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「クルマにも仮想化が必要」、Wind Riverの次世代戦略

自動車の安全・安心を追求し事故のない車を追求することでECU(電子制御ユニット)の数はこれまで増加し続けてきた。ADASや自動運転では更なるIT・エレクトロニクス化が避けられない。しかし、ECU数が増えれば増えるほど配線は増え重量が増すことになる。低コスト化の意味でもECU増加の方向は正しいのだろうか。Wind RiverはECUの数を減らす仮想化技術に取り組んでいる。2019年1月に日本法人代表取締役社長に就任したMichael Krutz氏に聞いた。

図1 ウインドリバー代表取締役社長Michael Krutz氏

図1 ウインドリバー代表取締役社長Michael Krutz氏


クルマのECUは、重要なパワーステアリングやブレーキ、アクセル、燃料噴射装置などの重要かつ基本的なところから、マイコンでちょっとした動力の制御にまで使われてきた。パワーウィンドウ、ワイパー、ウィンカーなどモータで駆動するアクチュエータは、マイコンの指令で制御されているが、これらはECUという形でハコに納められている。更なる自律化やADASのレベルが上がれば上がるほど、ECUは増えてくる。もちろんコストも上がる。この方向に待ったをかけようというのが、Wind Riverの次世代戦略となる仮想化技術だ。仮想化とは、1台のハードウエアやSoCがまるで複数台/複数個あるかのように見せかける技術のこと。マルチコアやマルチスレッドで仮想化しやすくなっている環境がある。

Wind Riverは単なるソフトウエアOSメーカーではない。宇宙、航空、電力網、通信インフラ、ITインフラ、核施設、緊急サービスなどミッションクリティカルなシステムにリアルタイムOS (RTOS)が大量に使われてきたという実績を持つ。ミッションクリティカルな分野とは、決して故障してはならない分野のこと。1981年創立の同社はこれまで、RTOSを20億個のデバイスに搭載してきたという。2009年にIntelに買収されその傘下におかれたものの、2018年にはファンドに買収され、今は独立したOS、ソフトウエア企業となった。市場シェア36%のRTOSだけではなく、組み込みLinuxの世界でも市場シェアが52%もある。

現在主力分野は自動車や産業機器、医療機器、航空宇宙防衛、通信機器の市場であり、中でも航空宇宙防衛というミッションクリティカルな分野の売り上げが最大だとしている。製品ポートフォリオもOSだけではなくクラウドプラットフォームTitanium、組み込み仮想化プラットフォームHelix、さらにソフトウエアのワイヤレスでの更新を行うOTA(Over the air)作業向けの開発ツールEdge SyncやコンパイラCompilers、シミュレータSimicsなどにも広げている(図2)。


Wind River 製品ポートフォリオ

図2 Wind Riverの製品ポートフォリオ 出典:Wind River


中でも、仮想化プラットフォームソフトウエアHelixはこの3月に欧州で開催されたEmbedded Worldでリリースされた。これはβ版よりは商品化に近い扱いだという。

なぜ仮想化が必要か。安全を重視するクリティカルな特性を持つシステムが増えてきている、システムとインフラとの相互依存性が高まってきた、自動化から自律化へシフトしつつある、などの理由を挙げた。その一方で、安全性やセキュリティ、信頼性、認証といった要求事項はこれまでもこれからも変わらない。異なる要求のシステムをそれぞれ作るのはあまりにも非効率、コストがかかりすぎになる。そこで、ハードウエアは1台にとどめ、その中を複数のシステムに分割しようという発想に行き着く。これが仮想化だ。

仮想化システムでは(図3)、1台のハードウエアはマルチコア、あるいはマルチCPUでもよいが1台のハードウエアを用意し、システムを図3のように、例えば二つに分割する。一つはOS1をベースにミドルウエア(図では省略)、アプリケーションソフト群を構成する。もう一つはOS2として別のミドルウエアやアプリケーションを備える。システムを分割するのは、一つはセキュリティが高く、もう一つは低い、というシステムを作るためだ。


EVOLVING TECHNOLOGY

図3 仮想化システムでは1台のハードウエア上に複数のシステムを作れる 出典:Wind River


セキュリティでは、認証やカギを増やせば増やすほどセキュアになる反面、使いづらくなる。このため、それほどセキュアにする必要がない用途、例えばウェブブラウジングなどでは、使いやすさを重視し、絶対にセキュアにしなければならない用途、例えば個人情報やID/パスワードなどはセキュリティを重視する。アプリケーションはこれまでのコンピュータシステムと同様、共通のOSやミドルウエアの元で使うさまざまなソフトウエアである。クルマ用途では、車内インフォテインメント用ソフト、デジタルダッシュボード用ソフト、ADAS用ソフトなどがアプリケーション層にあたる。1台のハードウエアでシステムを2つに制御するのがハイパーバイザである。

Wind Riverの提案するフレキシブルなシステム構成では、スタティックな安全重視のシステムと、ダイナミックでフレキシブルなシステムがある(図4)。スタティック構成では、RTOSのVxWorks上で認証済みの二つのシステムと、サードパーティの安全性のある独自OSシステムをおく。もう一つのダイナミックな構成では、Wind RiverのVxWorksや、Linux、Windows、サードパーティの独自OS、顧客のOSサポートなどそれぞれのシステムを構成できるが、自由に選ぶことができる上に途中で変更も可能である。これらのシステムはWind River Hypervisorで制御する。


FLEXIBLE APPLICATION CONSOLIDATION PLATFORM

図4 仮想化によって変更不可のスタティックなシステムと変更可能なダイナミックなシステムに分けることができる 間の壁は堅固なファイヤウォールになっている 出典:Wind River


Wind RiverのHelixの特長をまとめると、以下のようになる;
1) VxWorksベースの実証済みの仮想化プラットフォーム
2) 優れたハイパーバイザ
3) 多数のネイティブおよびゲストOSに対応
4) 安全性が厳しい応用の認証に対応するように設計されている
5) その他、サードパーティのOSの仮想化や既存ソフトウエア資産の再利用と統合、ワークロードの統合などにも対応

Wind RiverのOSやソフトウエアは、もともと宇宙・防衛・航空といったミッションクリティカルな分野をけん引してきた。火星探索ロボットMars LandersはVxWorksで動いている。だから火星での市場シェアは100%になる、とKrutz氏は冗談交じりに語る。

(2019/03/20)

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