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Intel、XeonプロセッサのアクセラレータFPGAを続々リリース

Intelは、最近FPGAで攻勢をかけ、相次いでニュースリリースを発表している。8月30日には10nmのAgilex FPGA(図1)を限定顧客に出荷を始め、8月上旬にはFPGA搭載アクセラレータカード(図2)をリリースした。共に、演算が重い用途でもCPUの負荷を軽減させるためにFPGAを使ったアクセラレータとして働く。

図1 Intel初の10nmFPGAを出荷 出典:Intel Corp.

図1 Intel初の10nmFPGAを出荷 出典:Intel Corp.


図2 IntelのFPGA搭載アクセラレータカード(下の黒いモジュール部分)


IntelのAgilex FPGAは10nmプロセスで作製した最先端のFPGAで、CPUのXeonプロセッサを補うアクセラレータとして使われる。すでにMicrosoftやColorado Engineering、Mantaro Networks、Silicomなどに出荷し始めている。このIntel AgilexファミリFPGAは、Intelの実装技術EMIB(embedded multi-die interconnect bridge)の上に3D SiP(silicon in package)で構成されている。このヘテロチップを1パッケージに集積するSiP技術はアナログICやメモリ、カスタムコンピューテイング、カスタムI/O、Intelが買収したeASICを集積できる。しかもFPGAで構成されたデジタル回路をeASICのストラクチャードASICにスムーズに移行可能なような準備を進めている。

このチップの性能は、これまで最高のStratix 10 FPGAと比べて40%性能が高い。あるいは同じ性能なら40%消費電力が低い。最大の先進性は、今後発表されるCXL(Compute Express Link)をサポートしている点だ。CXLインターフェースを使えば、キャッシュとメモリコヒーレンシを持ちながら次世代のXeonプロセッサと接続できるようになる。

現状のStratix 10は、サーバーのアクセラレータカードPAC D5005をコンピュータメーカーHPE(Hewlett Packard Enterprise)のサーバー「PE Proliant DL 380 Gen 10」サーバーに搭載され、出荷された。サーバー内のスロットに差すだけで使えるわけだが、FPGAをカスタマイズするための開発環境であるアクセラレーション・スタックも提供する。この開発環境ではXeonプロセッサとFPGAの両方をプログラミングできる。

これまでのIntelのFPGA Arria 10 PACでは性能や電力効率が足りない、リアルタイムで実行できるビデオトランスコーコーデックやAI(ディープニューラルネットワーク)を使った音声のテキスト化などに向く。音声のテキスト化ではデータを一度にどっと送り込む動作があるためGPUよりも性能が高いとしている。例えばGPUだと16ビットの浮動小数点演算しかできないところを、FPGAを使えば8ビットの整数演算や、無駄なゼロ演算を減らすスパース性を高めるなど、ディープラーニングに適した回路の最適化ができる。

(2019/08/30)

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