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Micron、232層でQLC(4ビット/セル)のNANDフラッシュSSDを量産開始

Micron Technologyは、512GBから2TBまでの容量を持つ、クライエントSSD(半導体ディスク)「Micron 2500 NMVe」のサンプル出荷を開始した。このSSDには232層でQLC(Quad Level Cell)を持つNANDフラッシュ(図1)を搭載している。また、このNANDフラッシュを搭載した企業向けストレージ顧客向けの「Crucial SSD」は量産を開始した。

2500  M.2 SSD / Micron Technology

図1 Micron 2500 NVMeクライエントSSD 出典:Micron Technology


QLCは一つのメモリセルの信号レベルを16分割して、4ビット/セルと高密度化したセルである。前世代の176層のQLCと比べ、30%高密度で、3ビット/セルのTLC(Triple Level Cell)と比べ31%高密度化した。読み出し速度は、前世代の176層のQLC製品と比べ、24%高速読み出しと31%の高速書き込みが可能となっている。NANDフラッシュのI/O速度は2400MT/sと高速(MTはMega Transfersの略)。

「これまでは高密度化(低コスト化)と高性能(高速化)を両立させることはできなかったが、今回の232層のQLC方式のNANDフラッシュは、TLC並みの性能で高密度化を実現した」と同社VP兼クライエントストレージ部門担当General Manager のPrasad Alluri氏は語っている(図2)。DRAMメモリではLPCAMM(Low Power Compression Attached Memory Module)2やLPDDR(Low Power Double Data Rate)のように小型で低消費電力の製品が登場しているように、NANDフラッシュにも同様のエネルギー効率を求める方向が今回の製品だとしている。


Micron 2500 SSD / QLC Value,TLC Performance. MIcron Innovation

図2 Micron Technology VP兼クライエントストレージ部門担当General Manager のPrasad Alluri氏


今回、高密度化と高速化を両立できたのは、フラッシュコントローラやファームウェアのアルゴリズムなどによるものだとAlluri氏は述べている。

クライエントPC向けの「Micron 2500 NVMe」SSDは、図1の写真に示すように、512GB(ギガバイト)、1TB(テラバイト)、2TBの容量を持ち、フォームファクタはM2.で、最も小さな22mm×30mmと22mm×42mm、22mm×80mmの三つのサイズがある(図3)。インターフェイスにはPCIe4.0とNVMe 1.4cがある。


Micron 2500 SSD features / Micron Technology

図3 Micron 2500 SSDの機能・性能 出典:Micron Technology


4月23日にはSamsung ElectronicsもTLCで1Tビット製品を実現した第9世代のV-NANDフラッシュメモリの量産を開始したと発表している。この製品は、1TビットのTLCセルを使ったモデルだが、今年の後半にQLCセルの製品を生産する予定だ。

(2024/04/25)
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