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アルバック、タンデム型薄膜太陽電池を形成するための製造装置、評価装置を発売

アルバックは、タンデム構造(アモーファスSiと微結晶Siとのスタック構造)の薄膜シリコン太陽電池を量産するためのターンキーシステムCIM-1400と、薄膜特性を評価するための検査装置MPEC-1300の販売を開始した。タンデム構造にするのは薄膜シリコン太陽電池の効率を上げるため。これにより変換効率は9%に上がり、パネルにおいて130W出力を保証する装置となっている。評価装置は1台でラマン分光から抵抗率まで6項目を測定できる。

CIM-1400


アルバックが力を入れるタンデム構造を作るための製造装置は、アモーファスSi膜太陽電池の効率が7%程度にとどまっていることから、顧客から効率アップを強く求められているために開発した。赤外から紫外までの太陽光の全スペクトルをカバーすれば効率アップにつながるため、比較的短波長を吸収するアモーファス層と長波長側を吸収する微結晶側の両方の層を重ねる(タンデム)ことで効率を上げた。この装置は、1100mm×1400mmのガラス基板に作り込む太陽電池モジュールの出力130Wを保証するという装置である。もちろん初期の光照射による薄膜安定化処理を済ませたパネルでの出力値である。

この微結晶Si用のプラズマCVD装置「CIM-1400」は、従来の25MWのアモーファスSi太陽電池製造装置「CCV-1400」に追加して使う装置である。モジュールの年間生産量は従来の25MWからタンデム型を採用することで32.5MWに向上した。同社は「CIM-1400」を追加の装置として単体で売る以外に、従来の25MW用アモーファスSi製造装置と組み合わせて販売する。

パネルの生産時間(タクト時間)を短縮するため、1回の連続チャンバに6枚同時処理すると共に、チャンバを4列並列に処理する構成をとった。この結果、1枚当たり180秒でプラズマCVD処理できるようになった。6枚のガラスをCVD成長させるためにガラス2枚につき1台のプラズマ電極を用い、合計3台のプラズマ電極を1チャンバに用意した。

この微結晶SiのプラズマCVD装置を加えて太陽電池パネルを一貫生産した場合の太陽電池モジュールのバラつきは小さく、1バッチ目と21バッチ目での電流-電圧特性にさほど大きな違いは見られない。


試作結果(モジュール出力)


一貫製造でモジュールを製造するとは言っても、各工程でそれぞれ形成した膜の特性をチェックする必要がある。そのための膜特性評価装置がMPEC-1300である。この装置は、合計6種類の薄膜特性を測定する;
1)電極用メタル薄膜の膜厚測定と面内分布
2)電極用メタル薄膜の抵抗率分布
3)微結晶Siの結晶化率の面内分布をマッピングするラマン分光測定
4)レーザースクライブ後および透明導電膜表面の形状を調べる3次元測定
5)アモーファスSi薄膜の光学定数を測定する分光エリプソメータ
6)アモーファスSi薄膜の抵抗率分布を測定

これらの測定を1100mm×1400mmサイズのガラス基板全面に測定できるため、途中で基板を割るような心配がない。このためランニングコストを削減できる。価格は1台1億5000万円。


(2009/06/25 セミコンポータル編集室)

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