Semiconductor Portal

» ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

10月の世界半導体販売高/市場実態PickUp/グローバル雑学王−74

世界パソコン販売も第三四半期は予想以上に好調で前年同期を上回る調査データが出て、半導体販売へのプラスの効果が期待されるが、米国SIAから恒例月次の10月の世界半導体販売高が発表されている。経済危機から1年を過ぎて、前年同期比の値の意味合いもよく考えていかなければならないが、着実な回復基調は引き続いている。

≪10月の世界半導体販売高≫

米国SIAからの発表内容は次の通り。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○SIAが10月半導体販売高を発表…11月30日付けSIAプレスリリース

10月の世界半導体販売高は$21.7 billionで、前月、9月の$20.6 billionから5.1%増加した、とSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表した。この販売高は、前年同月、2008年10月の$22.5 billionを3.5%下回っている。2009年の1月から10月の販売高総計は$180.0 billionであり、2008年同期間の$215.8 billionから16.6%の減少である。これら月次の販売高の数値はすべて、グローバル半導体販売高の3ヶ月移動平均で表わされている。

「電子機器メーカーがholiday seasonに向けて生産を立ち上げるということで、10月は歴史的に売上げが力強い月である。supply chainを通しての在庫管理が非常に厳しくなってきており、第四四半期のbuild seasonが数週間延びるかもしれない。」とScalise氏は続ける。

「半導体販売高はグローバル経済全体の振る舞いによりますます引っ張られており、我々の販売高は世界市場における経済状況の改善を映し出している。すべての地域において販売高は前月比で増加している。」とScalise氏は締め括った。

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒ http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/GSR_0910.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これに関連する、あるいは10月のデータの勢いをもとにした記事として、以下が見られる。

◇October chip sales grew fastest in Europe (12月1日付け EE Times)

◇Analyst raises forecast on soaring October chip sales(12月1日付け EE Times)
→Carnegie ASA(Oslo, Norway)のアナリスト、Bruce Diesen氏。2009年半導体市場予測を2ヶ月連続で上方修正の旨。
         2009年   2010年
 今回      10%減   13%増
 前回(1ヶ月前)  14%減   11%増

◇October 'actual' chip sales up 14% on a year ago(12月4日付け EE Times)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)からの"actual"データ。10月のグローバル半導体市場は$22.05B、前年同月($19.38B)比13.8%増、月次販売高が前年同月を上回るのは2008年9月以来の旨。

SEMICON JAPAN 2009(幕張メッセ)が開催され、見学した方々のお話によると、会場のスペース、出展社数など大幅に縮小、減少とのこと。国内ではモーターショーはじめ軒並みと聞くが、現下の経済情勢では致し方ないことと思う。このような中、このところ業界関係の方々とのお話によく出てくる今後に向けた明るい話題として、"材料"および"LED"が上がってくる。

新機軸、新分野開拓となると、材料に遡らなければということか、2009 MRS(Materials Research Society) Fall Meeting(11月30日〜12月4日:Boston, MA)の盛況ぶりが次の通りとのことである。    

◇Material world: The growing synergy between nanomaterials, chips(12月2日付け EE Times)
→世界中から約6000人の産学関係者、強烈にも前年比20%増、次から次に出席者が廊下の床に座り込んで、laptopsに向かって音を立てている旨。

もう一つのLED。JAL(日本航空)の情報誌「Agora」12月号にも、次のように紹介されている。

◇◆LEDの時代
 …急速に認知度を上げている発光ダイオード(LED)。40年以上も前から科学の世界の一端で開発が進められてきたLEDが、照明として一般家庭に進出してきた。世はまさに、「LED元年」なのだ。…    ◇◆

厳しい環境の年の瀬の街を当世風のエコで明るく照らしてほしいものである。 


≪市場実態PickUp≫

現実に戻って、まずはSEMIからの装置市場データである。

【SEMI発】

◇SEMI: No new fabs expected in 2010 (12月1日付け EE Times)
→SEMI発。2010年のcapital spendingは65%増える見込みであるが、new fabsの計画は来年は依然保留となっている旨。

◇Chip equipment market to grow 50% in 2010, says SEMI(12月1日付け EE Times)
→SEMI発。2009年の新規半導体製造装置世界販売高は、1991年にデータ収集を始めて以来最大の落ち込みの旨。
 2008年  2009年  2010年  2011年
      $16.0B  $24.5B  $31.2B
 31%減  46%減  約53%増  約28%増

振るわない市場環境の今年の半導体ベンダー・ランキングで、Samsungの健闘ぶりが目立つが、来年に向けた投資意欲が次のように見られる。

【Samsungの積極スタンス】

◇Samsung plans a $6 billion capex for 2010, says report(12月2日付け EE Times)
→Korea Herald発。Samsung Electronics Co. Ltd.が、2010年に半導体事業が拡大するとして、約$6B投資する計画の旨。

◇Samsung plans to rival TSMC in foundry, says report(12月4日付け EE Times)
→朝鮮日報(Chosun Ilbo)発。Samsung Electronics Co. Ltd.が、TSMCに張り合うまで毎年ファウンドリー生産を倍増していく計画の旨。

◇Taiwan DRAM combined 2010 capex less than Samsung's projected budget(12月4日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のDRAMメーカー4社、Inotera Memories, Nanya Technology, Powerchip Semiconductor CorporationおよびProMOS Technologiesの2010年capex合計は$2.18Bをやっと越えるあたり、Samsung Electronicsが言っている同年$4Bに後れをとる旨。

最先端プロセスノード開発の連携として、欧州発の動きである。

【22-nm開発連携】

◇ASML and Brion Technologies extend partnership with STMicroelectronics-The companies are pursuing integrated lithography solutions for advanced chip development.(12月3日付け Electronics Design, Strategy, News)
→ASMLが子会社、Brion Technologiesとともに本日、28-nmノード運用および22-nmノード開発を早めるよう、STMicroelectronicsとの広範囲に及ぶ共同開発プロジェクトを発表の旨。

◇ASML, ST intensify work on 28-nm patterning (12月3日付け EE Times)
→プロジェクト・コード名、SOLID(Silicon printing Optimization with Lithography control and Integrated Design)。

冒頭にも触れたグローバルPC販売のデータである。台湾・Acer社の躍進に注目している。

【第三四半期PC販売】

◇Acer rises in rankings amid PC rebound-ISuppli revises global PC sales forecast, see smaller decline(12月3日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)、木曜3日発。予想以上に好調な第三四半期グローバルPC販売により、2009年PC販売予測を修正、第三四半期PC shipmentsは前四半期比19%増、前年同期比1.1%増。台湾のAcer社が第三四半期ランキングNo.2に、アジアOEMのこの高ランクは初の旨。ランキング・データ、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/091203_isuppli_pc_rankings.jpg

鳩山首相の国連演説が奏功してか、世界各国の温暖化ガス削減目標の足取り合わせの動きが続いている。

【温暖化ガス削減目標】

◇EU、温暖化ガス削減目標の引き上げ検討、中国と首脳会議。(11月30日付け NIKKEI NET)
→欧州連合(EU)は30日の中国との首脳会議で、温暖化ガスの排出削減を定めた数値目標の引き上げを検討すると表明、2020年までに1990年比で20%削減する目標を30%に上積みする方向、中国などが数値目標を公表したのを受け、国際社会に一層の排出削減を促す旨。
12月に第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)を控え、EUと中国は国際的な枠組みなどを協議、EU側は中国による独自の数値目標の設定を評価した旨。

◇インドもCO2削減目標、GDPあたり20〜25%。(12月4日付け asahi.com)
→インド政府が3日、同国の地球温暖化対策として、一定の国内総生産(GDP)を生み出すのに必要なCO2排出量を、2020年までに2005年比で20〜25%削減すると発表した。
主要排出国の中で削減方針を示すことに消極的だったインドが数値目標を定めたことは、デンマーク・コペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の交渉の弾みとなる旨。同時に、中国の削減目標と同様に経済成長に伴う排出増を妨げない目標を掲げたことで、途上国は総排出量の削減には応じないというメッセージも鮮明になった旨。


≪グローバル雑学王−74≫

国旗・国歌を軸にしたこの世界の国々めぐりも、残すところ南アメリカとオセアニアだけになった。今回の南米の国々について、注記事項は次の通り。

・ベネズエラ、コロンビア、エクアドルの3ヶ国…歴史と国旗の起源を共有
⇒1819年、グランコロンビア共和国が建国

『国旗・国歌の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 645) …2008年7月 第1刷

より、次のフォーマットで表している。

=========================
[国名] …国旗・国歌の一言コメント
≪基本情報≫ ・首都 あるいは 中心地 あるいは 本部
       ・面積
       ・人口
       ・言語
       ・宗教
* 国名、国旗、国歌に纏わるエピソード
=========================

各国・地域の国旗については、例えば以下を参照いただきたく思う。

※世界の国旗 ⇒ http://www.mofa.go.jp/Mofaj/world/kokki/index.html


【南アメリカの国々】

[アルゼンチン共和国(Argentine Republic)]
 …前奏だけで1分の国歌。作詞者は後の大統領に
・ブエノスアイレス(Buenos Aires)
・278万400km2 →日本の約7.5倍
・3953万人(2007年推定)
・スペイン語
・カトリック
*国名:「銀の川」の意、ラテン語由来のアルヘンティーナ(英語でアルゼンチン)
*イタリア・オペラのような壮大さが際立つ中南米諸国一群の国歌の代表

[ウルグアイ東方共和国(Oriental Republic of Uruguay)]
 …アルゼンチンの「五月の太陽」はウルグアイ国旗にも
・モンテビデオ(Montevideo)
・17万5016km2 →日本の約半分
・約334万人(2007年推定)
・スペイン語(公用語)
・カトリック
*国名の「東方 Oriental」…この地がウルグアイ川の東岸に位置することに由来
*アルゼンチン国歌と同様、前奏だけで約1分、全体で約4分半以上におよぶ長大な国歌

[エクアドル共和国(Republic of Ecuador)]
 …グランコロンビアの一部だった歴史を示す3色旗
・キト(QUITO)
・28万3561km2 →日本の約70%
・1334万人(2007年推定)
・スペイン語(公用語)、ケチュア語
・カトリック
*国名:「赤道」を意味するスペイン語
*国歌:勇壮で堂々たる合唱曲

[ガイアナ共和国(Republic of Guyana)]
 …旗の権威が作った独創的な国旗
・ジョージタウン(Georgetown)
・21万4969km2 →本州よりやや小さい
・73万8000人(2007年推定)
・英語(公用語)、クレオール語
・キリスト教、ヒンドゥー、イスラーム
*複雑な民族構成…インド系が約半数を占め、アフリカ系がそれに続く
*南米大陸で唯一、英語で歌われる国歌

[コロンビア共和国(Republic of Colombia)]
 …国歌の作詞者は4回も大統領をつとめた
・ボゴタ(Bogota)
・113万8914km2 →日本の約3倍
・4615万人(2007年推定)
・スペイン語
・カトリック
*現国名:1885年、コロンブスを記念してボリーバル(南米独立解放の英雄)が掲げたグランコロンビア(大コロンビア)を継承
*国歌:ラテン・アメリカ諸国の国歌に多いイタリア・オペラを思わせる壮大な曲。作曲者は実際にイタリア人。

[スリナム共和国(Republic of Suriname)]
 …多様な民族の統合をあらわす国旗の黄色い星
・パラマリボ(Paramaribo)
・16万3820km2 →日本の約50%
・45万8000人(2007年推定)
・オランダ語(公用語)、英語、ヒンディー語、インドネシア語(ジャワ語)、中国語、スリナム語(クレオール語)
・ヒンドゥー、イスラーム、プロテスタント、カトリック
*ヨーロッパ人と先住民の混血の他、インド系、インドネシア系、アフリカ系、中国系などの子孫が入り混じり、ミニ・ワールドとも
*国歌:神のもとで国のために献身と努力を説く内容、穏やかな曲調

[チリ共和国(Republic of Chile)]
 …新大陸を知らない作曲家による国歌
・サンティアゴ(Santiago)
・75万6096km2 →日本の約2倍
・1663万人(2007年推定)
・スペイン語
・カトリック
*20世紀後半はピノチェト軍事独裁政権、1990年以降、民主化が進む
*ラテンアメリカ諸国唯一、新大陸の地を一度も踏んだことのない作曲者による作品

[パラグアイ共和国(Republic of Paraguay)]
 …世界でただ1つ、表と裏の異なる国旗
・アスンシオン(Nuestra Senora de la Asuncion)
・40万6752km2 →日本の約1.1倍
・612万7000人(2007年推定)
・スペイン語、グァラニー語(ともに公用語)
・カトリック
*言語をはじめとする先住民・グァラニー文化が継承
*イタリア・オペラを思わせる壮大な国歌群のひとつ

[ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)]
 …最初の国歌は初代皇帝が作曲した
・ブラジリア(Brasilia)
・851万4877km2 →日本の約23倍
・1億9179万人(2007年推定)
・ポルトガル語(公用語)
・カトリック、プロテスタント、他
*1889年、帝政から共和制へと移行、以後、独裁政権や軍事政権の時代も。
 1985年以降、民主主義を取り戻す。
*国歌:勇壮な行進曲風、歌うには難しい部類

[ベネズエラ・ボリバル共和国(Bolivarian Republic of Venezuela)]
 …社会主義路線のチャベス政権下、国章のウマが左向きに変更
・カラカス(Caracas)
・91万6445km2 →日本の約2.4倍
・2766万人(2007年推定)
・スペイン語
・カトリック
*国名:「小ベネチア」の意。先住民が水上の家屋に住むのを見たスペイン人が名付けた地名
*革命の勇者が作った国歌、「ベネズエラのマルセイエーズ」とも

[ペルー共和国(Republic of Peru)]
 …独立の英雄サン=マルティンが選定した国歌
・リマ(Lima)
・128万86km2 →日本の約3.4倍
・2790万人(2007年推定)
・スペイン語(他にケチュア語、アイマラ語)
・カトリック
*1821年、南米南部の独立解放運動の指導者、ホセ・デ・サン=マルティン将軍により独立を宣言
*国歌:勇壮なコーラス(リフレイン)に続く独唱部分、ラ・マルセイエーズの冒頭によく似たメロディー

[ボリビア共和国(Republic of Bolivia)]
 …独立の英雄の名は国名にも国歌にも
・スクレ(Sucre) 事実上の首都:ラパス(La Paz)
・109万8581km2 →日本の約3倍
・952万人(2007年推定)
・スペイン語、ケチュア語、アイマラ語(すべて公用語)
・カトリック
*ベネズエラ生まれの独立解放の英雄、シモン・ボリーバル(新生国家の名)とその部下、アントニオ・ホセ・デ・スクレ(首都の名)
*国歌の歌詞:南米諸国に共通、圧政を憎み自由を尊ぶ内容

ご意見・ご感想