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Bluetooth Smart規格がスマホのアクセサリ市場を牽引する

Bluetooth Smart Readyがアンドロイドフォンにも搭載されることが決まった。Bluetooth Smartは、低消費電力版であるBluetooth Low Energy(BLE)の発展版として生まれた。今、Bluetooth Smart、Bluetooth Smart Readyという規格が注目されている。この新規格Bluetooth Smartとは何か。BLEとの違いを含めて、これらを整理してみる。

Bluetoothには、消費電力が従来のBluetooth規格(2.1や3.0などの旧規格)に比べ1/10ほど低く、コイン電池1〜2個で数年間動作できるBLEという比較的新しい規格があった。BLEは、それまでのBluetooth 2.1や3.0(旧規格)とは互換性がない。また、Bluetooth 4.0という規格は、LEか旧規格、あるいは両方の特性を持つ。


図1 Bluetooth SIGのDirectorであるErrett Kroeter氏

図1 Bluetooth SIGのDirectorであるErrett Kroeter氏


さらに最近、Bluetooth Smart Readyという規格と、Bluetooth Smartという規格が登場した。Bluetooth Smart Readyに準拠するデバイスは、BLEと旧規格のデュアルモードを持つこと、Bluetooth 4.0を実装できること、そして、プロファイルをダウンロードしてインプリメントしていること、という条件を満たしている、とBluetooth SIG(Special Interest Group)Global Industry & Brand MarketingのDirectorであるErrett Kroeter氏は述べる。Bluetooth Smart Ready規格は、スマートフォンやタブレット、コンピュータ、テレビなどワイヤレスセンサーのハブとなるデバイスに使われる。いわば親機に導入される。

これに対して、Bluetooth Smart規格は、新たに使われる歯ブラシやカギ、ピルなどのセンサや、スマホのアクセサリなど子機に実装される。この規格はBLEに準拠していればよい。Bluetooth SmartはかつてBAN(Body Area Network)と呼ばれたようなデバイスに使われる。例えば、歯ブラシにBluetooth Smart技術(チップやモジュール)を組み込むと(図2)、子供が歯磨きしている時間や、ブラシを歯にあてている強さ(圧力)などを測定し、そのデータをスマホで見ることができる。データはスマホを通して歯医者の元に届けられる。


図2 Bluetooth Smartチップ搭載歯ブラシで歯の健康をチェック 出典:Bluetooth SIG

図2 Bluetooth Smartチップ搭載歯ブラシで歯の健康をチェック 出典:Bluetooth SIG


このような市場がこれからIoT(Internet of Things)を牽引するだろうとKroeter氏は言う。スマホをハブ(Bluetooth Smart Ready)としてIoTのセンサからのデータを集め、インターネットとの間をつなぐ仕組みを、図3が表している。


図3 Bluetoothでセンサとスマホをつなぐ 出典:Bluetooth SIG

図3 Bluetoothでセンサとスマホをつなぐ 出典:Bluetooth SIG


従来のBluetooth旧規格は、携帯電話やスマホとヘッドセット間をつなぎ電話機をかばんに入れたまま通話する用途から始まった。欧州では、耳にかけたヘッドセットと携帯電話をBluetooth無線でつなぎ、置いたまま通話していた。クルマ運転中の通話は片手運転になるので、欧州ではそれを禁止しており、しかもその罰則が重い。このため、10年以上前からBluetooth が採用されていた。また、日本国内では音楽プレーヤーとステレオやイヤフォンとの間をBluetooth無線で通信し、ストリーミング音楽を楽しんだ。こういった応用では消費電力はある程度低かったが、電池で長期間持たせるという用途ではなかった。

新規格Bluetooth Smart / Smart Readyは、センサやアクセサリなどとスマホやタブレットをつなぎ、スマホから先はクラウドを通してデータをアップするという応用が主体だ。これはまさにInternet of Things(IoT)の応用そのものだ。こういった用途では低消費電力が優先される。無人のセンサネットワークのノードでは、コイン電池で数年間動作することが求められる。フィットネスやヘルスケアなどの用途(図4)では、2008年以来Bluetooth SIGが認証したメディカル製品は142種、フィットネスは56種類あるという。ごく最近では、FDAの認定を受けたLifeScan血糖値モニターがジョンソン&ジョンソンからBluetooth Smart準拠デバイスとして販売されている。Bluetoothコンソーシアムの会員企業は健康管理用のセンサやデバイスを設計し直し、Bluetooth Smartに準拠することでもっと快適な健康管理ができるようにしようとしているという。


図4 Bluetooth Smart規格の製品 左はシューズの底、右はウェアラブルで胸に搭載

図4 Bluetooth Smart規格の製品 左はシューズの底、右はウェアラブルで胸に搭載


ワイヤレスにつながっていなかったり、消費電力が大きかったりするような健康管理デバイスは既に入手できるが、その消費電力をもっと落とし、長期間装着したまま快適に過ごせるように低電力化することが求められる。

加えて、これまで、Bluetooth Smart / Smart Ready規格は、アップル(iOS)とブラックベリー(BlackBerry)、マイクロソフト(Windows 8)のOSソフトウエアに最初からサポートされていた。5月下旬の発表によりアンドロイドデバイスにこの新規格を搭載することをグーグルも表明した。数ヵ月後には、Bluetooth Smartデバイスの開発者は、そのアプリケーションをユーザに配信できるようになる。グーグルは、2013年後半にはBluetooth Smart Ready規格に準拠したアンドロイド機が出てくると見ている。

市場調査会社のABIは、Bluetoothを搭載したアクセサリ市場は2013年の2億2000万台から2016年には10億台に成長すると見ている。

(2013/06/04)
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