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太陽(光発電のニュース)がいっぱい

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今朝の日本経済新聞の一面に「プリウスが太陽光発電を搭載」という記事があったが、このところ太陽電池に関する記事がきわめて多い。先週も太陽光発電のニュースがいくつかあった。昭和シェル石油が2011年に1000億円を投じ、年産1000MWという大規模な発電能力を持つ工場を建設するという。しかも最近のニュースはCIGSやCISなどの化合物半導体を使った薄膜材料に集中している。

これまでのソーラーパネルには単結晶あるいは多結晶シリコンを使った太陽光発電が多い。単結晶シリコンでは、シリコンのインゴットを引き上げ、結晶性の悪いアタマとしっぽの部分を太陽電池グレードとして太陽電池メーカーに供給、真ん中の結晶性の良い部分をLSIメーカーへ納める。多結晶シリコンは最初から結晶の良くないままの多結晶を作っている。昨年、多結晶シリコン不足により太陽電池が作れないという大騒ぎがあって、結晶シリコンで太陽電池を作ることにどうやらアレルギーが起きているらしい。

先週のニュースで生産する太陽電池は、アモルファスシリコンではなく、Cu、In、Ga、Seなどの化合物であるCIGSと、Cu、In、SからなるCIS系と言われる材料を使う種類と、色素増感太陽電池と呼ばれる種類である。いずれもアモルファスシリコンと同様、薄膜で作れる。CIS系は多結晶で、半導体バンドギャップを高くして開放電圧を高めるという狙いがあるが、色素増感型は電解液を使うため液漏れのないように実装しなければならない。

CIGSやCISなどの化合物太陽電池は効率が比較的高いため有望視されてはいるものの、小さな面積で効率の高い実験値と大面積で実用に近い量産値とは別物である。面積を増加させても効率を落とさないで作ることが実は簡単ではない。かつて、アモルファスシリコンでも同様で5mm×5mmの小面積では8%もの効率を達成できたが、大面積となると途端に効率が落ちた。しかし、最近ではフラットパネルディスプレイ量産技術の進化のおかげで、大面積でも効率の落ちない生産技術が可能になっている。

太陽電池の製造技術は、大面積で均一な成分の薄膜を形成できるかどうかにかかっている。日刊工業新聞では、「大本命と見られているのが光合成のように色素で光エネルギーを利用する色素増感型太陽電池だ」と持ち上げているが、大本命かどうかは神のみぞ知るだろう。

もう一つ、薄膜技術のフラットパネルディスプレイでも大きな動きがあった。キヤノンが開発を進めていた電界放出型ディスプレイ(FED)の一種である、SED(表面放射型ディスプレイ)の実用化活動が全く見えなくなったと思っていた矢先に、日立ディスプレイズが中小型の有機ELをキヤノンとの協力体制を強めることを発表した。OLED開発本部を専門部署として設置した。キヤノンは日立ディスプレイの株24.9%を3月に獲得している。キヤノンはSEDの開発を断念したのだろうか。

同じFEDパネルをソニーとFEテクノロジーズがパイオニアのプラズマ工場を買収してFEDパネルを09年末から量産すると発表している。FEDはSEDと同様、1画素内に設けた小さなCRTの陰極から電子を蛍光体にぶつけ発光させるディスプレイデバイスで、画面の美しさは原理的にCRTと同じ。1画素ごとに1CRTを持っているようなものだ。このため画面の端で像が歪むというCRTの欠点はない。液晶パネルとは違い、応答速度が速いため、1フレームを240Hzで動作させたきれいな画面のディスプレイを昨年のCEATECでFEテクノロジーズはデモンストレーションしている(「CEATEC Japan、FEDやシースルーディスプレイが登場」)。

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