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ロームのモジュールビジネス強化が示すシステム指向

ローム傘下のラピスセミコンダクタが、Bluetooth Smart用のモジュール(図1)を発表した日、メディアとアナリスト向けの製品戦略についても発表した。アナログとパワーマネジメントに強いロームと、通信技術と低電力マイコンやメモリなどのデジタル技術に強いラピスがいかに相補関係にあり、これからのIoT時代に対応できる強みを訴求した。

図1 ラピスの発表したBluetooth Smartモジュール 出典:ローム

図1 ラピスの発表したBluetooth Smartモジュール 出典:ローム


Bluetooth Smartは、基本的にはBluetooth LEとほぼ同じ規格。これまでBroadcomが熱心に進めており、企業によってはBluetooth LEとして低電力を訴求する所もある。今回の発表で重要なことは、モジュールと開発キットに重点を置いている点だ。モジュールは、元々村田製作所やアルプス電気、ロームなど電子部品に強いメーカーが踏み込んだ製品ジャンルだが、半導体メーカーがモジュールを製品・販売することは、システム提案まで踏み込むという強い意志の表れとみなせる。ラピスは旧沖電気工業の半導体部門をロームが買収して、新たなブランドとして構築されてきた。

今回のBluetooth Smartモジュールでは、ユーザーは3.3V電池とホスト用マイコン、水晶発振器をつなげばよい。このBluetooth Smartモジュールは、無線技術を知らないエンジニアが自分の得意なデジタルやアナログに集中することができるように、面倒な認証や電波法認可、特性調整、アナログ設計などは一切不要にした。その評価キットも同時に揃えたため、カスタマイズしたいユーザーにはパソコン上でプログラムできるようなUSBベースのインタフェースを設けている。

プロセス的にはコスト競争力のあるバルクCMOSを使っている。かつて、BluetoothのRFとモデムを集積した1チップ製品を開発した時はSOI技術を使ったことがあった。

ラピスは、通信に強い沖電気の流れを汲んでおり、その強みをさらに強化しようとしている。Bluetoothの通信だけではなく、スマートハウス内HEMSのメッシュネットワーク通信をはじめ、ワイヤレス充電の通信、などに無線に強い。ネットワークトポロジー(構成)からみても、それぞれツリー構成、メッシュ構成、1対1構成と異なる方式を使っている。

例えばワイヤレス給電方式に関して発表会では、WPC(Wireless Power Consortium)のφ(チーと発音)という規格に準じた方式の話しかしていなかったが、後で質問するとQualcommが推進しているようなA4WP(Alliance for Wireless Power)方式やPMA(Power Matters Alliance)などについても検討しており、世界の流れを必死に捉えようとしている姿があった。東京電力が提案したことでスマートハウス内の電気器具の消費電力を測定・データ送信するWi-SUN方式についても、これだけにこだわらず、ZigBeeなども検討している。有線通信規格のUSBについても、最新のUSB3.0-TypeCインタフェースにも対応できる製品も持っている。USBは電源ラインも含めるため、急速充電機能も取り込むことができ、電源ICに強いロームとの協力が貢献する分野でもある。

さらにこれからは、ロームとラピスが一緒になって、これから威力を発揮できる成長分野が少なくとも二つある。一つはIoT、もう一つはカーエレクトロニクスである。いずれもセンサを多用する分野であるが、ロームはMEMSの3軸加速度センサが得意なKionixを買収して手に入れた。センサ、パワーマネジメント(エネルギーハーベスティング含む)、無線通信が、これからのIoTとカーエレの基本となっている。


参考資料
1. ローム、低消費電力ワイヤレスに注力、HEMSにはWi-SUN規格のモジュール導入 (2014/04/08)

(2015/04/17)

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