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欧州Electronica前哨戦からの主な半導体チップたち

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11月にドイツのミュンヘンで開催されるElectronica 2018の前哨戦ともいわれているPublitek主催のPre-electronica Media Conferenceでは、Cadence(参考資料1)やMaxim(参考資料2)、Dialog、Microsemi、SiFive、Silicon Labsなどの半導体メーカーに加え、コネクタメーカーHarwin、TE Connectivity、そしてオープンな開発ツールであるArduino、EMSのFlex、ディストリビュータRS Componentsも登場した(表1)。

表1 Publitek Pre-electronics Media Conferenceでの発表内容

表1 Publitek Pre-electronics Media Conferenceでの発表内容


Dialog Semiconductorは、3つの新製品ICを紹介した。一つはBluetooth LE(Low Energy)を利用したワイヤレスのステレオイヤホン向けのチップDA146xxの開発キットである。無線のイヤホンに使うチップだけに、スマートフォンを親機とするためのチップと、イヤホン用2個の子機チップが必要となる。親機チップは子機チップに送る信号の同期を10µs以内に制御しているという。オーディオ信号のサンプリングレートは48kHz、データレートは96kbps、とHi-Fi音質を実現させている。このチップセットを使えば、一つのスマホから2人のステレオイヤホンでステレオ音楽をシェアできるようになる。

もう一つは買収したSilegoの再構成可能なミクストシグナルIC。CypressのpSoCとは違いアナログ部品をコンフィギュレーションすることで1種のステートマシンとして動作する。CMIC(Configurable Mixed signal IC)と呼び、アナログ回路設計用のソフトウエア開発ツールも提供する。

Maxim Integratedはクルマのヘッドランプの制御用のLEDコントローラを紹介した。欧州では夜間のドライブは常にハイビームで走行し、対向車が来たときのみロービームに落とす。日本と違い、人口密度が少なく対向車が少ないためだ。このLEDコントローラは、ドライバーがこの操作をしなくて済むように対向車のドライバーの顔部分のみを自動的にロービームに落とすことができる。センサで対向車を検出し、LEDマトリックスの一部のみロービームにする。MAX20092は典型的には4ストリング×3つの直列スイッチ構成が可能なコントローラである。最大27個のMAX20092を並列接続させ、最大324個のLEDピクセルを管理できる。ロービームにはフェードイン/フェードアウト方式で12ビットのPWM変調の調光でロー・ハイを制御する。

Silicon Labsは、Bluetooth 5 LEとWi-Fiの接続を簡単に実現できるハードウエア開発キットとソフトウエア開発ツールを備えたWireless Xpressを紹介した。同社独自のGecko OSの元で動作し、ミドルウエアとしてXpressコマンドのAPIを使い、そのうえでアプリケーションソフトウエアを開発するようになっている。コンフィギュレーションを基本とするIoTのOSを使ってIoTデバイスを作ることができる。XpressコマンドAPIを使えば、設定や制御、OTA(Over-the-air)のアップデートが簡単になるという。

8ビットマイコンで大きなシェアを持つMicrochipは、IoT端末などをGoogle Cloudに簡単に接続できるマイコン制御ボードを開発した。従来IoT端末を作ったとしても、クラウド接続型のアプリケーションを作製する場合には、通信プロトコルやセキュリティ、ハードウエア互換性などに必要な専門知識を組み込みエンジニアが身に着けるのに膨大な時間やリソースが必要だった。そのためにはRTOSを使って膨大なソフトウエアフレームワークを構築しなければできなかった。新開発のボードを使えば、無料のオンラインポータルを使って簡単にGoogle Cloudに接続できるという。接続後は、Microchipの開発ツール「MPLAB Code Configurator」と「Atmel START」を使ってクラウド上で開発やデバッグができる。

この開発ボードには、MicrochipのマイコンATmega4808と、AtmelのFPGAを利用したCryptoAuthenticationセキュアエレメントIC「ATECC608A」、認証済みのWi-Fiチップ「ATWINC1510」とPMIC電源を搭載している。Microchipは2015年に小規模FPGAメーカーのAtmelを買収して手に入れており、これを使って暗号認証のセキュアエレメントICを構成する。このチップはRoot of Trustをハードウエアで保護しており、このチップを通過しなければWi-Fiとはつながらない。マイコン開発とセキュリティ認証を別チップで行っているため、マイコン開発ではセキュリティを気にせずアプリケーションを開発できる。

Publitekの会議では、半導体以外でもコネクタメーカーのHarwinやTE Connectivity、EMSのFlex(旧Flextronics)、ハードウエア開発キットのArduino、半導体や部品のディストリビュータのRS Componentsなども発表に参加していたが、会社紹介にとどまっていた。

参考資料
1. エッジAIの性能と電力効率を共に上げたCadenceのAIコア (2018/09/20)
2. ウェアラブルヘルスケア機器を作るための開発ツールをMaximが提供 (2018/09/26)


(2018/10/31)

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