国へ、そして中国から我が国へ、仏教のそれぞれにおける展開経緯に注目している。禅宗、浄土宗と浄土真宗、天台宗と、我々に身近な宗教、宗派のおおもとが見えてくる。
第五講義 中国文明と儒教・仏教−儒教はなぜ宗教といえるのか
クエスチョン3 孟子と革命の思想
・孟子(紀元前372?〜前289年)は、「あるべき政府」「あるべき政策」について、具体的な提案
→君主は人民のことを考えて政治を行うべき
人民は、君主がしっかりしているかぎり、政府に従うべき
・私有財産を否定し、人民も土地も国のものであるという、公地公民制を主張
→井田法…8軒の農家が単位、井の字で区切られた農地の周囲の8ブロックを耕作。中央のブロックは共同で耕作、その収穫を納税に(税率9分の1)。
→日本の班田収授法のもとに
→農民の義務と政府の任務とは、ペアになるべき。一種の、双務契約
・政府が任務を果たさない場合、農民は、遠慮なく政府を打倒してよい
→世界最初の革命思想 …易姓革命論、湯武放伐論
→儒教は、クーデター、政権交代を是認
クエスチョン4 朱子学とはなにか
・朱子学が起こった宋
→科挙の制度が完成、皇帝を中心とする行政官僚制が出来上がる
・政治的リーダーに対する忠誠
→絶対的な服従義務があることを詳しく説明しているのが、朱子学のひとつ大事な点
・朱子学の創始者、朱熹(1130〜1200年)
→江戸幕府が官学として用いた朱子学
→家を継げない次男三男や、出世の見込みがない下層の武士が特に、熱心に儒学を勉強
・科挙は幕藩体制と真っ向から対立する原理
→採用できるはずがなかった
クエスチョン5 中国仏教とはなにか
◆仏教の中国的展開
・人が「覚る」ことが大事で、そこに価値がある
→インドから中国に入ってきた考え方
→仏教は、中国になくてインドにある素晴らしいもの、と認識
→実利的な思考が強い中国にあまり見られない、死生観や宇宙観を追及する哲学的・抽象的思考
・儒教に慣れ親しんでいる中国人にとって、いくつか都合の悪い点
→インドには、祖先崇拝がない
→出家して修行する、という考え方
→出家修行と中国的価値観とは、矛盾、対立も甚だしい
・実利的な中国の人びとが考えたのが、「いいとこ取り」
→仏教を、学問として勉強するのは可、でも、出家と乞食は禁止する
→どうしても出家したいひとは、政府の許可をとること
・中国では、仏教は国家仏教となり、僧侶は、行政官僚とそっくりの官僚組織に統合
→僧綱(ソウゴウ)制
・中国経由で日本が取り入れた仏教
→奈良時代に僧侶は国家公務員に
→出家は許可制、政府の許可なく僧侶になった者を「私度僧」といって取り締まり
◆禅宗
・中国で、仏教が国営仏教になると、政府の財政負担に
→「仕分け」から、たったひとつ残ったのが、禅宗
→独立採算で、経済的に自立。禅宗は、中国的で、特殊な仏教
・禅宗は、仏教の戒律を無視して従わない
→釈尊の定めた戒律(具足戒)に従って修行するところを、独特な論理に従って、戒律を守らなくていいことに
・インド人の菩提達磨という僧
→自分の指導する座禅で修行を
→修行の本質は、文字によらないパフォーマンスに
・具足戒は、出家者が、世俗の活動(農業、商業、サーヴィス業、・・・)に従事することを禁止
→禅宗の修行ルールは、自給自足のための生産活動を行うことが、修行
→日本人の感性にとても合っていた
…日本人は、自分が従うルールを、自分の所属する集団で決めた場合、非常に安心する
◆浄土宗
・インドで発達した考え方、浄土教
→釈迦仏の代わりに阿弥陀仏だけを信仰
・当初は、極楽に往生することは目的ではなく、成仏するための手段
→次第に、阿弥陀仏に救済されて極楽に往生することが目的のように
⇒浄土宗
・中国でも支持を集めたが、日本ではなお流行
→浄土真宗も派生、現在、最も信者が多い宗派に
◆天台宗
・禅宗と並ぶ、中国独特の宗派、天台宗
・大乗経典は、釈尊が亡くなってから500年以上経過、さまざまな大乗教のグループが創作
→今日の仏教学の教えるところ
・経典の重要度を判別することを、教相判釈(略して、教判)
→中国では、さまざまな学僧によって、さまざまな教判が提案
・日本に最も影響を与えたのは、天台宗の五時教判
→開祖・天台智(538〜597年)が述べた説
→華厳経、阿含経、維摩経、勝鬘経、般若経(大乗教の基本となる経典)、法華経
→最澄によって日本に伝えられ、日本仏教の基軸に
→日本仏教の主要な宗派は、すべて天台宗から分岐