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マイコンの低電力設計ツールSimplicity StudioをSilicon Labsがリリース

IoT(Internet of Things)に向けユーザが低電力設計しやすい開発ツールSimplicity Studioを、Silicon Laboratoriesがリリースした。同社はIoT向けのチップセット(センサ、マイコン、送受信機)はすでに持っているため、ユーザはこのツールとチップセットでIoTデバイスを開発しやすくなる(図1)。

図1 Silicon Labsの持つ製品群 出典:Silicon Laboratories

図1 Silicon Labsの持つ製品群 出典:Silicon Laboratories


「当社は、半導体製品の提供者であり、サービスやインターネットのプロバイダではありません。IoT向けの製品に対して、ソフトウエアエンジニアをハードウエアエンジニアよりも多く採用してきましたが、チップに独自性を持たせるためのソフトウエア開発です」。こう述べたのは、同社MCU&ワイヤレス製品部門マーケティング担当シニアディレクタのDaniel Cooley氏(図2)。だから開発ツールを提供する。


図2 Silicon LabsのMCU&ワイヤレス製品担当シニアディレクタのDaniel Cooley氏

図2 Silicon LabsのMCU&ワイヤレス製品担当シニアディレクタのDaniel Cooley氏


IoT端末には、スマートフォンやパソコンからウェアラブル端末、電力メータ、スマートメータなどがある。これらの端末の多くのセンサに求められる仕様は低消費電力である。化学プラントや自動化工場、航空機、貨物列車、石油パイプライン、橋梁、トンネルなど電力を供給しにくい巨大な機械システムなどに取り付けるセンサは、10年以上は動作しなければならないからだ。このためIoT端末のデータ処理を行うマイクロコントローラにはµA以下の消費電流が求められる。マイコン自体の消費電力を減らすことは言うまでもないが、オン・オフ動作をこと細かく制御しなければならない。

そのための開発ツールとなるのが、発表したSimplicity Studioだ。Simplicity Studioは文字通り、簡単なツールだという。コンパイラやデバッガ、IDEなどを統合したEclipseベースを基本としながら、タイル方式のシンプルなインターフェース画面を提供する。マイコンの種類によってトップ画面は変わる。Silicon Labsの持つ32ビットマイコンEFM32と8051ベースの8ビットマイコンのプログラミングに使え、品名を指定すると、その製品に対応したタイル画面が出てくる。

Simplicity Studioの中でも、AEM(Advanced Energy Monitoring)は、消費電力を下げる設計ができる機能に特長がある。細かいオン・オフ制御状況を可視化できるため、消費電力が少ないシステムを設計することができる。「一般にソフトウエア開発者はメモリ容量に係わるコード行数しか見ない」(Cooley氏)ため、エネルギー効率を上げられなかった。


図3 パルスを見ながら対応するコードも見られるAEM機能 出典:Silicon Laboratories

図3 パルスを見ながら対応するコードも見られるAEM機能 出典:Silicon Laboratories


AEM機能はマイコン内部のレジスタをモニターし、電流パルスと、対応するコードを見ることができる。図3右上の赤い点はイベントを表し、ここをクリックするとその点に対応するコードの行を図3の左側の画面で見ることができる。プログラムを直すことで消費電力を減らす。

(2014/03/26)
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