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サイプレスの子会社、最大2Gバイトまでの不揮発性RAMを製品化

米サイプレスセミコンダクタ社の子会社であるアギガテック社(Agiga Tech)は4Mバイトから2Gバイトまでの容量を持つ不揮発性RAMモジュールAGIGARAMを開発、このほど発売した。2Gバイトという大容量の不揮発性RAMの製品はこれが初めて。このRAMモジュールには2種類の製品シリーズがあり、4M〜64MバイトのBALIと、256M〜2GバイトのCAPRIである。

64Mバイトの第1弾不揮発性RAMモジュール

64Mバイトの第1弾不揮発性RAMモジュール


BALIは製品も評価キットも入手可能だが、ハイエンドのCAPRIは2009年7月にサンプル出荷、9月に量産という予定だ。不揮発性RAMであるため、従来のRAMのようにほぼ無制限の書き込み・読み出しができ、しかもアクセスは高速、そして電源を落としても内容が記録される。これまでの不揮発性RAMは例えばFRAMやMRAMのように8Mビット(1Mバイト)程度の小容量しか製品にはなっていない。自動車エレクトロニクスなど特殊な用途にしか使えなかった。バッテリ内蔵のメモリーは高速だが、バッテリが抱える有害物質を含む、設計が複雑、充電時間が長い、動作寿命が短い、などの問題があった。

この不揮発性RAMモジュールは電池を持たないため上のような問題はない。しかし、AGIGARAMは1チップではなく、モジュール内部に高速のSDRAMとNANDフラッシュメモリー、スマートパワーマネジメント、そして独自のシステムコントローラを集積している。通常の動作では高速のSDRAMとして動作し、電源が切れるとデータを自動的にDRAMからNANDフラッシュへセーブする。このときパワーマネジメントシステムに残っているエネルギーを利用してデータを転送する。このエネルギーとして大容量コンデンサ(通称キャパシタ)を利用する。電源が再び入るとデータはSDRAMへ戻される。このため電源の割り込み/ロス耐性が高く、即時オンでき、書き込みキャッシングとポスティングもできる。データロギングやサービス・メンテナンスなどの用途にも向く。


AGIGARAM


デバイスはまるで、高速・高集積の不揮発性RAMとして使える。ストレージやネットワーキング、通信、工業用コンピュータ制御機器、医療機器、ATMやPOS端末、プリンタ、スキャナ、コピー機、自動車など幅広い用途に使える。

ハイエンド版のCAPRIの仕様はまだ公表されていないが、BALIの主な使用は次の通り:
・4MBから64MBまでの不揮発性RAM
・高速100MHzのSDRAM
・転送レートは最大200MB/秒
・I2C通信バス・制御バス
・4MB〜32MBではVccは3.3V、64MBでは5V
・200ピンのSO-DIMMパッケージかメザニンカード
・動作寿命は3年、5年、10年版あり、データリテンションは10年
・動作温度範囲は0〜70℃

将来、48Gバイトの不揮発性RAMの計画がある。また、メモリーインターフェースとしてDDR2/3、PCI Expressも予定している。


(2009/05/28 セミコンポータル編集室)

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