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4Kテレビ対応を狙ったHDMI2.0規格が決定

4K HDテレビスクリーンに映像を送受信するための伝送規格HDMI2.0の詳細が明らかになった。データレートは最大18Gbps。4K映像を伝送するのに十分な速度である。この規格を策定してきたHDMI Forumと、HDMIのライセンス業務を扱うHDMI Licensing社社長のSteve Venuti氏(図1)がこのほど、新規格2.0について語った。

図1 HDMI Licensing社社長のSteve Venuti氏

図1 HDMI Licensing社社長のSteve Venuti氏


18Gbpsという帯域を使って、HDMI2.0が提供できる仕様は、最大4K HD@50/60Hz、最大32のオーディオチャンネル、最大1536kHzのオーディオサンプリング周波数、2画面表示、マルチストリームオーディオ、21:9のアスペクト比、CEC(Consumer Electronics Control)2.0への拡張、ダイナミック自動リップシンク(Lip-Synch)、などである。4Kテレビ放送が来年日本で始まることを受けて、4K対応の半導体チップやボードを提供するメーカーは準備を進めていなければならない。その市場を狙ったものだ。

もともとHDMI規格は高速シリアルインタフェース向けに誕生した。当初のHDMI1.0では、1080PのHD(high definition)テレビ対応の4.95Gbpsまでのデータレートだった。2006年、色の深さを表現するビット数を増やすため10.2GbpsのHDMI1.3へとスケールアップした。今回は4K対応を目的とした18GbpsのHDMI2.0となった。

この新規格では、二つの異なる画面を表示することも可能になっている。3次元の立体テレビは一時、騒がれたが、最近は下火になっている。とはいえ、3Dも表現できることも考慮している。つまり右目と左目の動画を交互に映し出して立体映像を作り出す訳だが、それぞれの目で見る映像は別ものである。ということは、3D映像は、全く異なる映像を映し出すことに等しい。二つの画面を同時に映せるようにするためフレームレートを従来の24/30フレーム/秒から50/60フレーム/秒として2倍に増やした。


図2 4K/2KのビデオをサポートするHDMI2.0 出典:HDMI Licensing社

図2 4K/2KのビデオをサポートするHDMI2.0 出典:HDMI Licensing社


マルチストリームオーディオは、サンプリング周波数が1536kHzと極めて高く設定しているため、複数(最大4名)のユーザーに異なる言語の音声ストリームを流すことができる。一つの映画を、一人が日本語、別の人間が英語、中国語などで聞くこともできる。

オーディオチャンネルとしては、従来8チャンネルだったのを32チャンネルにまで拡張し、異なる音を出すスピーカーをユーザーの周りに32台置くことができる。前、後、上下、左右とユーザーの周りに32個のスピーカーを配置することで臨場感のある音を楽しむことができる。これは家庭でもシアター並みの音を再現できることをサポートしたためだ。1536kHzという周波数は、32種類の音源をサポートしていることから、1チャンネル当たり48kHzという従来のPCM音源をベースにしていることを表している。

スクリーンのアスペクト比(縦横比)も、シネマサイズと同じ21対9に広げた。加えて、HDMI対応機器を一つのリモコンで制御するためのCEC(Consumer Electronics Control)技術もサポートしている。新規格CEC2.0は、CECを実装したテレビやビデオ機器などに向けて拡張コマンドと拡張制御機能を備えている。

さらにダイナミック自動リップシンク(Lip-Sync)機能もサポートしている。これは、ストリーム内のコンテンツを検出し、ビデオとオーディオの同期をダイナミックに自動調整する機能である。どのようなビデオ・オーディオのソースを実装している場合でも、それらの同期をダイナミックに、しかも自動的にとることができる。一つのソースでも再生システムの回路によっては信号経路が異なり、ビデオとオーディオのストリーミングがずれることがあるため、どのような場合でもダイナミックに同期がとれるようにしておくのだという。こういったHDMI2.0の機能を表1にまとめている。


表1 HDMI2.0と従来規格との比較 出典:HDMI Licensing社

表1 HDMI2.0と従来規格との比較 出典:HDMI Licensing社


HDMI2.0はケーブルに関しては規定しておらず、既存のケーブルをそのまま使うことができるとしている。HDMI Forumには、現在88社が加盟しており、HDMIインタフェースを搭載する電子機器が今後とも増加傾向にあることから、参加企業も増えてきている。

(2013/09/20)

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