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Analog Devices、30ドルの工業用IoT向けMEMS加速度センサ

工業用のIoTすなわちIIoT用性能重視のMEMS加速度センサをAnalog Devicesが立て続けに発売している。一つは、最大±100g(gは重力加速度)の加速度まで測れ、しかもノイズが30µg/√Hzと低くDCから11kHzまでの周波数振動まで測定できる。もう一つは最大±40gと比較的大きく、しかも3軸加速度を測定する。

図1 アナログ・デバイセズ社リージョナルマーケティング&チャンネルグループ、マーケティングマネージャーの高松創氏

図1 アナログ・デバイセズ社リージョナルマーケティング&チャンネルグループ、マーケティングマネージャーの高松創氏


スマートフォンに使われている加速度センサは最大でも数gしか測れないため橋梁や工場の振動には使えない。工業用ではもっと大きなgを測る必要がある。工業用では、従来は圧電性を持つピエゾ素子が使われていたが、その筐体が3cm×3cmのボックスタイプと大きく、しかも価格は10万円以上もするとADIの日本法人、アナログ・デバイセズ社リージョナルマーケティング&チャンネルグループ、マーケティングマネージャーの高松創氏は言う(図1)。手頃な価格になるように設計しなければ、IoTのようにセンサを多数設置しなければならない用途には使えない。

新開発のMEMSセンサは、シリコンMEMS技術を使ってくし形のカンチレバーを1組インターデジット構造(2本の櫛が互いに向き合う構造)に作り、静電容量を測定する方式である。最大の加速度が大きいだけではなく、MEMS信号に乗るノイズも圧倒的に少なく、温度による揺らぎも小さい。加速度センサとしてスマホ用もIIoT用もMEMSセンサ技術で作製するが、求められるセンサ性能の大きな違いから明確に工業用としている。

この2シリーズをリリースしたことで、2016年10月に発売した最大±2g /4g/8gの3軸加速度センサ製品ADXL356/357と共に、工業用にも耐えられるMEMS加速度センサを一般市場向けに製品ポートフォリオを整えていく。

この静電容量方式のMEMS加速度センサは、CSP(チップスケールパッケージ)に収め、5mm×5mmや6mm×6mmと数十分の一と小さい。しかも価格は1000個購入時に30ドル程度と安い。このためADIはこれからのIIoT用のセンサとして使えるとみている。

実はADIは、これまでも昨年冬のSEMICON Japanでデモしたように(参考資料1)、IIoT向けの加速度センサの仕様を模索していた。IoTを実用化する場合、どの程度のスペックが必要なのか抑えておかなければならないが、これはユーザも知らないため、MEMSメーカー側とユーザ側で実際にデータを取り相互に確認していく必要がある。しかも、測定時の温度や周囲の状況などにも大きく影響されるため、センサに含まれる大量のビッグデータが必要となる。このため、データ解析技術も必要となる。それもユーザごとに違うため、データ解析のプラットフォームをクラウドベースで持つことが望ましい。だからADIは、データ解析プラットフォーム企業のPTC ThingWorxと提携した。

これまでのADIとPTCとの共同作業で得られた結果から、ADIは必要最小限のスペックを持つことができた。それが今回、発売する二つのシリーズであるといえる。

IIoTの最大の応用は予防メンテナンスである。例えば工場で、モーターの回転を利用してポンプやファンを設置する場合、中間にギアボックスも必要になる。モーターの振動、ギアボックス、そしてポンプやファン、といった工場内の動力システムにIoTセンサを設置することで、各部位の振動パターン(プロファイル)を24時間365日連続モニターできるようになる。しかし、センサ信号のどのようなパターンが劣化の初期に相当するのかは、実際に運転し確認してみなくては求められない。このためにもセンサメーカーはユーザと密着して、振動の振幅や周波数などのデータを取り、そのしきい値を求めてみる必要がある。Intelが今後、データカンパニーになる、と表明しているのは、データがこれからのIoTのカギを握ることを知っているからだ。

今回、ADIが新製品としてリリースする製品は2シリーズある。一つは、1軸のアナログ出力だが、加速度の範囲が最大±100g、ノイズが25µg/√Hz、共振周波数が21kHzと広い製品がADXL1001/1002(図2)。もう一つは3軸のアナログ/デジタル出力で最大±40g、ノイズレベルが80µg/√Hz、共振周波数が5.5kHzの製品ADXL356/357である(図3)。2シリーズとも安定化電源LDOを集積している。


図2 加速度が最大±100 gのADXL1001 出典:Analog Devices

図2 加速度が最大±100gのADXL1001 出典:Analog Devices


ADXL1001は最大±100gで、ノイズは30µg/√Hz、ADXL1002は最大±50gで、ノイズが25µg/√Hzで、その他の特性は二つとも同じである。リニアな周波数応答がDC〜11kHz、共振周波数21kHz、電源電圧5V、消費電流は1mA、温度依存性は5%以内、リニアリティは±0.1%、パッケージは5mm×5mm×1.8mmのLFCSP(リードフレームCSP)となっている。


図3 最大40 gの3軸加速度センサADXL356/357 出典:Analog Devices

図3 最大40gの3軸加速度センサADXL356/357 出典:Analog Devices


3軸の加速度センサは、ADXL356がアナログ出力、ADXL357がデジタル出力である。測定モードにおける消費電流はアナログ出力のADXL356が150µA、デジタル出力のADXL357は200µA、スタンバイ電流が共に21µAである。デジタル出力の357はSPIおよびI2Cという標準インターフェース出力を備えている。内蔵のAD-コンバータの分解能は20ビットと高精度。共に6mm×5.6弌2.05mmのセラミックLCCパッケージで提供される。


参考資料
1. Analog Devices、IoTビジネスで早くも顧客獲得 (2017/01/11)

(2017/05/11)

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