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AMDもARMアーキテクチャを採用、Cortex-A57コアでハイエンドCPUを構成

Intel互換機のX86アーキテクチャで高性能を追求してきたAMDがとうとう方針を変更する。ARMアーキテクチャも導入するのである。AMDはハイエンドのCPUとAPU 3機種を発表、うちSeattle(シアトル)というコードネームを付けられた製品はARMアーキテクチャを採用する。

図1 GPUコアを512個集積したAPU「Berlin」 出典:AMD

図1 GPUコアを512個集積したAPU「Berlin」 出典:AMD


発表された3機種のプロセッサは、データセンターやエンタープライズ・サーバー向け。ARMアーキテクチャを採用したSeattleに加え、x86ベースのCPUおよびAPU(アプリケーションプロセッサ)のBerlin(ベルリン)、従来型x86の2ソケット/4ソケットのサーバーに向け1ワット(W)当たりの性能が優れたWarsaw(ワルシャワ)がある。3機種とも2014年に出荷を予定している。

今やAMDは、CPUにグラフィックスプロセッサGPUコアを集積したプロセッサをAPUと定義しており、ハイエンドのシステムにもAPUを使っていく。ここではGPUを集積していないプロセッサをCPUと呼んでいる。3機種ともCPUを提供するが、Berlin(図1)はCPUおよびAPUも提供する。今年出荷を予定し、すでにベンチマークテストを終えている新型プロセッサであるOpeteron Xシリーズ(コード名Kyoto)と比べ、BerlinはGPUコアの数をKyotoの128個から512個へと増やした。

ARMの64ビットRISCプロセッサCortex-A57の8コアを集積したSeattleは、Opteron Xシリーズと比べ、1Wあたり2〜4倍の性能を提供するとしている。この製品は2GHzのクロックで動作し、128GバイトのDRAMをサポートする。さらに、Seattleの後継機種には16コアを内蔵する予定だ。

ARMプロセッサコアは、32ビットにこだわり携帯電話向けの低消費電力をハード面からもソフト面からも追求してきた。携帯電話で強い地位を占めると、携帯からマイコンや組み込み系へと次第に高性能の分野へ進出していきた。そして最もハイエンドなプロセッサコアとして64ビットのCortex-A57を昨年発表した。ARMの強みは、低消費電力と、強力なエコシステムだ。

ARMのプロセッサコアを利用してSoCやAPUを設計する場合には、AMBAやAXIなどARMが開発した内部バスを使うことができる。ARMのエコシステムでは、この内部バス仕様が公開されており、そのプロトコルに従ってソフトウエア開発できるため、エコシステムの活用によって設計期間を短縮できる。

スーパーコンピュータ向けファブリックであるFreedom Fabricをチップ上にも集積しており、数千、数万個並列に動作させるスパコンのCPUユニットとしても使える。同時に従来の10GbpsのEthernetインターフェースも集積している。AMDは、Seattleを2014年第1四半期から出荷していく。


図2 さまざまな応用に使い分けていく 出典:AMD

図2 さまざまな応用に使い分けていく 出典:AMD


これら3機種のプロセッサを、従来のサーバーに加え、ウェブサーバーや、企業向けのサービスクラスタなどさまざまなワークロード(図2)に向けている。

(2013/06/20)

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