セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

エクサー、4つの出力電圧を独立にプログラムできる電源ICとソフトを発売

|

電源IC、DC-DCコンバータといって軽視してはならない。ここには大きな市場があり、しかも回路設計のスキルとアイデアがキーとなる。かつてロームが米国法人として立ち上げたエクサー(Exar)は今や、アナログ・ミクストシグナル半導体メーカーとして生き残り、プログラマブルなデジタルDC-DCコンバータ力を入れ、その独自性を打ち出している。

図1 プログラマブルな電源を4個内蔵したXRP7724のブロック図 出典:Exar

図1 プログラマブルな電源を4個内蔵したXRP7724のブロック図 出典:Exar


このほど発売したXRP7724は、消費電力が待機時で450μA、PFM(pulse frequency modulation)の動作モードでも4mAと低いことを特長としたプログラマブル電源用のICだ。このPMIC(power management IC)は、4.75〜5.5Vあるいは5.5〜25Vの入力電圧に対して、出力電圧を0.6〜5.5Vの範囲においてプログラムで変えられる。出力電圧を変えるのに、デジタルのパルス幅変調(PWM)とPFMを利用する。PWMは一定の周波数でパルスの幅を変え、いわゆるデューティ比を変えることで出力を変える。PFMはパルス幅を一定にして周波数を変える。PFMは周波数を下げれば消費電力を下げることができるが、リップルが大きいという欠点がある。このため、負荷が軽い時はPFM、通常運転ではPWMで制御することが多い。

PWMとPFMをデジタル的に制御するのにステートマシンとしてマイコンを使っているが(図1)、これもコアとしてこのチップに集積している。プログラムで設定した電圧値はレジスタを通してフラッシュメモリに蓄えられる。

デジタルでプログラムすると、外付けの抵抗やコンデンサなど受動部品を減らすことができるという。アナログのPWM回路だと、外付けのパワーMOSFETも含めて4チャンネルで148個の部品が必要になるのに対して、XRP7704(第1世代のデジタルPWMのPMIC製品、今回の7724は第2世代)では4チャンネルで33個の部品で済んでいる。外部からプログラムするためのインターフェースとしてI2CとSMBusを備えている。I2Cなどを使ってサーバなどの応用機器と対話しながら電圧をダイナミックに変えることができるとしている。

このICは4つの独立した出力端子を持ち、それぞれを2.5mVステップで出力電圧をプログラムする。スイッチング周波数は106kHz〜1.2MHzの範囲で変えられる。FETドライバを内蔵しているため、4個の出力から外付けのパワーMOSFETを直接ドライブできる。7mm×7mmのQFNパッケージに搭載されており(図2)、1チャンネル当たり最大15Aの電流まで流せる。


図2 QFNパッケージに4個のプログラマブルな出力電源を持つ

図2 QFNパッケージに4個のプログラマブルな出力電源を持つ


このプログラマブルPMICを使えば、プロセッサやDSP、FPGAなどのデバイスの消費電力が大きすぎて発熱が大きすぎるような場合に、I2Cバスを通してダイナミックに供給電源を細かく減らしていくことで消費電力を下げることができる。特に、低い電圧の動作ながら電力を消費するようなサーバや基地局のスイッチやルータ、テレビ電話システムなどの電源に向く。


図3 プログラムするためのツールPower Architect 出典:Exar

図3 プログラムするためのツールPower Architect 出典:Exar


同社は、新製品XRP7724の出力電圧を簡単にプログラムするためのメニュー方式のユーザインターフェース(UI)を提供している。そのソフトウエアPower Architect 5.0には、チップを検証したり、オートウィザードでコイルやコンデンサの値を選択したり、多数のデバイスとも通信したりすることもできる。ステータスを見て割り込みレジスタを修正することも可能だ。

(2012/12/05)

月別アーカイブ