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アドバンテスト、プラットフォーム戦略でモジュール製品など続々開発

アドバンテストは、T2000半導体テスタープラットフォームをベースにしたモジュールをセミコンジャパン2012で続々発表した。CMOSのイメージセンサを64個並列にテストできるモジュール、8Gbpsのテスト速度でSoCの各種インターフェースをテストするモジュール、フラッシュ内蔵マイコンやスマートカードICなど最大256個同時にテストできるテスターなどである。

コンピュータのメインフレームほどもある大きさの半導体テスターをなぜ、続々出せたか。これらのテスターはT2000という共通プラットフォームからできており、この上でさまざまなモジュールを取り替えることで、専用テスター仕様にできるからだ。2003年にT2000を発表、以来、このモジュラー方式のテスターの製品ポートフォリオを広げてきた。モジュラー方式は、拡張性があり、テスター開発期間を短縮できる。性能を追求する場合には、モジュールの性能を上げることに注力するだけで済む。


CMOSセンサ向け3Gbpsモジュール
今回発表したT2000 ISS 3GICAP(図1)はCMOSイメージセンサを実際に使う動作速度でテストできるほど高速であり、データレートは最大3Gbpsと速い。CMOSイメージセンサはデジタルカメラだけではなくスマートフォンやタブレットなどにも使われており、その市場は拡大している。イメージセンサに搭載する画素数は増加の一途をたどり、デジカメだけではなくスマホでさえ300万画素も珍しくない。このため画素のテストは高速で行う必要がある。


図1 CMOSセンサ用T2000 ISS 3GICAPモジュール 出典:Advantest

図1 CMOSセンサ用T2000 ISS 3GICAPモジュール 出典:Advantest


携帯機器ではMIPIと呼ばれる高速インターフェース規格で画像データが送られる。最大1GbpsのMIPI D-PHYや5.8GbpsのM-PHYインターフェースで画像データを転送する訳だが、テスターもそのスピードについていく必要がある。

ISS 3GICAPでは、64個のチップを同時に測定でき、しかもスループットがこれまでの1.2Gbpsよりも2倍以上速いため、さらに画素数が増加するイメージセンサが登場してもそれに対応していくことができる。


8Gbpsの高速モジュール
アドバンテストは、さらに高速のデジタルモジュール8GDMも発表した(図2)。これはその商品名通り、最大8Gbpsのデータレートで高速のシリアル/パラレルインターフェースやメモリインターフェース付きのSoCに対応する。


図2 データレート8GbpsのT2000 8GDM高速モジュール 出典:Advantest

図2 データレート8GbpsのT2000 8GDM高速モジュール 出典:Advantest


PCI Express(通称PCIe)のように高速シリアルインターフェースを基本としながらもさらに高速性を上げるためシリアルインターフェース1本を1レーンとして、レーン数を増やす例が増えているが、このモジュールはこういった事例に対応するもの。特にビデオデータの複数化、高画素化といった高速データを必要とする応用に使われる。

8GDMは、24チャンネルごとに四つのセグメントで構成されており、最大96チャンネル分のシリアルインターフェースを測定できる。PCIeのレーンを増やしたSoCの測定に加え、DDR3、DDR4、GDDR5などのメモリICやグラフィックスチップセット、マイクロプロセッサなどのテストに使う。


汎用マイコン用T2000 IMSは低コストで測定
モジュール以外では、汎用テスターT2000 IMSも発表した。これはスマートカードやフラッシュマイコン、アナログマイコンなどローエンドマイコン製品を最大256個同時にテストできる。ユニバーサルピンを新たに追加することで208チャンネルのリソースを最適かつ柔軟に使うことができる。大量の数が見込めるNFCチップや汎用マイコンなどの測定に向く。

図3 T2000 IMSマイコンテスター 出典:Advantest

図3 T2000 IMSマイコンテスター 出典:Advantest


一つのピンで高耐圧やアナログなどのテストを切り替えるためのリレーをモジュール内に搭載した。光半導体リレーを256個使い、ピンの機能を切り替える。これまでは多数のモジュールと複雑な機構のボードを必要としていたが、ピンの切り替えでモジュールボードの数を大幅に減らすことができた。同時測定効率は99.5%にも達するという。これにより、テスト時間は80%削減され、テストコストは半減するようになる。測定用の電源とこの汎用モジュールがあればよい。

加えて、このテスターはプログラムごとに周波数と電圧、電流を変えてテストできる。ピン数では、最大128ピンのICまで測定可能だとしている。

(2012/12/27)

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