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40回目の国際固体素子コンファレンス、ベル研から台湾へ戻ったSze教授が講演

9月23日から26日の4日間、つくば市の国際会議場で開催される国際固体素子コンファレンスは40年目を迎える。この会議は、半導体のデバイス、プロセス、材料に関する最先端の情報交換の場となっている。第1回が1969年だから、MOSがようやく日の目を見ようとしているころだ。今回、20年ぶりに参加、取材しようと思う。

米インテル社が最初のマイクロプロセッサである4004を発明したのが1971年であり、MOS集積回路ビジネスの曙ともいえる頃だった。9月23日の招待講演には台湾の交通大学教授のSimon M. Sze博士がスピーチする。私はSze教授とは一度も面識はないが、大学4年の時か入社1年目か記憶がはっきりしないが最初に出会った半導体の教科書がSze教授の書かれたPhysics of Semiconductor Devicesだった。このときの本はボロボロになり、10年ほど後に改めて購入したという経緯がある。写真は2番目に購入した本である。

Physics of Semiconductor Devices


当時Sze教授は、米国ニュージャージー州マレーヒルにあったベル電話研究所に勤務されており、技術スタッフとしての肩書でこの本を書いたようだ。この教科書の中ではMOSFETとはいわずIGFET(絶縁ゲート電界効果トランジスタ)と書かれていたが、液晶ディスプレイの駆動トランジスタである薄膜シリコンのTFTについても触れられておりその先見性は高いと思う。トランジスタ以外にもガンダイオードやインパットダイオード、レーザーダイオードといった最先端の技術についても触れられており、半導体デバイスを勉強するのにもってこいの教科書だった。Sze教授が今日の半導体産業や技術をどうみているのか非常に興味深く、講演は今から待ち遠しい。

一般講演はレートニュースを除き、749件の投稿に対して500件が採択された。大会関係者によると少し前まで投稿論文は減少傾向にあったが、最近は再び増加に転じているという。今回、分野を13にも広げたため投稿数が増えたとみている。13の分野は次の通り;
分野1 最新ゲートスタック/Siプロセス技術のサイエンス、
分野2 配線の集積化に向けた特性評価と材料技術
分野3 CMOSデバイス/デバイス物理
分野4 最新メモリー技術
分野5 最新回路とシステム
分野6 化合物半導体回路、デバイスとデバイス物理
分野7 フォトニックデバイスとデバイス物理
分野8 最新材料合成と結晶成長技術
分野9 高機能材料とデバイスの物理と応用
分野10 有機材料科学、デバイス物理および応用
分野11 マイクロ/ナノエレクトロニクスとバイオシステム
分野12 スピントロニクスの材料とデバイス
分野13 ナノチューブとナノワイヤーの応用

レギュラー論文500件のうち、口頭発表は339件、ポスター発表は161件である。採択数を国内・海外別でみると、日本からは投稿309件のうち263件採択、海外は391件投稿のうち237件となっており日本からの採択率は高い。だからといって日本の方がレベルは高いとは言えない。同様な傾向が米国での学会コンファレンスでも見られたからだ。産業界と学界とでみれば投稿件数は大学研究機関が590件に対してメーカー110件という関係だ。

最近の傾向として、海外からの投稿や発表が増えてきているという。特に、台湾、韓国、シンガポールからの発表が多い。インターナショナルアドバイザリスタッフはこれまで欧米中心だったが、台湾、韓国、シンガポールから今回それぞれ加わった。

High-k/メタルゲートのMOSFET特性からSiGeのナノワイヤー構造を利用するpチャンネルMOSFET、トレンチ構造のSiCパワートランジスタ、固体電解質を用いる抵抗変化メモリー、マウスの脳に埋め込むイメージセンサーなどの発表がある。

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