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5700ものICモデルを取り込んだPSpiceをTIが無償で提供

Texas Instruments (TI) はIC製品とリンクした電子回路シミュレータ「PSpice for TI」をリリース(図1)、ダウンロード可能になった。電子回路設計者は、無料でダウンロードできるこのツールを使って、電子回路を予めコンピュータシミュレーションできるため、製品の市場投入を短縮できる。

System-level simulation and advanced analysis with over 5,700 analog models - and counting

図1 TIの自社製品に特化したPSpiceシミュレータ 出典:Texas Instruments Inc.


Spiceは元々、米カリフォルニア大学バークレイ校で生まれた汎用の回路シミュレーションプログラムだが、パソコンベースのSpiceシミュレータをPSpiceと呼ぶようになった。回路シミュレーションはデバイスを評価したり、ボード上の設計回路を検証したり、その設計を手直ししたりするのに利用する。今回TIは、PSpiceシミュレーションモデルを増やしてきたCadence Design Systemsと共同で、TI製品に特化したシミュレータ「PSpice for TI」を開発した。

最近ではTI以外にも、自社の製品と結び付けたSpiceモデルを統合したシミュレータも登場している。Analog Devicesの旧Linear Technology部門はすでに数年前からLTspiceを提供しているが、レギュレータ製品に強いLinearだったため、電源関係のモデルが多かった。このためモデル数は電源関係に限られていた。

今回の「PSpice for TI」シミュレーションツールは、5700以上のモデルと特性を持っている。しかもTIのウェブサイトから無料でダウンロードして使える上に、TIの製品とリンクしているため、TIのどの製品をプリント回路基板に実装するとどのような波形が得られるのか、すぐにシミュレーションで観測できる。また、IC製品には必ずバラツキがあるが、そのバラツキを考慮したモンテカルロ解析も備えている。また、周囲温度を変えながら動作をシミュレーションして、ワーストケース解析することもできる。

TIのウェブサイト上にある製品が全てモデルライブラリとして作りつけられており、ti.comの製品ツリーと同じモデルでシミュレーションできる。つまりti.comと紐づけされており、TIの製品を使った回路シミュレーションで過渡応答や、製品バラツキを含めた応答波形を観測できる。これによって、TI製品をプリント回路基板上に実装し、回路機能をシミュレーション波形で確認できるため、電子製品の開発期間が短縮できる。

また、プリント回路基板設計に使うツールのVirtuosoやAllegro、OrCADなどとも緊密に統合できるという。これによって電子製品の計算機能やビヘイビアモデルをサポートできる。TIの製品は汎用製品が多いため、電子回路設計技術者にとっては使いごたえがありそうだ。

(2020/09/17)

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