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Maxim、PLCでIndustry 4.0を可能にするIO-Link用ICを製品化

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アナログ/ミクストシグナルICのMaxim Integratedは、Industry 4.0に適したセンサからの入力信号を処理するICによって、10cm角ボードに小型化したPLCカードを開発、カードに搭載したI/O Link用IC「MAX22000」と「MAX22515」をリリースした(図1)。装置の予知保全や生産性向上を果たすIndustry 4.0では、I/O-Linkはセンサ情報をCPUに伝える役割が大きい。

MAX22000/MAX22515

図1 Industry 4.0に適したPLC用のIO-Linkボード 出典:Maxim Integrated


Maximはこれまでも、大きなPLC(Programmable Logic Controller)ボックスを小型にするための集積化に力を入れてきた。これまでのIndustry 3.0では、PLCをプログラムすることで機械のシーケンスを制御しプログラム通りに機械を動かしてきた。Industry 4.0では、PLCがもっと賢くなる。PLCにセンサを接続することによって、センサ情報によってPLCを賢く自律的に制御できるようになる。しかし、やたらとセンサを多数つけると配線のお化けになってしまう。そこでセンサからのデータをいったんまとめるIO-Linkハブにおいて、センサを例えば8個単位でまとめると配線をすっきり簡潔につなぐことができる。IO-Linkは出力となるアクチュエータにもつなげることができるため、PLCの入出力端子をIO-Linkで統一すれば、PLCコントローラはすっきりした形でまとめられる。

つまり、Industry 4.0で求められるPLCは、単なるシーケンサから、賢いコントローラである。このため、賢いセンサ、賢いアクチュエータ、ソフトウエアで構成を変えられるIO、高い診断能力が必要となる。IOには温度センサや加速度センサなどの入力だけではなく、モータを駆動する出力も付けるとなると、IO-Linkボードは小型にする必要があった。そして、機械に取り付けたセンサからの情報によって、故障しやすさを先んじて発見し、故障しそうなカ所を予め稼働しない時に修理しておけば、機械のダウンタイムは実質的にゼロになる。

そこで、Maximは、ICの高集積化によってIO-Linkボードを提案した。ここにソフトウエアで構成を変えられるアナログIOとなるMAX22000(図2)と、通信機能を設けたIO-LinkトランシーバチップMAX22515を搭載する。この2種類の新製品を開発することで、小型のIO-Linkボードを提案できた。


図2 MAX22000のブロック図 出典:Maxim Integrated

図2 MAX22000のブロック図 出典:Maxim Integrated


この内、MAX22000は、6つのアナログ入力と1つのアナログ出力を持っており、アナログ入力端子は24ビットのΔΣA-Dコンバータでデジタル信号に変え、ホストプロセッサへ送られる他、ホストから送られてきたデジタルデータ信号は18ビットのD-Aコンバータでアナログに変えて出力される。入出力とも、ソフトウエアで電圧と電流を設定することができる。PGA(プログラマブル利得アンプ)の入力電圧範囲は5種類で、±25V、±2.5V、±500mV、±250mV、±125mV、となっており、出力電流範囲は、±25mAと±2.5mAの2種類。

Maximが力を入れるIO-Linkボードで使われたソフトウエアで構成を変えられるIO向けのアナログチップは、PLCメインボードにも搭載することができ、工業用とビルオートメーションの応用を提案している。

また、Maximは今回、ヘルスケア向けのICも発表しているが、ICの発表というより、それらを搭載した腕時計型リファレンスデザイン「MAXREFDES104#」で、血中酸素飽和度(SpO2)と心電図、心拍数、体温、活動データを測定する。

(2020/11/06)

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