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デュアルバンドでマルチプロトコル対応のIoT用SoCをSiLabsが開発

米国の中堅半導体メーカー、Silicon Labs社がIoT端末用のCPUやマルチプロトコル、センサインタフェース、メモリ、パワーアンプ、トランシーバなどを内蔵したSoC「Wireless Gecko」を開発した(図1)。このチップを使えば、例えば2.4GHz帯のIoTなら外付け部品はアンテナを含めわずか3点ですむ。モジュールはほぼ不要ともいえそうな集積度だ。

図1 IoT用のセンサ入力からマイコン、トランシーバも集積したWireless Gecko 出典:Silicon Labs

図1 IoT用のセンサ入力からマイコン、トランシーバも集積したWireless Gecko 出典:Silicon Labs


この製品シリーズには、ZigBeeとThread、Bluetooth Smart、とユーザー独自のプロトコルを含んでいる。例えば、日本独自のWi-SUN規格などもサポートする。チップに加え、ユーザーがエンドアプリを開発するためのツール「Simplicity Studio」や、ソフトウエア/ハードウエアのレファレンスデザインも提供する。現在サンプル出荷中で、量産出荷開始は2016年第2四半期を予定している。

競合するIoTモジュールと比べ、高集積なSoCに仕上げたため、外部部品コストや設計工数が減りモジュールを低コストで製造できる、と同社Internet of Things Products部門Marketing担当バイスプレジデントのDaniel Cooley氏(図2)は述べる。「モジュールを要求するユーザーは多いが、ゆくゆくは高集積なチップを望んでいる。だから当社は一歩先んじて高集積SoCを発表した」と同氏は言う。


図2 Silicon Labs社Internet of Things Products部門Marketing担当バイスプレジデントのDaniel Cooley氏

図2 Silicon Labs社Internet of Things Products部門Marketing担当バイスプレジデントのDaniel Cooley氏


データをセンサ(IoT端末)からセンサへと送り最後にゲートウェイからインターネットに飛ばす、ThreadやZigBeeなどのメッシュネットワークでは、センサからセンサへデータを送らなければならないため、送受信機(トランシーバ)も内蔵している。センサで集めたデータを親機に送るBluetoothでは送信機だけで済む。またM2M(machine to machine)ではIoT端末からインターネットへ直接飛ばすため、最大出力19.5dBm(約100mW)という高出力のパワーアンプが必要で、それも集積している。また、カバーする周波数帯は、ライセンス不要の2.4GHz帯とサブギガ帯の二つの周波数帯である。

このGeckoシリーズのハードウエアは、フラッシュメモリ容量以外はほぼ共通だが、カバーするプロトコルによってファミリがある。Mighty Geckoは上記のプロトコルを全てカバーしているが、Blue GeckoはBluetoothとユーザー独自のプロトコルのみ、Flex Geckoは独自プロトコルのみをサポートしている。

開発ツール「Simplicity Studio」を使えばワイヤレス設計は非常に簡単で、グラフィカルなコンフィギュレーションやエラーチェックなどもできる(図3)。また、Application Builderを使ってアプリケーションソフトを開発できる。ソフトウエアスタックのコンフィギュレーションでもRF開発に影響させることはないという。IDE(統合開発環境:Integrated Development Environment)では、従来から使い慣れたEclipseのフレームワークを利用する。


図3 グラフィカルな画面を見ながらカスタマイズ設計できるSimplicity Studio 出典:Silicon Labs

図3 グラフィカルな画面を見ながらカスタマイズ設計できるSimplicity Studio 出典:Silicon Labs


Geckoチップそのものは、ARM Cortex-M4マイコンコアをコントローラとして用い、消費電力を削減するための工夫を行っている。動作時では消費電流は63μA/MHzと低く、送信時でも8.8mAである。スリープ時は1.4μA、スリープからのウェイクアップは2μsと速い。できる限りマイコンを眠らせておき、消費電力を減らすために、PRS(Peripheral Reflex System)技術を使った。これはCPUコアを眠らせながら、できるだけ周辺を動かしで処理できるようにする回路だという。ソフトウエアコードもできるだけ減らす工夫を行い、消費電力を抑えた。


図4 Wireless Geckoの機能ブロック 出典:Silicon Labs

図4 Wireless Geckoの機能ブロック 出典:Silicon Labs


チップ内部は、19.5dBmの送信用パワーアンプに加え、2.4GHz用のバラン(平衡/非平衡コンバータ)、暗号化アクセラレータも内蔵している(図4)。2.4GHzだと波長が短いため、小さいため集積したが、サブギガ帯のバランは大きいため外付けで用意する。暗号化アクセラレータには、128ビットAES/256ビットAES/楕円演算などの暗号化が可能だとしている。フラッシュメモリは32KBから256KBまでをサポートしているが、今年の年末までに1MBを集積する。

このSoCは拡張性もあり、メモリ容量だけではなく、Bluetoothの新しいバージョンにも対応していく。現在はBluetooth 4.1だが、次の世代のGeckoではBluetooth 4.2やBluetoothのメッシュネットワーク規格になるBluetooth Meshにも対応していく。

(2016/03/02)

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