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CEATEC Japan、FEDやシースルーディスプレイが登場

CEATEC Japan2007のディスプレイ技術は、これまで新聞などで発表していない提案が二つある。一つはFEDであり、もう一つは透明なガラスに表示するめがね型ディスプレイである。

東芝やキヤノンはSEDを見せなかったが、昨年末にソニーからカーブアウトしたFEテクノロジーズは19.2インチのフィールドエミッションディスプレイ(FED)を展示した。ここでは、スクリーンの高速動作を考慮に入れ、240フレーム/秒と、PAL方式の10倍、NTSCの8倍高速の動作に耐えられることを示した。

デモ用の映像にはカーレースのクルマを運転している様子を用いた。このFEDは、1画素の中に作りつけるスピントと呼ぶ円錐状のカソード電極(電子が発射される部分)を1画素当たり1万個以上設けることで、画素間のばらつきを減らし、実用化に近づけた。1個の円錐の頂点から電子を発射する穴の大きさは直径120nm程度だという。FEテクノロジーズは、テレビ用の量産ラインは持っていないため、モジュールとしてテレビセットメーカーに売っていく。特許に関しては今のところ、問題がないとしているが、米国から“サブマリン特許”がいつなんどき現れるかわからないため、油断はできないと言う。2009年の商品化を目指す。


19.2インチのフィールドエミッションディスプレイ(FED)


240フレーム/秒で映像を見せているが、上の写真では、ストロボ禁止モードで撮影したためカメラのシャッタースピードが追いつかずぶれているように見えている。しかし肉眼では映像がくっきり見える。比較で展示した液晶ではとてもこのスピードでは映し出せない。30フレーム/秒の液晶と、30フレーム/秒のFEDでも比較映像を見せたが、FEDの映像は高速応答できるため、違いははっきりと見えた。

もう一つのディスプレイとして、ホログラム光学素子を反射板として用いたシースルーディスプレイをコニカミノルタオプトが展示した。


めがね型ディスプレイ


上の左写真はサングラスをかけためがね型ディスプレイで、右がサングラスを除いたもの。めがねの上部に液晶のディスプレイがあり、その画面を透明なガラスに投影するわけだが、透明なガラスの一部にスクリーンとなる部分にホログラムを設け、液晶からの光をこのホログラムで反射し、透明な中に映像を映し出す。液晶とLEDランプ、めがね全体で重さは27グラムしかない。ホログラムを利用した、このシースルーディスプレイは工事現場や流通現場などノートパソコンを開けにくいようなビジネス状況での応用を狙っている。

その他、従来技術では、ソニーが11インチの有機ELテレビを12月に発売すると発表したが、会場では27インチの試作品を展示した。大画面競争ではシャープが108インチの液晶テレビを展示したのに対して松下電器産業は103インチのプラズマディスプレイテレビを展示した。ここまで大画面となるとマザーガラスは1枚構成だという。


103インチのプラズマディスプレイテレビ

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