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クルマの48V化が現実的に〜Infineon、Boschが水面下で推進

クルマの48V化が現実味を帯びてきた。2014年カーエレクトロニクス展では、Boschが48Vの回生システムをひそかに出展しており、Infineonからは自動車用MOSFETの製品マーケティングと応用技術の部門長であるCarlos Castro氏(図1)がその狙いを語った。

図1 Infineon Technologies自動車用MOSFETの製品マーケティングと応用技術の部門長Carlos Castro氏

図1 Infineon Technologies自動車用MOSFETの製品マーケティングと応用技術の部門長Carlos Castro氏


欧州では、従来の12Vバッテリから48V電源系への以降は、CO2削減手法の一つと捉えており、アイドリングストップ、回生ブレーキ、モータ直接駆動という三つの動作を支援することでCO2削減に貢献しようというもの。従来の内燃エンジンは12V系で動かすが、回生ブレーキのための発電機(モータ)からの電力をインバータで変換し、48V系バッテリに蓄電する(図2)。エンジンの始動時や加速が必要な時はモータを駆動する。クルマの全てのバッテリを12Vから48Vに変えてしまう訳ではない


図2 48Vバッテリシステムのコンセプト 出典: Boschのブースにて

図2 48Vバッテリシステムのコンセプト 出典: Boschのブースにて


発電機(オールタネータ)はモータにもなるため、発電するだけではなく動力としても使う。Boschが提案している図2のシステムでは、従来の12Vに変換するDC-DCコンバータが必要になる。48Vから12Vに落とすためのバックコンバータである。

InfineonのCastro氏は、48Vシステムをマイクロハイブリッド車と呼んでおり、アイドリングストップ、回生ブレーキ、モータ直接駆動に使うべきモータの出力をそれぞれ、2kW、5kW、10~15kWと想定している(図3)。これらの段階を踏むにつれ、使用すべきパワー半導体やマイコン、駆動回路の数は増えていく。半導体ビジネスにとっては機会が増えていくことに相当する。回生システムではインバータと電源レギュレータ、リレー回路だけだが、モータ直接駆動システムでは、さらにコントローラ、48Vモータを駆動する(回転数を自由自在に変えられる)ためのインバータ、DC-DCコンバータ、バッテリマネジメントシステムなど、半導体チップの応用は広がる。


図3 48Vシステムによるマイクロハイブリッドカーの概念 出典:Infineon Technologies

図3 48Vシステムによるマイクロハイブリッドカーの概念 出典:Infineon Technologies


ただし、小型車から高級車にかけて、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動などに応じて、システムコストが変わるため、それぞれのグレードに応じた最適解が求められるだろう。48Vシステムによって燃費は改善されるが、コストも上がる。クルマには新トポロジー構成が可能になるため、コストを考慮した技術力がモノを言う。

Infineonは、48Vシステムだけを狙った訳ではないが、DC-DCコンバータやモータ制御インバータなどパワー半導体の活躍の舞台が増えることで、更なるボード実装面積の削減を図っている。OptiMOS−T3と呼ぶパワーMOSFETは、オン抵抗×面積を下げることで低コスト化と導電ロスを減らしており、さらにパッケージの工夫も加えて熱抵抗を減らすことで、小さなボード面積で大電流に対応している(図4)。わずか10mm2で定格40AのS3O8パッケージから、面積30mm2で定格100AのSingle SSO8パッケージ、115mm2で300AのTO-Leadlessパッケージの製品を揃えていく。従来パッケージに入った製品と比べ、小面積でより大きな電流を扱えるようになる。


図4 低オン抵抗、小面積、低熱抵抗による次世代パワーMOSFETパッケージ 出典:Infineon Technologies

図4 低オン抵抗、小面積、低熱抵抗による次世代パワーMOSFETパッケージ 出典:Infineon Technologies


こういった独自パッケージの製品はセカンドソースがなければ顧客に使ってもらえないことが多い。これに対して、Castro氏は「確かに標準化することが重要だ。当社としてはパッケージ技術をライセンス供与する方針であり、すでにTO-Leadlessパッケージはある1社にライセンスしている」と語った。

(2015/01/28)

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