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やっと半導体不況から脱出、投資も技術も積極的に推進

ようやく半導体不況からの脱出が始まった。米フィラデルフィア半導体株指数が1年11カ月ぶりの高値を示し、台湾IT19社の11月の収入が前年同月比でプラス5.4%増となった。投資も技術も上向き始めた。JIC(産業革新投資機構)が新光電気工業を買収、政府は4つの自治体を半導体拠点と定めインフラ支援する。技術としてはTSMCが1.4nmプロセスに言及、Micronは国内にEUVを導入する。PSMCが宮城工場で車載半導体を3割に増やす。

主要な半導体銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は11日、前週末比3%高の3902とおよそ1年11カ月ぶりの高水準をつけた、と12月13日の日本経済新聞が報じた。SOXは半導体の景気の先取りを表す指数として見られている。これから半導体産業は不況から脱出し、本来の成長路線に乗っていく。

台湾のIT19社は月次の販売報告を発表しているが、11月は10カ月ぶりのプラス5.4%増の1兆4261億台湾ドル(約6兆6000億円)になった。AppleのiPhoneを生産する鴻海精密工業は前年同月比18%増と好調。TSMCは10月の売上額が8カ月ぶりにプラスになったものの11月は7.5%減となった。MediaTekは11月に同19.2%増、DRAMの南亜科技が同3.7%増となり、上向き始めたことを示している。


Micron広島工場 / 筆者撮影

図1 Micronの広島工場 出典:筆者撮影


投資環境として、先週、パワー半導体でロームと東芝が協業するというニュースの中で政府からの支援が最大1294億円にすることを伝えたが(参考資料1)、今後の半導体工場の新設や増設に対して、政府は半導体拠点のインフラ支援を行うことを発表した。その中で、4つの自治体を選択し、TSMCのFab23となるJASM工場の建屋をほぼ完成させた熊本県菊陽町や、工場新設に着工しているラピダスのある北海道千歳市、さらにはキオクシアのある岩手県北上市、Micronの広島工場(図1)のある広島県東広島市、に2023年度補正予算で関連費用を60億円計上した。工業用水は3割、下水道は半分、道路は55%を支援する。

富士通の子会社であった新光電気工業を富士通がJICに売却すると発表した。富士通は新光の株式の50.02%を保持しており、残りは金融関係の会社である。このため、JICは大日本印刷や三井化学と共同で、TOB(株式公開買い付け)などを組み合わせて最終的に全株を取得する。新光電工株は上場廃止となる。報じた13日の日本経済新聞によると、買収総額は7000億円規模だという。最終的な新光への出資比率は、JICが80%、大日本印刷が15%、三井化学が5%となる。

これまでTSMCは2nmプロセスノード技術をN2と呼んでいたが、さらに微細なプロセスノードについては言及していなかった。このほどIEDMが開催された期間中に行われたパネルディスカッション「Future of Logic」の中で、1.4nmクラスの製造技術を開発していることを明らかにしたという。TSMCはA14と呼ぶこのプロセスは、いつ頃量産するのかについては明言を避けているものの、N2プロセスの量産化は2025年後半で、N2Pプロセスが2026年後半と述べていることから、2027年〜2028年だろうと推測している向きが多い。トランジスタ技術では、pチャンネルFETの上にnチャンネルFETをスタックするCFETにはならないようで、GAA(Gate All Around)FETの第2世代か第3世代版になりそうだという。

Micronの日本法人社長のJoshua Lee氏は、先週、東京ビッグサイトで開かれたセミコンジャパンで「EUVを日本に導入する最初の半導体企業となる」と話した、と14日の日経が報じた。Micronの広島工場では、1γmプロセスのDRAMを立ち上げる計画で、DRAMを4枚ないし8枚積層するHBM(High Bandwidth Memory)を生産することをすでに発表している。HBMはHPCや生成AI向けチップに欠かせないバンド幅の広いDRAM。

SBIとの合弁で日本にファウンドリ工場を設立する台湾のPowerchip系のPSMC社は、クルマに強い日本では車載向け半導体の比率を現在の1割弱から3割に上げていくと、董事長の黄崇仁氏が日経の取材に答えたと報じられた。PSMCは民生用半導体を主体にファウンドリを行ってきたが、民生から車載や産業向けに製品ポートフォリオを変えていくようだ。12日の日経は「第1期としてまず4200億円を投じ、2027年に月産1万枚(12インチ基板)の量産を目指す。日本政府は最大約1400億円の補助を検討している。工場がフル稼働する29年には月産4万枚とする」と報じている。

参考資料
1. 「「パワー半導体、AIチップ、税制優遇など政府の手厚い支援、続出」、セミコンポータル (2023/12/11)

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