セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

ARMがシリアルポートDRAMのコンソシアムSPMTに参加

シリアルポートDRAM規格のライセンシングとそのコンソシアムを運営するSPMTは、英国のプロセッサIPベンダーであるARMがSPMTコンソシアムにプロモータメンバーとして参加したと発表した。SPMTはSerial Port Memory Technologyの略で、メモリーの端子数を減らし、コスト低減を図るのが狙いで、主に携帯機器向けの仕様となる。

2009年の5月に設立され、これまで韓国のメモリーメーカーを中心に構成されてきたSPMTだが、今回携帯電話などの携帯機器向けのプロセッサで圧倒的に強いARMが加わったことで、シリアルポート仕様のDRAMの現実性が高まったと言ってよい。これまでの参加企業は、サムスン電子、ハイニックスセミコンダクター、LG電子、米シリコンイメージの4社。エルピーダはまだ加わっていない。

これまでのDRAMはコンピュータを主な用途として仕様が決められてきたが、シリアルポートは、携帯やスマートフォン向けにピン数を減らし、消費電力を減らし、コストダウンするための重要な規格である。携帯応用は数量の見込める市場だけにこういった標準仕様は、技術そのもの以上に極めて重要で、ビジネスを伸ばせるかどうかのミッションクリティカルな規格といえそうだ。仮にエルピーダ以外のメーカーが参加するなら大きなビジネスチャンスにもなる。


シリアルポート


携帯機器のみならず、エレクトロニクス製品の大きなトレンドとしてパラレルインターフェースからシリアルインターフェースへの移行がある。携帯電話、スマートフォンにおいてもシリアルインターフェースへの移行がメモリーにも求められてきたというわけだ。この仕様によれば、メモリー側とプロセッサ側とのやり取りには1組のシリアルポートをつなぐ。1組のシリアルポートは送信チャンネルと受信チャンネルの2本のシリアルチャンネルからなる。

SPMTではポートの数を、1本、2本、4本、8本、16本と定義し、アプリケーションに応じてポート数を変えられるようにしている。ポート数が少ないほどピン数は少なくなり、消費電力も少なくなる。逆にポート数を増やすにつれ、バンド幅を広げることができ、レイテンシーを減らすことができる。


4ポート、8バンクのメモリー構成の例


一方メモリー側(例えばSPDRAM)は、いくつかのバンクに分けておき、そのバンクをフレキシブルに変えられるようにする。1個のバンクのプロトコルとして、1列(カラム)が128ビットをアドレッシングでき、256カラムまであることから、1行(ロー)の大きさは最大32Kビットとなる。ローは15ビットでアドレッシングするため32K行ある。この結果、1バンクあたりのメモリー容量は最大32K×32K=1Gビットとなる。バンクは4ビットでアドレッシングするため最大16バンクをアドレスでき、最大のメモリー容量は16Gビットとなる。

図は4ポート、8バンクのメモリー構成の例だが、各バンクは独立に動けるため、一つのバンクからの読みだしと別のバンクへの書き込みは同時にできる。DRAMメーカーにとってはバンク数もポート数もフレキシブルに変えられるため、標準化によって製造設計コストを削減できる。SoCメーカーにとってもユーザーの要求によってフレキシブルにポート数を変えられる。

(2009/08/21)

月別アーカイブ