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設計から製造まで一貫した統合ソフトウエアを提供するKeysight

Hewlett-Packard社をルーツに持つ計測器メーカーKeysight TechnologiesがKeysight World Tokyo 2019を開催した。計測器というハードウエアのメーカーから、設計から検証、製造テストに至るまでのソフトウエアを統合したPathWaveソフトウエアプラットフォームへと手を広げている。なぜ、計測器メーカーなのにソフトウエアか。

図1 KeysightのCEO、Ron Nersessian氏

図1 KeysightのCEO、Ron Nersessian氏


今やコンピュータ企業であるHP社をルーツに持つとしたのは、HP社は計測器(オーディオオシレータ)を開発するためにシリコンバレーのガレージで二人の若者、Bill HewlettとDavid Packardが創設した会社だからである。真空管を用いた可変周波数発振器を開発した。1999年、HPからコンピュータ部門とそれ以外のAgilent Technologiesに分かれ、さらにAgilentからKeysightが分かれた。現在Agilentはクロマトグラフィをはじめとする分析機器を開発・製造し、Keysightがネットワークアナライザやオシロスコープなどいわゆる測定器を設計・製造している。

今回、KeysightのCEOであるRon Nersessian氏(図1)は、顧客の成功を可能にするための4つの取り組みを紹介した。一つはハードウエア中心からソフトウエア中心にシフトすること、これは測定器そのものがハードウエアだけではなく、ソフトウエアとサービスでソリューションを提供するビジネスに変わってきたことがある。2つ目は全社の組織を変え、顧客の産業向けに変えたことだ。具体的には通信ソリューショングループやオートモーティブソリューショングループ、IoTソリューショングループなどに分けた。3つ目は、5G、自動車、IoT、ネットワーク、データセンターという5つのフォーカス分野に対する研究投資(売上額に対する研究開発費の割合)を2014年の12%から2019年は16%へと増強したことだ。そして4つ目はセキュリティに強いIxia社を買収したように、自分たちで必要な事業パーツを用意できないのなら戦略的買収を行うことだという。

このような4つの取り組みの例として、モノづくりの設計、シミュレーション、試作、検証、製造、分析、製造に必要なソフトウエアを1本化した、統合ソフトウエアPathWave (図2)を開発したことを挙げた。エレクトロニクス製品を開発する場合、設計・シミュレーションした時のパラメータと、実際のテストパラメータを使って測定する時のパラメータが違っていると測定し直すことがある。設計から製造までのパラメータや条件が違えば測定し直す回数が増えてしまい、開発期間が長くなる。設計から製造までの全てのフローで製品番号やパラメータを常に一貫した名称で扱うソフトになっているため、測定し直しは激減する。PathWaveソフトウエアの各部品には、FPGAプログラミング環境や、製造分析、テストの自動化、アセット管理、設計システム、システム設計、デバイスモデリング、RF合成、RF IC設計、などがある。


Software is Critically Important

図2 設計から製造まで一貫したフローで扱う統合ソフトウエアのPathWave


半導体測定になじみ深いデバイスモデリングでは、PathWave Device Modeling (IC-CAP)と呼ぶソフトウエアがGaN HEMTやIGBT、Si-SiC MOSFETのトランジスタの抽出フローを提供する。これにより5Gやコネクテッドカーの設計、IoTなどワイヤレスデバイスを高速に設計できる。PathWave System Design (System Vue)は、最新の5G NR(New Radio)ライブラリを更新してあり、車載レーダーのモデリングも含んでいる。また、
PathWave FPGA Programming Environmentでは、専用回路を設計するためのライブラリを揃え、1クリックで簡単にハードウエアにコンパイルできる。もちろん、VHDLやVerilogなどにも対応する。

5GやIoTなど通信およびネットワークのような分野では外部とつながり、サイバー攻撃のリスクが増加する。そこで侵入者を素早く検出し、対処する必要がある。特に、コネクテッドカーではOTA(Over the air)によるソフトウエアの更新やV2Xなどによる交通事故を低減が図れる反面、攻撃の対象となりやすい。IoTでは、さまざまな機器がつながるようになるため、どこが攻撃されたのかさえ、わかりにくくなっている。

そこで、サイバーセキュリティ侵入試験プラットフォーム(図3)を開発した。今回はKeysightのオートモーティブソリューションのポートフォリオに追加されたソリューションである。カーナビやテレマティクスなどの脆弱性を評価する。このプラットフォームは、ハードウエアの接続からアプリケーション層まで全ての関係するインターフェースをカバーしているという。もしインターフェースがオープンになっていることが発見されたら、そこにハッカーが侵入できる場所があるといえる。


図3 サイバー攻撃の脆弱性を検出する侵入試験装置 出典:Keysight Technologies

図3 サイバー攻撃の脆弱性を検出する侵入試験装置 出典:Keysight Technologies


この脆弱性の検出には、Ixia社のATI(Application Test Interface)のデータベースと比較することで行う。Ixia社のデータベースには20年間の脅威を検出した実績を蓄積してあり、しかも最新の脅威が見つかればそのパターンも蓄積する。だからこそ、このサービスのビジネスはサブスクリプションモデルで提供する。

Keysight World Tokyo 2019のイベントは日本開催から始まり、世界へと広がったとNersessian氏は言う。日本にはイノベーティブな企業が多いからだと同氏は見ている。

(2019/07/17)

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