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Intel、ゲーム用デスクトップPC向け5.8GHzのCPUで巻き返しなるか

Intelが第13世代と呼ぶ新型CoreプロセッサRaptor Lakeを9月中旬のInnovation Dayで発表したが、このほど国内でもその詳細を明らかにした。プロセス的にはIntel7とSuperfin技術を使い、昨年発表した第12世代Core CPUと比べ電力効率を大幅に上げ、同じ性能なら消費電力を1/4に削減、同じ電力なら性能を37%上げた。

Raptor Lake メモリーのレイテンシー提言と帯域幅拡大 / Intel

図1 ゲーム向けに性能を上げたIntelの第13世代CoreプロセッサRaptor Lake 出典:Intel


Intelはこれまでデスクトップよりもノートブック市場向けのCPUに注力してきた。しかし、その間AMDの大躍進を許し、さらにノートブックやデータセンター向けのCPUでもシェアを奪われた。デスクトップパソコンは実はゲーム用や仮想通貨市場でこれまでは急成長していた。ゲーム機用パソコンでは、AMDだけではなく、アクセラレーションカードのNvidiaも強かった。いずれもe-Sportsのようなゲーム用コンピュータ市場向けにGPUを駆使したアーキテクチャで急成長してきた。

GPUがあまり得意ではなかったIntelは、CPU(図1)の効率を上げることに力を入れた。マルチスレッドを有効活用し、Raptor Coveと呼ぶ高性能コアの間のクリティカルパスを改良し、前世代のCPUよりも600MHz分の周波数を上げた。特にマルチスレッド性能は、前世代よりも最大41%性能を向上させた。プロセッサは演算のALUや一時メモリのレジ多々などで成り立っているが、ALUは通常はシングルスレッドを処理するが、それだけでは休んでいる時間が長く、スレッドをもう1本くらいはハイパーバイザなどでスレッドを調整して処理できる。このためCPUコア数よりもスレッド数を増やせる。

この新製品Sシリーズには、高性能のCore i9-13900Kに加え、Core i7-13700K、Core i5-13600Kなど合計6品種がある。

特に最高級のCore i9-13900Kでは、24コアを集積し、高性能コアを8個と低消費電力コアを16個集積、それぞれジョブに合わせて動作させる。マルチコアのコア数よりもスレッド数が多く32スレッドを活用する。L2キャッシュは32MBと大容量でゲーム応用に有効だとしている。一時的に命令やデータを記憶するプリフェッチをダイナミックに変えられるように機械学習を使っているという。

アーキテクチャ上の工夫に加え、プロセス的にもIntel 7プロセスノードで、第3世代のSuperFin構造(具体的な構造は明らかにしない)を改良したトランジスタを用い、さらにチャネル移動度を大幅に向上させたとしている。Intel社内でも回路レベルでの改良も多く性能が大幅に上がっているのに、Intel 7と呼ぶのはおかしいという声も上がっているという。半導体のプロセスノードは、9月28日にセミコンポータルが開催した会員限定フリーウェビナー「TSMC研究」でも述べたように、プロセスノードは、線幅/線間隔よりも回路やレイアウト上の工夫により性能と消費電力、面積で決まるようになってきたからだ。

Intel CEOのPat Gelsinger氏、はIDM 2.0の方針の一つであるファウンドリビジネスとして、ウェーハファウンドリだけではなく、システムパッケージのファウンドリも拡大していく、と述べた。これを促進するため、UCIeコンソーシアムをサポートし、チップレットや他メーカーのチップにも対応していく。

(202209/29)

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