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25周年を迎えたIMEC、ずっと右肩上がりでやってきたその成長の謎を探る

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IMECが創立25周年を迎えた。これまでの売り上げはずっと右肩上がりでやってきた。2009年7月に新たにCEOに就任したリュック・バンデンホッフ氏にインタビューすると、最初からグローバルにやってきたわけではないという。何が成功した要因なのか、インタビューを通してその謎に迫ってみた。

IMECの売り上げはずっと右肩上がり

IMECの売り上げはずっと右肩上がり


IMECの売り上げはこれまでずっと右肩上がりでやってきたが、「これは参加パートナー企業による強いコミットメントによって成長してきたものだ」とバンデンホッフ氏は言う。設立した1984年当時は、ベルギーのフランダース地方政府が半導体分野を強化しようという計画を提案していたが、実際に設立に動いたのは米国スタンフォード大学から戻ったロジャー・ヴァンオーバーストレーテン教授だった。当初は欧州における半導体産業の強化が狙いだった。

今はグローバルな半導体企業が参加しているIMECだが、最初からグローバル化を目指したわけではなかった。設立して5年経った1989年ごろから国際化が始まった。リュック・バンデンホッフ氏によると、「装置メーカーとの関係を密にする必要があったからだ」と言う。その年に最初のディープUVステッパのPAS5000を導入した。以来、ラムリサーチや東京エレクトロン、ASMLなど、日米欧の装置メーカーと協力して装置を開発してきた。国というよりも半導体企業や装置産業との協力を主眼に置き、IIAP(IMEC Industrial Affiliation Program)という名のプログラムを進めてきた。結果的にグローバルな企業が集まってきた。

1999年7月、ベルギー ルーベン大学のギルバート・デクラーク教授が、オーバーストレーテン教授が逝去された後を引き継ぎCEOとなった。2000年前半は200mmウェーハラインから300mmラインへスケールアップするのにどうしても多額の投資が必要になった。このためグローバル化を強め、より多くのパートナーシップを必要とした。このようにしてグローバル化が強化された。2004年には300mmのクリーンルームが完成、2006年にはフルCMOSの研究開発体制が出来上がった。この結果16nmのCMOSプロセスまで製造可能になった。

2008年には台湾の半導体企業と協力するため、IMEC Taiwanを新竹工業団地に設立した。このオフィスは台湾の半導体メーカーがIMECの研究開発プログラムを容易にアクセスすることで互いにウィン-ウィンの関係を築くとしている。

これまでのプログラムを総括すると、今も動いているR&Dプログラムが385件、大学とのコラボレーションが100校以上、スピンオフで誕生した企業が29社、フランダース地方のパートナーが400社、参加国は60カ国、生まれた雇用は4000人、にもなった。

しかし、バンデンホッフ氏は、「これまでの成功でさえ、未来の成功を保証するものではない」と言い切り、これからの成長戦略を描いた。IMECは「新しい半導体をベースとするソリューションこそが、ICTやエネルギー分野で必要とされ、21世紀の大きな問題を解決する」と認識している。持続可能な地球を新たに生み出すために再生可能なエネルギー源は緊急を要しており、このために消費電力の削減、インテリジェントな輸送手段や通信手段、もっと身近なヘルスケアサービスが求められると考えている。太陽光発電はその一つであると同時に、エネルギーハーベスタもまた地球温暖化防止に欠かせない技術だ。通信手段はいつでもどこでも個人がつながる方向に向かっている。

半導体技術の微細化が物理限界を迎えるのにつれ、More MooreだけではなくMore than Moore技術の活用がさらに重要な役割を示すと見ている。これをIMECはCMORE技術を称している。台湾のTSMCとCMORE技術で提携したことは、この方向の一環である。

ただし、バンデンホッフ氏は、イノベーションも景気の影響を受けるため、コスト効率の良い研究開発が重視されるだろう、と述べた。それでも成長するためのチャンスは多い。特にコンピュータと通信を使ったモバイルやGUIなどの改良などは大きく進歩してきたが、「これからの問題の一つは高齢化社会に備えたヘルスケアだ」と同氏は述べる。2050年までには地球上の人口の21%以上が60歳以上になると言われている。

そこでIMECは、ヘルスケアを念頭に入れたBAN(ボディエリアネットワーク)によって人間の健康状態をモニターするといったワイヤレスの通信センサーモジュールを開発している。心拍や血圧などを運動中あるいは仕事中などに測定し、そのデータをワイヤレスでコンピュータや医者のもとへ送る。人体にワイヤレスセンサーを埋め込む応用もある。さらには脳の仕組みを理解するため、頭の周りにセンサーを多数配置し脳の活動状態をモニターするという応用にも力を入れている。


BANを通して人間の体をモニターする

BANを通して人間の体をモニターする


ヘルスケアと並んで大きなもう一つの問題は地球温暖化に対する取り組みだ。太陽電池用のシリコン結晶をこれまでよりも薄く切りだす技術の開発にも力を入れていく。現在の厚さ200μmを120μm程度に削る技術はほぼ達成できているが、これを80μm、さらには40μmに薄く削り取る技術も開発する。

ディスコなどが得意なこれまでのカット技術では80μmが限界だろうとして、「Layer transfer process」と呼ぶ方法で薄いウェーハを切り出すとしている。これは表面から40μm程度の深さのところに何らかのひずみを加えて、パリっとはがすような技術を考えていると太陽電池担当のジェフ・プートマンズ氏はセミコンポータルの質問に答えた。


太陽電池を薄くカットする技術に着手

太陽電池を薄くカットする技術に着手


IMECはさらに有機材料を使った太陽電池セルの開発にも着手しており、太陽電池や風力発電、スマートグリッド、電気自動車などを加味したスマートホームのアイデアを描いている。

スマートホームのイメージ

スマートホームのイメージ


こういった新しい太陽電池やバイオ、More than Moore (CMORE) プロジェクト、などのプログラムを本格的に始めるための研究棟の建設に着手、2010年6月に完成する予定である。

総じて、IMECは時代に合わせて、研究開発テーマをフレキシブルに変えていく。バンデンホッフ氏によると、「太陽電池でさえ昔からIMECのテーマに上がっており、研究者もいた。最近になって地球温暖化のテーマと合致するようになったため、IMECが力を入れるテーマとして採り上げるようになった」と述べている。こういった地道な研究が顧客の要求に見合うようになって初めて浮上させるといった、カスタマオリエンテッドな研究開発の姿勢こそが、成功するためのカギといえるかもしれない。

(2009/10/19)

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