Semiconductor Portal

» セミコンポータルによる分析 » 技術分析 » 技術分析(半導体製品)

Micron、4ビット/セルの64層3D-NAND搭載SSDをPC/ゲーム向けに発売

Micron Technologyは、4ビット/セル(QLC)方式で64層の3D-NANDの512Gビットチップを4個1パッケージに収容したICを2個実装した、500GBのSSDカード(図1)を一般市場に10月27日に発売する。「Crucial P1」と名付けられた1TBのSSDカードは、最大シーケンシャル読み出し速度2000MB/s、書き込み速度1700MB/sだという。

図1 4ビット/セル、64層のSSDカード このカードを2.5インチSSDの筐体に実装

図1 4ビット/セル、64層のSSDカード このカードを2.5インチSSDの筐体に実装


インターフェースにNVMe PCIe Gen 3を4チャンネル含み、PCやゲーム機などの立ち上がりを高速にする。このSSDカードを2.5インチのHDDと同じ大きさのケースに実装する。昔からのストレージ規格であるSATAインターフェースではなく、NVMe PCIe 3インターフェースを使い、性能を上げている。P1 SSDとしては500GBと1TBの製品を27日に発売するが、2TBの製品は近いうちに発売する予定。500GB製品の想定価格は、1万4000円。5年保証はこれまでと同じ。

4ビット/セル方式で64層の3D-NANDフラッシュは、NANDフラッシュメーカーが競争して開発している製品。4ビット/セル方式は、1と0の間を2の4乗分の1、すなわち1/16ステップに分割し、4ビット分を表現する方式で、電圧マージンが極めて狭くなるため、誤り訂正回路が欠かせない。また、64層の3次元プロセスで4ビット/セル方式のNANDフラッシュのバリュー市場へ出荷するのはこれが初めて。消費者や中小企業向けを狙う。

Micronは、これまでCMOS回路の上に浮遊ゲート型メモリセルを構成する方式(多層配線のBOEL層に形成)を取ってきたが、最近この方式をやめ、東芝メモリやSamsungと同じMNOS方式に変えることを発表している。ただし、この製品がMNOSを適用したかどうかについては、明らかにしていない。1TBのSSD製品のキャッシュにはSLC(1ビット/セル)方式のNANDフラッシュを用い、DRAMは使わないことが多いという。


図2 一般消費者向けSSDの仕様 QLCで64層3D-NANDを搭載 出典:Micron Technology

図2 一般消費者向けSSDの仕様 QLCで64層3D-NANDを搭載 出典:Micron Technology


その他の仕様として、ランダム読み出し速度は500GB品が90K IOPS(I/O Per Second)、1TB品は170K IOPS、ランダム書き込み速度は、それぞれ220K IOPS、240K IOPS、消費電力は動作時平均100mW、総書き込みバイト数(TBW)はそれぞれ100TB、200TBである(図2)。

(2018/10/26)
ご意見・ご感想