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ネジ釘的なFPGAを2.5億個出荷したLattice

小さくても回路の追加が簡単にできて、しかも実装面積が1.4mm角しかない。アプリケーションプロセッサやASICなど中核半導体のコンパニオンチップとして使えば、スマホやタブレットなどにおいて、実装基板面積を増やさずに携帯デバイスの機能を追加できる。Lattice SemiconductorのiCE40 UltraLite(図1)は「ネジ釘」的に使えるロジックだ。

図1 小型・低消費電力のiCE40 UltraLite 出典: Lattice Semiconductor

図1 小型・低消費電力のiCE40 UltraLite 出典: Lattice Semiconductor


この小型FPGAのiCE40 UltraLiteシリーズは、1.4mm角の小さなパッケージに1248個のLUT(Look-Up Table)を持ちながらスタティックな消費電流が35µAと、同等のロジック規模の製品の30%低い。しかも、LEDを駆動する定電流回路を5本揃え、10kHzと48MHzのオシレータを内蔵、プログラマブルなPLL(Phase locked loop)、56Kビットメモリ、最大26本のI/Oインターフェースなどを集積している。

定電流回路は、豆ランプ的に使うLED用に24mAの定電流シンクを3本(R・G・B分)、バーコードリーダー用のLEDとして100mAの定電流シンクを1本、そしてフラッシュランプLED用に400mAの定電流シンクを1本、それぞれ備えている(図2)。昨年発表した高集積FPGAのiCE40 Ultraに集積されていた16×16ビット乗算器と32ビット加算器のDSP(積和演算専用のマイクロプロセッサ)は今回除いた。消費電力を削減するためであると同時に、音声認識やモーションジェスチャーなどのアルゴリズムを実行する用途まで含めなかったためだ。逆にそういったアルゴリズム重視の機能を追加する場合にはiCE40 Ultraを利用すればよい。


図2  iCE40 UltraLiteにはハードマクロも多いが小型 出典:Lattice Semiconductor

図2  iCE40 UltraLiteにはハードマクロも多いが小型 出典:Lattice Semiconductor


iCE40 UltraLiteで想定した応用は、スマホなどに赤外線リモコン機能を追加したり、バーコードスキャナーを内蔵したり、また3色のLEDを使った新しいユーザーインタフェースを追加するなど、今後のスマホに向けた機能を想定している(図3)。LEDドライバを外付けする必要がない。例えばNFCに決済機能を設け、バーコードで商品を読み取るスマホだと、フリーマーケットなどでの決済も可能になる。専用のバーコードリーダーだと高価だが、スマホに追加したバーコードリーダーならアプリをインストールして安価なリーダーとしても使える。NFCスマホの用途は、決済機能に広がる可能性が高い。


図3 期待されるスマホの新機能 出典:Lattice Semiconductor

図3 期待されるスマホの新機能 出典:Lattice Semiconductor


さらに簡単なモーションジェスチャー機能ならDSPを使うまでもなく、例えば10kHzのスリープモードや消費電力を減らすモードから48MHzの動作モードに移る場合の起動をジェスチャー入力で行うといった用途もありうる。

Latticeはさまざまな応用を想定している。これには、ハンドヘルドのPOS端末や、データ端末、カプセル内視鏡、ポータブル血圧計などハンドヘルドの産業機器、色度図を用いたスマホのユーザーインタフェース、あるいはスマホのベンダーが定義する独自機能の追加、学習機能付きの赤外線リモコンなどの民生機器、などがある。

LatticeはこのiCEファミリーを2014年までに累計で2億5000万個を出荷してきた。特にこの半年で、5000万個を出荷したという。こういった超小型のFPGAは、従来のASIC開発コスト削減に加え、今後のハードウエアの柔軟性に大きく貢献する、というユーザーの声もある。

(2015/02/19)

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