データセンターのストレージが変わる
データセンターのストレージシステムが変わりそうだ。巨大なCPUを集め、巨大なストレージをつなぐことのできるデータセンター向け大規模ストレージシステムを新インターフェース規格NVMe(Non-Volatile Memory Express)でつなぐようなシステムに向け、共有型の高速ストレージへと向かうという。米Pure Storage社が大規模システムに向けた高速ストレージ装置FlashArray IIXファミリを発売する。
図1 米Pure Storage社製品担当VPのMatt Kixmoeller氏
従来のデータセンターでは、SAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)のようにCPUボードとストレージを専用でつなぐ中規模システムの集合体や、DAS(Direct Attached Storage)のようにCPUとストレージを直接つなぐ小規模システムを束にまとめてつなぐ、というアーキテクチャで構成されている。それぞれメリットデメリットがあるため、両者のいいとこ取りができることが理想的だった。NVMeプロトコルを利用して並列化できると、大規模化しながらかつ高速アクセスが可能になる、と米Pure Storage社製品担当VPのMatt Kixmoeller氏は述べる。
これにより、高速で信頼できる共有ストレージを構築できるようになる(図2)。まさに、データセンターにおけるストレージシステムのデータセントリックなアーキテクチャである。フラッシュアレイやSSDが、従来のSATAに取って代わるインターフェースであるNVMeを利用することで、データセンター内のストレージとCPUとのやり取りを超えて、リモートでの高速アクセスも可能になる。
図2 将来のデータセンターのストレージは、高速な大規模共有ストレージとなる 出典:Pure Storage
NVMeは、既存のストレージやネットワーク規格に対しても使えるような規格の開発を進めている。単体のNVMeではなく、これまでのFibre ChannelやInfiniband、RoCE、iWARPなどのインターフェースをNVMe1本でCPUとやり取りできるような規格NVMe over Fabrics(NVMe-oF)である。あるコンピュータから遠く離れた別のコンピュータのメインメモリに転送できるようなRDMA(Remote Direct Memory Access)を使ったNVMe-oFと、Fibre Channelを利用するNVMe-oFである。NVMe-oFのゴールは、サーバーからNVMeデバイスへのレイテンシを10µs以内に減少させることである。
NVMe規格は、NANDフラッシュだけではなく、ポストフラッシュ(MRAMやReRAM、PRAM、FeRAMなど次世代のメモリ)の狙いもあり、どのメモリが来ても高速性を備え、並列に接続できるストレージを目指す。Pure Storageが発売する共有型高速ストレージシステムFlashArray IIXファミリは、NVMeに加え、SAS/SATAコントローラも内蔵するデュアルモードを備えている。2016年に同社がリリースしたFlashArray IIMファミリに対する書き込み速度をソフトウエアで比較している。オラクルと比べ2.9倍、SAPのHANAと比べ3.7倍、ヘルスケアアプリケーションのEpicと比べ27%高速化したとしている。
さらにPure Storageは、AI時代に向けディープラーニング用のストレージスタックAIRI MINIも発売した。これはクラウド対応のストレージ装置であるAIRIの簡易版で、AIRIで使われているNvidiaのGPUボードDGX-1とフラッシュメモリを搭載したFlashBladeで構成されている。