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周波数応答解析も可能なオシロをKeysightが8万円台で提供

スペアナのように周波数ドメインの信号やノイズを観測でき、しかもわずか8万円という超低価格のオシロスコープが発売された。これは、旧Hewlett-Packard→Agilent TechnologiesからスピンオフしたKeysight Technologiesが発表したもの。

図1 6万2105円からのKeysightの低価格オシロスコープ プローブ付き

図1 6万2105円からのKeysightの低価格オシロスコープ プローブ付き


低価格のオシロスコープでは、Tektronixの最低価格4万8700円(税抜き)という超低価格のオシロはある。2チャンネルの電圧波形を見ることができる上に、サンプリングレートは500Mサンプル/秒、周波数帯域が25MHzと性能も悪くなかった。

今回のKeysightの製品シリーズで最も低価格の6万2105円というEDUX1002Aは、2チャンネルで帯域50MHz、1Gサンプル/秒と性能が上がっただけではなく、3.5桁のデジタル電圧計と5桁の周波数カウンタも表示する。また同じ性能で、8万6392円のEDUX1002Gはさらに最大20MHzの波形発生器(ファンクションジェネレータ)と周波数応答解析(ボード線図)の機能も搭載されている。オプションでシリアルプロトコル解析も可能で、I2CとUARTのインタフェースでの解析ツールは1万8360円。

この1000Xシリーズでは4機種をそろえており、この中でハイエンドの製品はDSOX1102Gで、本体価格は11万679円、周波数帯域が70MHz、オプションで100MHzのツール(2万8152円)があり、サンプリングレートは2Gサンプル/秒、ファンクションジェネレータと周波数応答解析(スペアナのようなボード線図)も可能。シリアルプロトコル解析は、オプションでI2CとSPI、UARTインタフェースのツールが1万8360円、さらに同額でCANとLINのインタフェースのオプションもある。また、波形のGO/NOGOテストをするためのマスクテストも標準で装備されている。

Keysightはこれまで、ハイエンドのオシロが得意だった。大きく分けて、解析を中心とするInfiniiumブランドの500MHz〜63GHzの5種類のハイエンドシリーズ製品と、汎用で簡単なInfiniiVisionブランドの70MHz~6GHzの4種類のミッドレンジを持っていた。今回はInfiniiVisionブランドのローエンドシリーズにあたる。市場に出ている台数ベースではローエンド製品が多く、同社は台数ベースでは見劣りがしていた。

今回、低価格にできるようになったのは、これまでのInfiniiVisionで使われてきたカスタムICのASIC「Mega Zoom IV」を搭載したからだ。これは、サンプリングして取り込んだA-D変換データを、データ収集メモリマネージャーを通して、観測波形の計測・サーチするためのアクセラレータと、さらに演算・測定・サーチするCPUなどを搭載したもの。これがこのオシロのエンジンとなっている。ドーターボードに搭載されたチップにこれまでのノウハウが詰まっているとしている。

メモリ容量は100kポイントまたは1Mポイント、と従来の低価格製品の2.5kポイントよりも多く、波形更新レートは従来の100波形/秒に対して、5万波形/秒となっている。これにより、過渡応答のような素早い応答でも残しておくことができる。

Keysightは米国にシリコンとInPのファブを持ち、シリコンは高速のADコンバータなどを開発製造している。

製品のターゲットは学生や初心者など。初心者のために、オシロの前面に、サイン波や矩形波、変調信号、不具合信号などオシロの使い方を学べるトレーニング信号を出力する。さらに教材をウェブからダウンロードして、オシロの基礎を学べるようになっている。

(2017/03/07)

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