世界半導体ランク1位はSamsungが返り咲き〜ソニー健闘もベスト10圏外!〜
Gartner社の調べによれば(編集注1)、2024年の世界半導体市場は、18.1%も伸びて94兆円に達したという。いよいよ100兆円の大台が見えて来ており、2030年の200兆円突破も夢ではなくなったと言えよう。
こうした世界的な半導体ブームはひとえにAIという新たなビッグアプリが出てきたからである。今はデータセンター向け半導体が17兆円と巨大化しており、そのサーバーに多く使われている。しかしながら、スマホ、パソコン、自動車、ロボットなどにAIチップが大量に搭載されるのは間違いないところであり、半導体は全く次元の違う世界に入ったのだ。
このAI急伸がメモリの驚異的な成長を呼び込んでいる。2023年はメモリ不況であったが、一転して2024年は前年比71%増となり、Samsung、SK hynix、Micron Technologyなどはウハウハの状況。もちろん、AI向けの広帯域メモリであるHBM(High Bandwidth Memory)が大きな需要になったことが大きい。
さてSamsungは2023年に世界ランク3位に後退し、Intel、Nvidia(編集注2)の後塵を拝した。ところが前記の事情もあり、2024年は665億ドルの売り上げとなり、2位のIntelの491億ドルに大差をつけ、世界1位に踊り出た。
ちなみに、IntelはNvidia、SK hynixにも僅差で追われてヤバイことになっている。同社はシリコンファンドリ事業を売却するとの噂が絶えない。そしてCPUの時代はピークアウト、と見られており、Intelは失楽園に向かっていると陰口をいう輩も多いのだ。
それにしても、半導体の世界ランキングのトップ10から日本勢が消えて久しい。日本のエースと言われるソニーは2024年第3四半期に前期比18%も伸び、2024年度通期では1兆7700億円の売り上げ予想であるが、まだまだトップ10入りは見えて来ない。
もっとも、スマホの画面の大型化も進み、自動走行運転の増加、さらにはメタバースなどの期待もあり、ソニーの半導体はやはり大きく成長する軌道は見えている。これがために、熊本に37万m2の巨大用地を取り、超大型の新工場を計画しているのだ。
ソニーに加え、ルネサスも確実な成長を果たしており、キオクシアもようやく株式上場を実現、国家戦略カンパニーのラピダスも近々に一部稼働、ニッポン半導体の逆襲の条件はついに整ってきた!とは言えるだろう。
編集注
1. セミコンポータルでも「Gartnerが2024年世界半導体トップテンランキングを発表、Nvidiaは3位」を2月4日に掲載している。
2. Gartnerの調べでは、23年のNvidiaは5位であり、Samsungも2位に留まっている