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三菱電機、グラフィックス画像を簡単に設計できる液晶モジュールを提供

プログラミングのスキルがなくても、オリジナルな図柄を用いたメーターなどのグラフィックスを表示する液晶パネルを自分で開発できるようになる。三菱電機は、タッチパネルとそのコントローラ、液晶モジュール、グラフィックスボードに設計開発ツールをワンセットにしたソリューション(図1)の提供を始める。

図1 液晶モジュールをタッチパネルとそのコントローラ、グラフィックスボードを1セットして提供 出典:三菱電機

図1 液晶モジュールをタッチパネルとそのコントローラ、グラフィックスボードを1セットして提供 出典:三菱電機


液晶モジュールでメーターや表示パネルの画像を設計するのはそう簡単ではない。ユーザがイメージするグラフィックス画像・映像をソフトウエアでプログラミングしなければならないからだ。外部に依頼するにしてもコストがかかり、中小企業では実現が難しい。

今回の三菱の液晶モジュール製品は、プログラミングのスキルがなくても希望通りのグラフィックス画像・映像(図2)を描くことができる。しかもタッチパネルコントローラやグラフィックスボードも付属しているため、ユーザがデザインした画面をグラフィックスボード内に搭載することができる。このため、ユーザの機器開発期間は大幅に削減される。加えて、この製品は10万時間の寿命を持ち、長期間に渡る部品供給体制も備えているため、三菱は産業用途を狙っている。10万時間は10年以上の実動作寿命に相当するという。


図2 液晶モジュールにグラフィックス機能を搭載した三菱電機の例

図2 液晶モジュールにグラフィックス機能を搭載した三菱電機の例


従来だと、ユーザが画面デザインをAbobeのIllustratorやFlashなどを用いて設計した後、そのデータをグラフィックス画像として採り入れるためのソフトウエア開発とその検証(デバッグなど)を行っていた。このソフト開発・検証作業に長い時間がかかっていた(図3)。この部分を三菱が開発した「GUIデザイナー」を利用すると、画面デザインのデータをグラフィックス画像に変換するため、その作業時間を短縮できる。


図3 ソフト開発が楽になり期間が短縮 出典:三菱電機

図3 ソフト開発が楽になり期間が短縮 出典:三菱電機


GUIデザイナーでは、描きたいグラフィックスのデータをどこにどのように表示するかというデータを関連付ける。この作業はマウスを使ってドラッグ&ドロップしたり、キーボードで数値を入力したりするだけで済むという。このためグラフィックス画像をプログラミングする必要が全くない。

グラフィックス表示では、ベクター表示とビットマップ表示に大別できるが、メモリ容量が少なくて済むベクター表示を利用している。このため作画ツールとしては、AbobeのIllustratorとFlashに限られている。ベクター表示は拡大しても斜めの線にギザギザ模様が出ないという特長がある。このため工業用のメーターを表示するのに向いている。

今回、提供する液晶モジュールソリューションでは、60フレーム/秒(fps)の高速描画を実現しているが、そのためにASICチップを独自開発した(図4)。特に、ベクター表示で60fpsの速度を達成するため、描画処理用のIPコアを開発した。このIPコアを搭載したのがASICグラフィックスチップである。ボード上のマイコンとは独立して動作するため、CPU負荷をかけないで済む


図4 開発したグラフィックスボード 真ん中上に白いラベルを張っているのが今回開発したASIC。ボード全体は左側の上から2番目のマイコンで制御する

図4 開発したグラフィックスボード 
真ん中上に白いラベルを張っているのが今回開発したASIC。ボード全体は左側の上から2番目のマイコンで制御する


アナログメーターやアニメーション、図面などのグラフィックスを表示し、さらにタッチスクリーンでピンチイン・ピンチアウトと呼ばれる2本指での操作も可能となっている。今回の7インチ液晶に続き、三菱は2014年の第2四半期に10.6インチワイドスクリーンと12.1インチの液晶モジュールソリューションを提供していく予定である。

(2013/05/08)

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