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Imagination、性能を倍増させたスケーラブルなGPUコア

Imagination Technologiesは、これまで最高性能を誇っていたグラフィックスIPのPowerVR 6シリーズの2倍の性能を誇るシリーズ7を発表した。これまでのPowerVRコアでは世代ごとに20~40%のペースで性能を上げてきたが、今回のシリーズ7では、性能が大きく向上した(図1)。加えて、セキュリティも強化されている。

図1 PowerVRシリーズ7は性能を倍増 出典:Imagination Technologies

図1 PowerVRシリーズ7は性能を倍増 出典:Imagination Technologies


Imaginationのグラフィックス(GPU)IPコアは、低消費電力・小面積であることが前提であり、新しいPowerVRでもmW当たりの性能や、mm2当たりの性能が高い。今回、性能を2倍に上げたことで、光の陰影を取り込んだグラフィックスをリアルタイムで描画できる。

製品ラインとしては、最大512個のALUコアを集積するハイエンドのPowerVRシリーズ7XTから、エントリレベルの16あるいは32コアのシリーズ7XEまである。狙う用途はXTでは、16クラスタのサーバやPC、高級ゲーム機、6ないし8クラスタのウルトラブックやハイエンド自動車向け、4クラスタのミッドレンジの自動車向けやタブレット、2クラスタのハイエンド4Kテレビやスマートフォン/タブレット向けを用意している。シリーズ7XEでは、32コアのミッドレンジの4Kテレビ、スマホ/タブレット、16コアのエントリレベルのスマホ/タブレットや1080pHDテレビなどがある。スケーラブルでハイエンドからローエンドまでカバーしていることが特長となっている。


図2 一つのクラスタ(USC)には8個あるいは16個のパイプライン回路を含む 出典:Imagination Technologies

図2 一つのクラスタ(USC)には8個あるいは16個のパイプライン回路を含む 出典:Imagination Technologies


一つのクラスタ(USC:Unified Shading Cluster)には、8本ないし16本のパイプライン回路があり、各パイプライン回路に32ビット浮動小数点演算を行うALUを2個集積している(図2)。このクラスタを1個から最大16個集積できる。GPUは、DSPと比べて浮動少数点演算に強いという。

性能を上げるための工夫として、テセレーション(Tessellation)回路と呼ぶ、専用のハードウエア回路を用いて、鮮明なグラフィックス画像を描いている。これは小さな三角形を敷き詰めた構造であり、詳細な画像を細かく描き、ラフな部分は粗く描くようにした機能である(図3)。専用のハードウエア回路なので、消費電力を上げずに性能を上げることができた。


図3 細かい三角形の基本セルを敷き詰め、詳細な所は細かくするハードウエア回路を搭載 出典:Imagination Technologies

図3 細かい三角形の基本セルを敷き詰め、詳細な所は細かくするハードウエア回路を搭載 出典:Imagination Technologies


加えて、性能を上げ消費電力を下げるために、特定のユーザーと協力して、GPUコアのワークロードを調整している。これには、GPUがどれだけビジー状態になっているかを検出し、ワークロードが減ると性能を再び上げているという。これまでは温度センサで発熱を監視し、温度が上がると性能を下げる方法を使っていた。ワークロードを監視する方法では、性能は実質的にほとんど落ちない(図4)。


図4 GPUのワークロードを常に監視し、負荷が軽くなるとすぐに性能を上げる 出典:Imagination Technologies

図4 GPUのワークロードを常に監視し、負荷が軽くなるとすぐに性能を上げる 出典:Imagination Technologies


また、PowerVRグラフィックスコアを集積するSoCのセキュリティを高めるアーキテクチャも提案している(図5)。この場合、GPUにマイコン(µコントローラ)を内蔵しておく。マイコンは、CPUとGPUをつなぐバスにつながる、必要な機能の8個のゾーンに分け、それぞれのゾーンが仮想化システムで動作できるように制御する。


図5 セキュリティを高め仮想化を実現するアーキテクチャ 出典:Imagination Technologies

図5 セキュリティを高め仮想化を実現するアーキテクチャ 出典:Imagination Technologies


図5では、ゾーン0は高レベルのセキュリティにし、ゾーン1はゲームのようにさほどセキュリティをさほど要求しない機能を持たせ、ゾーン2以降はセキュリティレベルをカスタマイズしている。アプリケーションごとにセキュリティを確保できるように仮想化されている。従来はセキュリティゾーンと、非セキュリティゾーンの2個しかないアーキテクチャが携帯向けにあった。合計8個のゾーンはセキュリティレベルを上げれらるだけではなく、仮想化も実現する。ゾーンからゾーンへスイッチすると、GPUのデータは即座に消されるようになっている。

同社は、シリーズ7を間もなくテープアウトし、広いユーザーに向けてライセンス供与を進めていくという。

(2014/12/24)

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