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新型コロナの有無を15分で検査できる光センサ技術をamsが開発

オーストリアの中堅半導体メーカーamsが新型コロナウイルスの感染を調べる検査をわずか15分で済ませられるセンサとそのソリューション技術を開発した。通常なら2~3日かかるPCR検査を同じ日に結果がわかるという検査技術であり、光半導体センサと読み取り技術によるものだ。

これまでのPCR検査では、RNAやDNAが蛋白質の殻を被っただけのウイルスを温度の上下によってRNAやRNAを増幅させる方法で、新型コロナウイルスを検出してきた。従来の方法とは違い、amsの技術は光スペクトルからコロナウイルス粒子を検出しようというもので、受光センサに最大8種類のカラーフィルタを付けて光スペクトルを観測する。半導体センサ技術に特化しているamsの得意な光センサ技術を応用した。


amsのデジタルLFTとは?

図1 試薬の色の違いをデジタル処理する 出典:ams


具体的には、LFT(Lateral Flow Testing)を改良して光スペクトルの読出し技術を開発した。LFT法(図1)では、テストサンプルに、着色試薬となるコロイド金ナノ粒子をストリップと呼ばれる基板上に塗布し、その基板を横に(lateral)移動させることで抗体を付着させたテストラインに、サンプル分子を吸着させ、その色を見るというものだ。比較のための参照(制御)ラインには吸着しないため、色の差を見ることで検出する。

Amsは、この指でつかめるほど小さなテストデバイスで、簡便に、しかも高速に低価格で診断することを目指している。テストする色を数値化して読み出すわけだが、従来は目視で色を観察したり、高価なベンチトップの検査装置を使ったりしていた。図1の右側下のグラフに示されたように、高価なデスクトップ装置と比べ、そん色のないことを確認している。Amsはベルリンを拠点とするドイツの医療技術スタートアップ、midge medicalに今回の技術を提供し、遺伝子検査と血液検査を素早く低コストで実現することを狙っている。

色を自動的に判別するため、amsは自社の持つ光センサAS7341Lに可視光のカラーフィルタを8種類設け、8つの可視スペクトルで観察できるようにした(図2)。二つの白色LEDからの光を試料のストリップ基板に当て、光センサをその反射光を見る。テストラインと参照ラインの両方からの反射からその差を取り、色の違いを認識する。


LFTストリップのスペクトル改造測定

図2 LEDの反射光をスペクトル観察する 出典:ams


色の違いをデジタルデータ化し、そのデータをクラウド上に送り、サンプル数を増やしていく。ただし、プライバシー保護のため、試料には個別のIDと暗号化キーを用意しており(図3)、スマホのアプリから設定データを取得する。スマホとテストデバイスとの間はBluetooth LEで接続し、測定した生データをスマホへ送ると同時にクラウドにも上げる。クラウド上で受信した生データから診断数値を算出し、ユーザーにアプリを通じて通知する。基板ストリップは使い捨てを目指す。


デジタルコロナウイルスLFTデータフロー

図3 デジタルデータはプライバシーを保護した上で公衆衛生機関と共有する 出典:ams


公衆衛生機関などと連携してデータを共有していれば、感染拡大を監視できる。公衆衛生機関は、プライバシーを保護した上で、世界の公衆衛生機関と連携し、感染拡大を抑え込むことにつながる。

(2020/09/16)

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