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少電流・高速・1億回書き換え可能な相変化メモリをLEAPが開発

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相変化メモリがRAMとして使える可能性が出てきた。超低電圧デバイス技術研究組合(LEAP)は、結晶Aと結晶Bの遷移だけで相転移できる原理を利用したメモリを開発し、1億回を超える書き換え回数を得た。これ以上の書き換えテストは時間がかかりすぎるため、中止したという。

図1 1億回以上の書き換え回数を実現した相変化メモリ 出典:LEAP

図1 1億回以上の書き換え回数を実現した相変化メモリ 出典:LEAP


LEAPは2013年夏のVLSI Symposiumでこの相変化メモリの原理を発表していたが、今週米国で開催されているIEDM(International Electron Devices Meeting)でその動作結果を発表した。この新型相変化メモリは、Ge/Te薄膜とSb2Te3薄膜を交互に積み重ねた超格子構造を形成している。二つの薄膜間でGe原子が行き来して超格子結晶Aと超格子結晶Bとの相変化によって、抵抗値が1〜2桁変化する。結晶Aと結晶Bの中に存在するGe原子の周囲に湧き上がる電子雲の密度の違いによって、電流が違い抵抗が違ってくる。

従来の相変化メモリでは、結晶とアモルファスの状態を遷移していたために、結晶が溶けるほどの大きなエネルギーを必要とした。このことは、書き換えに必要な消費電力が大きいことを意味する。ジュール熱によって融点である625℃以上の高温になっていた。従来は、Ge(ゲルマニウム)とSb(アンチモン)、Te(テルル)の3元合金結晶を利用しており、結晶とアモルファス状態の違いによって、流れる電流値すなわち抵抗値が異なることを利用して、1と0を判別していた。

新開発の相変化メモリ素子は、超格子結晶における二つの状態の違いを利用して、1と0を判別する。ただし、超格子結晶膜を作製する場合に最初のころは品質の良いきれいな超格子構造が得られず、TEM(透過型電子顕微鏡)観察で合金相が一部見られた。今回は、GeSbTe合金相を極力排除し、高品質の超格子結晶を得ることで、書き換え回数だけではなく、その他の特性も改善された。書き込み電流は従来の1/25に当たる70µAと低減し(図2の右)、動作速度は従来の1/15の10nsと高速になった(図2の左)。


図2 新型超格子では書き換えに必要なパルス時間は短くて済み、高速動作が可能 出典:LEAP

図2 新型超格子では書き換えに必要なパルス時間は短くて済み、高速動作が可能 出典:LEAP


結晶Aと結晶Bとの間をGeが行き来する超格子構造だと、遷移するためのエネルギーが小さいため、消費電力は小さく、速度ロスも少ない、という訳だ。さらに抵抗値のバラつきも従来の合金結晶、初期の超格子、高品質の超格子と結晶性が向上するにつれ、バラつきが減るというメリットもある(図3)。製造には、デュアルカソード方式のPVD(スパッタリング)装置を使い、GeTeとSb2Te3のターゲットに当てる電子銃の切り替えによって超格子構造を作っている。


図3 超格子膜を形成した直後の抵抗値のバラつき このワイブル分布では抵抗値が立ち上がっているほどバラつきが小さいことを示す 出典:LEAP

図3 超格子膜を形成した直後の抵抗値のバラつき このワイブル分布では抵抗値が立ち上がっているほどバラつきが小さいことを示す 出典:LEAP


LEAPは、書き換え電流が50〜70µAと小さく、しかもゼロ磁場でMJT(磁気トンネル接合)抵抗のヒステリシスが得られるSTT(スピントランスファトルク)-MRAM(磁気ランダムアクセスメモリ)も開発し、このIEDMで発表している。従来は、浮遊磁場の影響で、抵抗のヒステリシスは、ある大きさの磁場で観測されていた。また、MRAMの2ビット/セル構造も発表した。

(2013/12/12)

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