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スマホがクルマのカギになるキーレスエントリはじめBoschが新技術顔見世

ドイツBoschの日本法人ボッシュ・ジャパンが自動車市場よりもはるかに高い成長を遂げ、自動運転やACES(Autonomy, Connectivity, Electricity, Sharing)に向け、着実に成果をあげている。キーレスエントリをよりセキュアにするスマホキーを提案、冗長構成のステアリングバイワイヤーや、210メートル先まで検出できるレーダーなども展示した。

図1 ボッシュ・ジャパンの代表取締役社長のKlaus Meder氏(左)と取締役副社長のAlexandre Riestere氏(右)

図1 ボッシュ・ジャパンの代表取締役社長のKlaus Meder氏(左)と取締役副社長のAlexandre Riestere氏(右)


ボッシュ・ジャパンは、2018年における日本国内の売上額が前年比10%増の3250億円と2年連続2ケタ成長を遂げた。前年比0.4%増だった、日本における自動車生産台数と比べ大幅に上回る成長率となった。エネルギー関係の事業も持つボッシュ・ジャパンの事業では主流となるクルマ向けのモビリティソリューションズ事業は、前年比11.6%増と大きい。

このほど渋谷の本社で開催したメディア向け技術説明会では、車輪の向きを電気信号で制御するステアリング-バイ-ワイヤー(Steering by Wire)方式の電動パワーステアリングを展示した(図2)。これは自動運転時代には必須となる技術であり、人の手によるハンドル操作から自動運転を見据えたものである。自動運転では、少なくともハンドル操作を、人が行うよりもむしろクルマが自動的に動かせるようにする制御することになる。この電動パワーステアリング「Servolectric」は、自動運転のSAEレベル2から完全自動運転のレベル4/5まで対応できるという。

図1 ボッシュ・ジャパンの代表取締役社長のKlaus Meder氏(左)と取締役副社長のAlexandre Riestere氏(右)

図2 自動運転に向けたハンドルのステアリングをBoschが開発


自動運転向けのステアリングは、安全性を考慮して冗長構成が欠かせなくなる。フェールセイフの考え方を採用、電気系統に例え故障が発生しても1台の電動アシストは継続できる。このため、一つの電動ステアリングが故障しても、修理工場までは片方だけでも走行できる。この電動パワーステアリングは、ECUを共通化し、ステアリングのアシスト力に応じたモータを採用することで、さまざまな出力に対応できる。すでに、日本の自動車メーカーに採用され、今年量産が始まったという。

自動運転に関する進展も著しい。バレーパーキング(Valet Parking)できる自動運転車をBoschは、2017年にDaimlerと共同でデモを行っていたが、日本での商用化に向け、専門組織を新設した。駐車場で、自動運転で駐車させると、駐車場に収容できる自動車を20%増やせるという。自動バレーパーキングは、駐車スペースを探す煩わしさや、駐車した場所を忘れてしまうことからも解放され、メリットは大きい。日本国内の物流現場で低速の無人実証実験を始めたという。

スマートフォンを使ってクルマのドアを開け、エンジンをかける、という新しいキーレスエントリの仕組みを提案した。従来のキーレスエントリでは、カギ側から微弱な電波を発生し、それをクルマ側でキャッチしてドアを開けていた。この場合、カギとクルマの間でその微弱電波を盗聴しカギを盗むという、リレーアタックによるクルマの盗難が世界各地で起きていた。Boschはクルマのカギをスマホに代用させることでもっと安全なものにしようと提案した。

Boschが「Perfectly Keyless」と呼ぶこの新システムでは、スマホのBluetooth LE (Low Energy)機能を使うため物理的なカギがない。ドライバーがクルマに近付くと車内のBluetoothビーコンがスマホのBluetoothを認識し、予め登録されているBluetooth信号と同じものだと認識するとドアが開く。ドライバーはスマホを操作する必要がなくポケットに入れたままでよい。スマホのBluetooth信号はカギ情報としてクラウドに保存しておく。Bluetoothビーコンからスマホを検出し、クラウドからスマホのカギ情報を取ってきてクルマのコンピュータがBluetoothのカギ信号を認識する。

元々Bluetooth信号はWi-Fi同様、周波数がランダムに動く拡散スペクトル技術を使っているため、盗聴されにくいという特長がある。加えて、Bluetooth信号には個体差があるため、仮に盗聴に成功したとしても、登録されたBluetooth信号と同じものを発することはまずない。このため、チップのバラツキを利用するPUF(Physically Unclonable Function)を利用しなくてもBluetoothデバイスそのもののバラツキで認証できるという。

Bluetoothを利用するカギ認証はACESのカーシェアリングにも使える。これはスマホ内にあるアプリを立ち上げ、その状態で、クルマをシェアするもう一人のスマホでも同じアプリを立ち上げ、その上でクルマの持ち主を交代するのである。カギの権利をその人に移すことができるため、カギのやり取りも紛失も問題ない。カギはクラウド上で管理されているため、セキュアに守られている。

(2019/07/19)

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