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テスト時間短縮、高速DRAMやRF回路への対応も急ぐヴェリジー

高周波測定器でかつて定評のあったヒューレット-パッカード社から1999年スピンオフしたアジレントテクノロジーだが、さらに2006年スピンオフしたヴェリジー社が高速メモリーのテスターV93000プラットフォームや、53,000本以上のプローブを使って1回で試験するテスターV6000メモリー専用テスターなど進化させている。

ヴェリジーのスケーラブルなプラットフォーム製品戦略

ヴェリジーのスケーラブルなプラットフォーム製品戦略


ヴェリジーはこれまで、V93000テスターをミクストシグナルからハイエンドCPU、高速のメモリーへと幅広く対応してきた。ユーザーからの要求に応えようとして、プラットフォーム方式により1台の基本テスターをベースに改良しながら、新機能、新製品性能を追加してきた。顧客である「台湾のASE(日月光)やSPILなどはいつもアップグレードするように要求してくるため、プラットフォーム戦略を立てることにした」とヴェリジー社戦略的マーケティング担当VPのマーク・アリソン(Mark Allison)氏は言う。

V93000システムはすでに2200台出荷され、半導体メーカーや組み立てメーカーに納められている。中でも、SoCに組み込まれたRF回路向けに、ポートを拡張できるRFシステムは250台設置されている。もともと高周波のネットワークアナライザで実績のあったH-Pの出身だけに、高速・高周波への拡張にも対応している。スピードでは100MHzから、200、400、800MHz、さらに3.6Gbps、12.8Gbpsなどへと拡張してきた。ピン数では256ピン、512、1024、2048ピンへと拡張、並列テストできるデバイス数も、1、2、4、8、16、32、64、128、256サイトへと増えている。この結果、テストできるデバイスのアプリケーションも、ウェーハ分類わけから始まって、パワーマネジメント、ミクストシグナル、RFIC、ハイエンドグラフィックス、GPU、MPU、高速メモリーへと拡がっている。今やスマートフォンに使われるICのかなりの部分の回路を取り扱えるようになっている。

今回、DDR3、DDR4のこれからの高速DRAMをテストするためのテスターV93000 HSM3Gを発表した。CRCデータ生成機能をサポートしており、プログラム可能なパーピンアーキテクチャのAPG(Algorithmic Pattern Generator)を備えている。さらに、256チップのDDR3 DRAMを同時に2.9Gbpsのデータレートでテストできる。

メモリー専用のテスターV6000では、通常の性能テストに加え、テスト容易化設計、BIST(Built-in Self Test)も可能なテストモードを備えており、DRAM、SRAMだけではなくNOR/NANDフラッシュもテストできる。同社はタッチダウンテクノロジーズ(Touchdown Technologies)を買収し、MEMSを使ったそのプローブカードもセミコンウェストで発表した。

これはウェーハ上にあるDRAMチップを1回のプローブで同時に測定してしまおうというもの。これまではステップ-アンド-リピート方式で、1枚のウェーハ上のチップを何回かに分けて1枚のウェーハのメモリーをテストしてきたが、このMEMSプローブを使えば1回でテストできる。MEMS技術で300mmウェーハ上に形成したプローブ数は5万と10万と極めて多い。ただし、プローブ数が増えるほどコンタクト圧力を高くしなければMEMSプローブ全てを抑えることができず、5万プローブで100kg、10万プローブで200kgの圧力をかけることができるという。200kgという値は競争力のある数字だとアリソン氏は自信を持って語る。

(2010/08/03)

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