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圧倒的に多い不況ニュースの中から新しい成長の芽、新ビジネスモデルを見つける

先週のビッグニュースはスパンション・ジャパンが会社更生法の適用法を申請したことだ。しかもニュースは米国から先に流れてきた。スパンション社が日本法人の会社更生法適用を申請したと、米国メディアが報じた。先週のビッグニュースはこれだけではない。エルピーダの資金調達問題も浮上したが、2月14日の土曜日にはほぼ目途がたったと日本経済新聞が伝えた。フラットパネルディスプレイの産業再編や景気後退の報道も多い。一方で新しいビジネスモデルの開発で営業利益を増やした企業もある。

スパンションは元々富士通と米AMDが共同出資して2003年に設立したフラッシュメモリーの専門企業。現在は富士通マイクロエレクトロニクスとAMDの出資比率は両社合わせても20%程度しかない。現在はナスダックに上場しているが、日本法人は未上場会社だ。現在の負債総額は741億円。当面、生産を続けながら事業再建の道を探っていく。親会社の経営不安説が消えない中、NOR型でトップシェアを持つ同社の行方から目を離せない。


スパンションのNOR型1Gビットフラッシュメモリー

スパンションのNOR型1Gビットフラッシュメモリー


エルピーダのニュースについては2月12日のブログですでに伝えたが、2月14日の日経によると、国内外の取引先からの増資要請に対してほぼ目途がついたと伝えている。資本増強についてのオプションとして、台湾3社・政府との交渉協議、日本政策銀行経由などもあるが、これらはまだ動きとしては鈍い。

半導体の景気冷え込みの原因は消費による冷え込みであるが、パソコン、携帯電話、AV機器のなかで、携帯電話は昨年10~12月期は台数出荷ベースで前年同期比で12.6%減という数字がIDCから発表された。2008年通期では3.6%増であったから、第4四半期で急ブレーキがかかったとみてよい。スパンションが手掛けていたNORフラッシュの主力市場はもっぱら携帯電話であっただけに携帯電話市場の急速な落ち込みはスパンションを襲いかかったといえる。

AV機器では、日本ビクターが液晶テレビの国内販売から撤退したのに続き、パイオニアもプラズマテレビなどの薄型事業から撤退することを表明した。パイオニアはカーナビなどの車載機器に注力するとしているが、当面車載機器も厳しい先行きだ。3月期に2008年度売上予想を5600億円、最終損益は1300億円の赤字になると見込んでいる。このため、全世界で4万7000人の社員の内、1万人を削減するとしている。

液晶パネルメーカーの設備投資にも急ブレーキがかかっているため、これを受ける形で、アルバックは2008年7~12月の純利益が38%低減したと伝えられている。台湾の液晶メーカーの設備投資が先送りになったためとしている。凸版印刷は印刷、包装資材製造、エレクトロニクスの製造部門を分社化すると発表している。2009年3月期における連結最終損益が78億円の赤字になるとみているが、営業損益はむしろ黒字にとどまるようだ。金融商品や有価証券の評価損が150億円程度発生したため。日鉱金属は、液晶テレビのドライバなどに使うフレキシブルプリント基板のフィルム事業から、撤退を表明した。

明るい話題はやはり太陽電池。三洋電機が大阪府貝塚市に100数十億円で太陽電池の新工場を建設する。従来の高効率太陽電池であるHIT製品の量産を滋賀工場とメキシコ工場で始めると報道されている。

電子機器を無線で給電するための研究チームを総務省が発足させるというニュースもある。コードを不要にしようとするものらしい。2015年の実用化を目指し官民連携して開発する。東芝、NEC、NTTドコモ、KDDIなど15社が参加すると見られている。

大部分の企業が減収あるいは赤字に転落する状況において、4~12月期累計でなおも営業利益6%増という企業もある。エレクトロニクス企業ではないが、貸しCD業から出発したCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は、この期の売上は5%減の1680億円だったが、営業利益は6%増の116億円だった。TSUTAYAのブランドで貸しDVD事業を展開しており、その本体は売り上げが下がったが、レンタルをポイントとして貯めると、そのポイントがコンビニでも使えるカードの事業が奏功した。この企業を紹介したのは、従来のDVDレンタルビジネスをベースにして、カード/ポイントという新しいビジネスモデルを構築、その新規部分で成長させているという点に注目したからだ。半導体メーカーや半導体関連メーカーが従来のモノづくりをベースにして、新しいビジネスモデルをプラス構築することで新しい成長の道が開けるのではないだろうか。

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