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エンジニアの要求をてんこ盛りしたTektronixのオシロ

Tektronixは、80名の顧客のエンジニアへのインタビューによる要望をフィードバックして設計・製造した新製品オシロスコープ「3シリーズMDO」と「4シリーズMSO」を発売した。オシロに対するエンジニアの要求とは何か?

図1 新発売の3シリーズMDO(右)と4シリーズMSO(左)を前にするテクトロニクス代表取締役Kent Chon氏

図1 新発売の3シリーズMDO(右)と4シリーズMSO(左)を前にするテクトロニクス代表取締役Kent Chon氏


3シリーズMDOは、画面サイズ11.6インチのHD(1920×1080)ディスプレイを備え、スペクトラムアナライザ機能とロジックアナライザ機能も搭載している、コンパクトなオシロである。4シリーズMSOは、13.3インチのHDディスプレイを持ち、最大6つのFlex Channelを搭載している、ミッドレンジより上のクラスのオシロである。

ユーザの要求は、もっと多くの信号を同時に画面に表示して欲しい(図2)、さらにプロトコルテーブルも一緒に見たい、という要求が強かったため、大型スクリーンで高精細の液晶ディスプレイを用いた。かといって大きすぎるスクリーンは好まない。しかもタッチスクリーンを好むエンジニアは100%だったという。そこでハイエンドとローエンドの中間のディスプレイでタッチパネルを組み込んだ。


図2 画面にいろいろな情報を載せている4シリーズMSOオシロスコープ

図2 画面にいろいろな情報を載せている4シリーズMSOオシロスコープ


顧客はGUI(Graphical User Interface)インターフェースが好きな上にタッチパネルによるアクセスを好んだ。専門家だって素早くオシロスコープにアクセスしたいのである。タッチスクリーン上でピンチ、ズーム、スワイプの直感操作ができる。それでいながら、昔ながらの物理的なノブやボタンも残した。Tektronixが提供するオシロスコープの3シリーズから6シリーズまで全てのUIを共通にした。3シリーズMDO、4シリーズMSOとも、持ち運び可能で、しかも金属製のしっかりした取っ手は、機器を斜めに倒して見やすくしても倒れない頑丈な作りになっている。

4シリーズMSOでは、サンプリングレートが6つのチャンネルとも全て最大6.25Gサンプル/秒と高速ながら、垂直分解能は12ビットと細かい。12ビットのA-Dコンバータは自社で開発したもの。周波数帯域は、200MHz、350MHz、500MHz、1GHz、1.5GHzまである。この機種にはスペアナ機能はないが、スペクトラムビューができる。Flex Channelは時間ドメインと周波数ドメインを独立に調整可能である。

3シリーズMDOは、最大周波数が1GHz、サンプリングレートはアナログチャンネルで、2.5Gサンプル/秒または5Gサンプル/秒と性能は高い。価格は、3シリーズは50万9000円から、4シリーズは99万7000円からとなっている。

オシロスコープは毎年買うような商品ではない。せいぜい5〜8年に一度の買い物だろう。そこで、将来の要求に対応できるようにするため、ユーザ側でソフトウエアとハードウエアを更新できるようにしたという。ソフトウエアは簡単に更新できるが、ハードウエアは部品の交換となりそうだ。

(2019/06/19)

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