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半導体産業の好調はいつまで続くのか、SPIセミナーで議論しよう

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半導体産業の好調は2016年後半からプラス成長に転じて以来、ほぼ2年間毎月前年同月よりもプラスの成長を示してきた。半導体に新規参入する大手は多い。Google、Apple、Amazon、Facebookという最強のインターネットサービス企業(OTT:Over the Top)の中で唯一、半導体チップを開発してこなかったFacebookもとうとう半導体を開発することを決めたようだ。FacebookがGoogleのVR(仮想現実)向け画像処理チップ「Pixel Visual Core」のチップ開発責任者を雇い入れたのだ。

いまの半導体産業の好調さは、メモリによるところが大きい。NANDフラッシュが本来のスピードを生かすNVMeインターフェースを採用することにより、従来のSCSIやSATAベースのSSDよりもぐんと高速なストレージシステムができるようになる。これまでの携帯電話、デジタルカメラ、スマートフォンからコンピュータのストレージシステムへと応用を広げてきたNANDフラッシュだが、これからの新しいストレージシステムでももっと威力を発揮できるようになりそうだ。

またDRAMは、Samsung、SK Hynix、Micronの3社が95%以上の市場を占めるという寡占化産業になってしまったため、単価を上げ生産量をほとんど増やさずに売り上げを2倍近くに上げるというメモリバブルを2年間進めてきた。DRAM単価はまだ下がっていない。上げ止まった状態で推移している。SamsungはHynixは韓国同士の犬猿の仲なので、カルテルを結んでいるとは考えにくいが、わずか3社だけの産業ならライバル2社をチェックしておくだけで、値下がりを食い止められる。とはいえ、DRAM産業に二つの動きがみられる。中国の参入と台湾のファウンドリUMCの動きである。

また、ここにきてAI(機械学習やディープラーニング)が一過性のブームではなく、成長のメガトレンドとしてはっきりととらえられるようになってきた。その半導体チップやIPはどうなるのか。クラウドだけではなくエッジ側でもAIチップは使われることがはっきりしているが、その市場性はどうなのか。IoTはAIとセットに組み込まれることがはっきりしている。

ムーアの法則が飽和気味になっているとはいえ、半導体産業の終わりは見えない。単なる2次元平面での集積度を定義したムーアの法則は、3次元化でさらに高集積化が可能になる。すでにNANDフラッシュやDRAMなどのメモリは微細化ではなく3次元化と新メモリアーキテクチャで高集積化へと進む。TSVでDRAMを重ね合わせるHBM2やHMCはコンピュータシステムには有効だ。もちろん、ロジックは微細化の先頭を行くが、製造プロセスだけを進めても実際には設計が追いつけなくなる。ハードウエアロジックだけでなく、ソフトウエアで機能を変えるCPUプロセッサや、超並列演算にフォーカスできるGPU、さらに専用回路を自由に作れるFPGA、これらのハードウエア回路を集積するための設計手法や配線のアーキテクチャも進んでいる。

応用を見れば、ロボットやドローン、自動運転車にはAIチップやセンサフュージョンチップが必須となり、VR/ARなどの機器には新しい画像処理チップ、さらに工場や企業の生産性向上には工業用IoT、スマートフォンやクルマのADASシステムには顔認証向けの面発光レーザー、相手との距離を測るLidar用レーザー技術、5GのNR(New Radio: 新無線)に向けたRF技術やMIMOアンテナなど半導体が生きる。フィンテックではセキュアなシステムの暗号化、保存キー、ネットワークではブロックチェーン、フォーマットから制御システムまで半導体技術が求められるメディカルシステム、半導体が入手できなければ差別化できない技術は山のように控えている。

最新のWSTS(世界半導体市場統計)の5月時点のデータを見てもピークよりもわずかに低下傾向はみられるが、半導体の成長はどこまで伸びるか。長期的には数十年間も山谷を繰り返しながら成長する余地はまだ大きい。しかし短期的には作りすぎれば価格は下がりマイナス成長の年も出てくる。この1年の短期的に見通しはどうなるか、セミコンポータル会員である半導体の専門家とともに議論を深めたい。8月22日(水)13:30から機械振興会館でSPIマーケットセミナー「世界半導体市場、2018年後半を津田編集長と共に議論しよう」では、短期的、長期的視点から半導体産業の行方を議論していく。皆様、一緒に議論してみませんか。

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