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超ハイエンドのリアルタイムオシロをテクトロが発売、高速シリコンの評価に

米テクトロニクス(Tektronix)社は周波数帯域33GHz、2チャンネルでサンプリング周波数100Gサンプル/秒という超ハイエンドのリアルタイムオシロスコープを発売した。測定器は計測すべき試料の持つ特性をカバーしなければならないため、ただでさえ高性能が求められるがこのオシロの設計にはIBMの高速SiGeバイCMOS技術を使った。

図1 カギとなった130nm SiGeバイCMOS技術とMCM、熱設計 出典:Tektronix

図1 カギとなった130nm SiGeバイCMOS技術とMCM、熱設計 出典:Tektronix


IBMのハイエンド8HPプロセスは130nmのSiGeバイポーラとCMOSを組み合わせた技術である。8月2日から発売するこのリアルタイムオシロは、最近、高速シリアルインターフェースが増えてきたため、その伝送時のアイパターンを観測したり、レーダー画像やチャープ変換画像を高速に処理したりする用途が増えてきたことに対応する。同社Performance Oscilloscope部門のMarketing ManagerのDavid Fink氏によると、同社はストレージ分野では12GbpsのSAS開発に、半導体製造装置メーカーは4レーンの10Gbpsか25GbpsのEthernet開発に、光通信分野ではDP-QPSKプロジェクトで4チャンネルのADC開発に、という具合に高速の信号波形を見たいという要求が多数あったという。

こういったニーズに対応するため、このハイエンドオシロDPO/DSA7000Dシリーズを開発した。高速信号をサンプリングして収集するため、半導体チップに加え、MCM(マルチチップモジュール)もIBMと共同で開発した。2個のプリアンプと1個の8段インターリーブして100Gサンプル/秒のICを8HPプロセスで製造し、熱交換器を搭載した放熱板も設計した(図1)。

入力は4チャンネルあり、いずれも33GHzの帯域をもち、サンプリングレートも100Gサンプル/秒を提供する。立ち上がり時間は9psと高速で、波形取り込みレートは30万波形/秒と速い。高速にしながらノイズを減らし、ジッターは250ps以下。信号コア径、絶縁フィルムの厚さ、など同軸ケーブルも損失を減らすように最適化した。


図2 4チャンネル入力の33GHz、100Gs/sの超高速オシロ 出典:Tektronix

図2 4チャンネル入力の33GHz、100Gs/sの超高速オシロ 出典:Tektronix


半導体メーカーに対しては設計テープアウトして製造プロセスから出来上がってくるファーストシリコンの評価に向くとしている。また光通信の変調解析においてもQPSK変調で240Gbpsを観測できるとしている。ストレージオシロとして1チャンネル当たり250Mポイントの波形を蓄えられるメモリー容量を持つ。高速でち密な信号を解析するために、MATLABやLabVIEWなどのツールにデータを手渡すことも可能という。価格は33GHz、100Gs/s機が3040万円と3280万円、25GHz、100Gs/s機が2350万円と2480万円のそれぞれ2機種ずつある。

(2011/08/02)

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