セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

アドバンテスト、プラットフォーム戦略を推進、ハンドラやモジュールに特長

アドバンテストは、テストヘッドを除く部分を共通化したテストプラットフォームT2000を基本とするビジネス戦略を進めており、このセミコンジャパンでもT2000に接続するためのテストハンドラやモジュールを続々発表した。ハンドラやモジュールで特長を持たせている。

図1 アドバンテストのハンドラM4871の心臓部にあたるボード

図1 アドバンテストのハンドラM4871の心臓部にあたるボード


パッケージ封止されたSoCをテスターに送る役割を果たすハンドラM4871は、0.3mmと微細なピッチのSoCを扱えるだけではなく、高・低温度でのテスト時間を大幅に短縮している。-15℃から+85℃での温度設定の切り替え時間は、これまでは40〜60分だったが、今回は30秒ですむ。また、これまで最大2個あるいは4個しか同時測定できなかったが、今回は16個あるいは32個のSoCを同時測定できる。

このハンドラが出てきた背景には、SoCのパッケージがモバイル端末向けに変わってきたことによる。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末では、端子ピッチが0.3mmと狭くなるうえに、PoP(パッケージオンパッケージ)などのように重なったパッケージのデバイスも使われている。こういった新しい半導体デバイスをピックアンドプレイスでテスターの端子の位置に正確に載せることが難しくなってきた。

M4871では、これまでの機械的なアラインメントではなく、画像認識によるアラインメントを、パッケージの上と下から二つのカメラで行っている。1デバイスのテストではおよそ9秒かかるが、載せる前の控えの位置でアラインメントを済ませており、デバイスのテスト時間がそれ以上にかかるため、トータルのテスト時間は変わらない。

また、デバイスのテストは従来、チャンバ方式を採ってきたため、温度環境を安定に保つのに時間がかかっていた。しかも気体を介した温度測定なので、デバイスの近くでさえ精度の信頼性に問題があったとしている。今回は、水とお湯という2液に浸す方式なので温度が安定するまでの時間は短い。テストの段取りした後の時間も短い上に段取りの時間そのものも短くなった。従来は全ての段取りに130分かかっていたが、今回は30秒+10分程度(段取りだけの時間)で済むという。

テスト中にロジックICが発熱してデバイス温度が設定値よりも高くなるとしても、センサで熱をフィードバック制御するため、常に一定の温度でテストできるとしている。この温度制御はサーバ用のCPUのテストにおいても実績を積んでいたため、CPUだけではなくAPU(アプリケーションプロセッサ)にも使えるとして、すでにある大手APUメーカーにこのハンドラを納入したという。

アドバンテストは、パワーマネージメントICやパワーアンプ、A-D/D-Aコンバータなどを1チップに集積された高集積なIC用のテストモジュール「GVI64」も発表した。これは車載用のECUやパワーマネージメントIC(PMIC)をテストするのに適したテストモジュール。これまでのテストプラットフォームであるT2000に接続して使う。最大64チャンネルの測定が可能。


図2 アドバンテストのパワー系半導体テストモジュールGVI64

図2 アドバンテストのパワー系半導体テストモジュールGVI64


パワーを用途としているため、電源電圧は-64Vから+85Vまでの試験ができる。また、定格電流にもよるが、最大±240mA流すテストの場合は並列に8チャンネル同時測定できる。さらに大電流が必要なデバイスのテストをする場合には、別のモジュールも用意している。

これだけの電圧範囲があれば、車載用のほとんどのPMICをテストできる。エンジン制御系、セーフティ系、駆動系、ABSなどほとんどのECU内にあるPMICやパワートランジスタなどをカバーする。トランジスタの耐圧測定もできる。

今回同社は、イメージセンサ用のテストユニットISS IPE2もリリースした。これは、CMOSイメージセンサの良否を判定するためのテストユニットであり、DUT(device under test)としてのイメージセンサが応答する光の反応を見て、画像処理する。従来機と比べて、半分程度の54%の時間でテストできるとしている。これは、ハイエンドのCPU(クワッドコア)と独自の高速バスを搭載したことで、画像処理を高速化しテスト時間を短縮させたもの。製品名のIPEはImage Processing Engineの略である。このテストユニットもT2000と共に使用する。

(2013/12/27)

月別アーカイブ