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SSDより速いフラッシュストレージをViolin Memoryが出荷

NANDフラッシュを大量に使う、フラッシュアレイストレージがこれまでハイエンドのティア0ストレージから、1次ストレージのティア1ストレージへと下位展開を図ろうとしている。これはNANDフラッシュが今後、大量に使われることを意味する。これまでは速度(レイテンシ)を優先するハイエンドのティア0レベルがメイン用途だった。

図1 Violin Memory社Product Management & Strategy担当シニアVPのSaid Ouissal氏

図1 Violin Memory社Product Management & Strategy担当シニアVPのSaid Ouissal氏


米国シリコンバレーに拠点を置くViolin Memoryは、もともとハイエンド(ティア0と呼んでいる)のフラッシュストレージシステムを構築、販売してきた。高速でしかも仮想化できるシステムを手掛けてきた。このほど発売するフラッシュストレージプラットフォームは、アクティブデータの保存のための1次ストレージシステムとしての用途を狙ったストレージシステムである。同社の定義では、2次ストレージはディスクへの保存、3次は長期保存を目的とするコールドデータ保存、4次はテープなどのアーカイブだとしている。

「当社の技術はSSDではない」、と同社Product Management & Strategy担当シニアVPのSaid Ouissal氏(図1)は言う。SSDはHDDとの互換性を保つためのインターフェースを備えており、故障時のデータ復旧のための制御技術が確立されていないという。またSSDは性能の割に価格が高く、フラッシュの性能を制限しているとも言う。SSDのDはディスクという言葉を当てはめているが、HDD(ハードディスクドライブ)をエミュレートしているだけで実際にディスク(円盤)を備えている訳ではない。

これに対して、今回発売されたNANDフラッシュストレージプラットフォーム7300/7700は、3Uラックサイズで、実質的に217TBの容量(物理容量は最大70TB)があり、1GB当たりの価格は1.5ドルと安い。その割に性能が高く、最大100万IOPS(1秒間に読み出し・書き込みのできる回数)だとしている。

アーキテクチャ的には、Concerto OS7と呼ぶ独自OS(operating system)を使い、ハイエンドからミッドレンジまでカバーするようにデータ保護エンジン、データ削減エンジン、FFA(Flash FAbric engine)を備えており、OSがそれらを管理する(図2)。OSの上にAPIを用意してあり、APIを使って全てのジョブを管理する。画面上は単一ウィンドウで使いやすいGUIを用意している。残りはNANDフラッシュチップをモジュラー構成でずらっと並べている。このシステムは仮想化されており、OSが複数のプラットフォームを管理できる。


図2 Concert OS7で管理する 出典:Violin Memory

図2 Concert OS7で管理する 出典:Violin Memory


データ保護エンジンは、故障した時にデータをリカバリさせるために使うRPO(recovery point objective)/RTO(recovery time objective)がほぼゼロであり、すぐに復旧できる。またミラー構成で冗長の同期複製を行う。また、性能を上げられたのは、データ削減エンジンによる。このエンジンがメモリブロック内で重複するファイルがないかどうかをチェックし、しかも独自圧縮方式(1/6に圧縮)でデータを圧縮している。仮想化することで重複データが多くなるため、もっと効率よくするために重複回避技術を使っている。

加えて、NANDフラッシュアレイは階層構成を採っており、メモリの劣化を防ぐための書込み・読み出しセルを万遍なく平均化することは言うまでもなく、R/Wの混在性能を連続的に実現している。各モジュールに搭載されたメモリを階層構成にしており、ブロックごとに分け、セルまでの高速アクセスを実現している。メモリを書込み・読み出しの時にバックグランドで、重複作業などを行っている。DRAMキャッシュを使わないため、ミスヒットによるデータアクセスの遅延は生じない。

今回、製品としてITベンダーや企業に販売するのは、3機種。ストレージ容量で、物理容量が70TBで、実効容量217TBとしたのは、圧縮・重複回避などの手段をとっているためだ。機種は高さが3RUタイプの7300Eシリーズ(図3)と7300シリーズ、6シェルフまで拡張可能で、半ラック最大1.3PBの7700シリーズである。容量・レイテンシ、最大帯域幅などで違いはあるが、全てプラットフォームとして扱う。


図3 7300Eシリーズの内部構造

図3 7300Eシリーズの内部構造


7300E/7300シリーズでは、メモリ容量でさえも当初10TBを26TBあるいは35TBなどに拡張できる料金体系も設けている。メモリセルはSLC(1ビット/セル)方式もMLC(多ビット/セル)方式も使っているが、更なる大容量化に対しては3次元NANDフラッシュも計画している。Violinには東芝も10%強出資しており、東芝からNANDフラッシュを安定供給されているとする。東芝の3次元NANDの出来具合にリンクしており、2016年には3次元NANDフラッシュの供給を期待している。

(2015/03/19)

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